ふたつの嘘 沖縄密約[1972-2010] (g2book)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062166850

作品紹介・あらすじ

沖縄密約をめぐる二人の女の物語
本書は、沖縄密約をめぐる国の嘘によって人生を断たれた元新聞記者・西山太吉と、国の嘘を認めさせようと願い、動いた人々の記録である。
第一部では、「夫の嘘」と「国の嘘」に翻弄された西山の妻の半生をたどる。
第二部では、国による「過去の嘘」と「現在の嘘」に挑んだ女性弁護士の戦いに光を当てる。西山が「最後の戦い」として挑んだ情報公開請求訴訟をたどる。
情報公開をめぐる法廷で、かつて否定をつづけてきた密約を認めた元外務省高官は、こう語った。
「嘘をつく国家はいつか滅びるものです」。
あの日から、三十八年。 沖縄をめぐる「嘘」のあとを追った。

〈本書の抜粋〉
 自宅の電話が鳴った。めずらしく受話器を取ったのは夫(西山太吉氏)だった。
「作家の山崎ですけど」
 そう聞いて、夫は同姓の元同僚からだと勘違いした。
「最近、どうしてるんや」
「私は作家の山崎豊子よ。『太陽の子』や『沈まぬ太陽』は読んでないの」
「読んじゃおらんよ」
夫は間髪いれずに言い放った。山崎にとっては屈辱的な返答だっただろう。それでも丁重な口ぶりで、ぜひ(『運命の人』を)書かせてほしいと迫った。
「あなたの人権はぜったいに守りますから」――。

【目次】

〈第一部〉「夫の嘘」と「国の嘘」――西山太吉の妻 啓子
【序 章】十字架
〈ひそかに情を通じ〉新聞記者の夫の罪を問う起訴状の一言。あれから、すべてが狂った。夫はペンを折り、社会から抹殺された。一方で、密約は葬られた。
【第一章】 暗転
受話器をとると、女性の声がした。外務省の事務官だという。「ご主人の帰りは遅いの?」切る間際に、舌打ちが聞こえた。スキャンダルの予感がした。
【第二章】 傷口
事件後、啓子は日記をつづっていた。〈夫婦でいていいのか。果して、夫婦と云えるか〉〈すべてから逃れ得るには、死よりは道はないのだろうか〉
【第三章】 離婚
二十年近くも別居を続けてきた。すでに気持ちは離れていた。でも、なかなか決断できない。生ける屍のようになった夫を前に、啓子は揺れていた。

……以下をご覧ください

感想・レビュー・書評

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  • 民弁教官が主人公になってるー!

  • 2019年5月2日読了

  • 密約に翻弄され、戦った2人の女性の物語。
    奥さんと、弁護士。

  • 読み応えあり。止まらなくなって一気に読破。

    権力の前に、あまりに無力な現実。


    主題に対する意見はここでは述べないので、ちょっとした感想だけ。
    著書の前半、西山氏の奥様のパートを読んでいて、女である私は少し不思議な気持ちになったあと、ふと考えたことがありました。
    「弱いものを守ろうとするのは、女の本能なのか?」と。

    愛はない、でも離婚はしない、なぜだかわからないけど、この人を守ろうと・・そんな思いだったと記されています。
    全然報われないのに見放せないのは何故なのだろう?
    男女としての愛はなくとも、人間として愛しているということか?
    そういうものを母性本能と言うのだろうか?

    ・・この本を読んでこんなことを考える人はあまりいないと思うので、敢えて。


    そんなことを考えつつ、後半の女性弁護士パートもなかなか好きです。
    論理的・現実主義的で、裁判をヒューマンドラマ化させることを嫌い、一途に「勝つために」何をすべきか徹底的に考え抜いて実践した姿勢に恐れ入る。
    ドライに見えて、でも彼女を動かすのもまた感情なのだろう、とか考えたり。
    純粋にかっこいいなと思います。

  •  
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/4062166852
    ── 諸永 裕司《ふたつの嘘 沖縄密約[1972-2010]20101222 講談社》
     
    ── 夫を支えるために自宅にあった機密文書を千切ってトイレに流し、
    火をつけて燃やした妻。だが、西山は感謝の言葉さえかけることもなく、
    何があったかを説明しようともしなかった。そして、妻子を残したまま
    小倉の実家に独りでふいに帰ってしまう。親類が営む青果会社で早朝か
    ら働きながらも、しかしギャンブルに狂っていった。それでもなお、妻
    は離婚しようともせずに、子どもの独立後に小倉で一緒に暮らすことを
    決意する。── 河合 香織(ノンフィクション作家)評・
    http://www.yomiuri.co.jp/book/review/20110418-OYT8T00382.htm
     
    ── とても水に流せない、こんなドラマに誰がした?
    http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1080899620
     テレビ文化の断末魔 ~ 脚本・演出・俳優、みなこけズッこけ ~
     
     画像;蓮見 喜久子(19720415)
    http://ameblo.jp/axolotl/image-11136191801-11735610876.html
     朝日新聞報道写真集1973から、モザイク入りで写真をアップしました。
     
    http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1180070116
     ↑2012/1/24 20:55:21 ↓2012/1/30 11:26:33(閲覧数:4,252)
    http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1480447254
     
    (20120209)
     

  • 西山事件を、西山氏の妻と、情報公開訴訟の弁護士の視点から描いた力作。2人の女性の思いの強さとともに、筆者の執念も感じられる。ドラマ「運命の人」や、その原作小説に興味がある人は、ぜひ本書も手にとってほしい。西山事件とはなんだったのか、その本質を考えさせられる。

  • 国が国民に対して「嘘」をつく。
    沖縄密約に関して、密約はないと言っていた国は、
    結果的には大嘘をついていた。

    不都合なものを隠す体質というのは、
    今回の原発騒動でも明らかだった。

    国は国民を守るためにある。
    この一冊は、その本質に迫っていた気がする。
    非常に興味深く読めた。

  • 昔の新聞とかで当時この事件がどう扱われてたのかをしりたくなった。
    私は、意外と司法に興味があるのかもしれない。

  • 「山崎洋子を超えた」というキャッチコピー通り、超えています。何より小説的な胡散くささがない。二人の女性からの視点という切り込み方も見事。

  •  特に何かしらの拘りがあるわけではないのだが、なぜか、「沖縄密約事件」関連の本読んでいる。 山崎豊子「運命の人」、澤地久枝「密約」。 ただし、本作は上記二作とはやや趣が異なり、事件の中心人物の一人、西山記者の細君にスポットを当てて描かれている。また、第2部は、国による情報公開という切り口から、事件に取り組む弁護士の動きを描いている。 何というか、どうにも後味の悪い事件なのだが、国による外交情報の秘匿ということだけではなく、マスコミ報道のあり方(西山記者の「取材」の方法論ということと、西山記者のスクープ記事の情報源が明かされた後のマスコミの論調という意味とで)という観点からも、興味深い作品。

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著者プロフィール

(もろなが・ゆうじ)
1969年生まれ。東京学芸大卒。93年、朝日新聞社入社。京都、つくば両支局、「AERA」編集部、社会部、「週刊朝日」編集部などを経て現在はアサヒ・コム編集部所属。著書に『葬られた夏 追跡 下山事件』(朝日新聞社)がある。

「2010年 『ふたつの嘘 沖縄密約[1972-2010]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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