「ワタクシハ」

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 385
感想 : 81
  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062167086

作品紹介・あらすじ

人生賭けたい夢がある。でも、内定は欲しい。かつて、高校生でギタリストデビューを果たした山木太郎。しかし栄光も束の間、バンドは解散。すっかり燻り、大学三年の秋を迎えた太郎の周囲は「シューカツ」に向けて慌しく動き出していた。その"一発逆転システム"に魅せられ、就活戦線に身を投じる決意をする太郎。「元有名人」枠で楽々内定を勝ち取れると思っていたのだが-。就職氷河期「以下」の今に問いかける、書き下ろし最新長篇。

感想・レビュー・書評

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    人生賭けたい夢がある。でも、内定は欲しい。かつて、高校生でギタリストデビューを果たした山木太郎。しかし栄光も束の間、バンドは解散。すっかり燻り、大学三年の秋を迎えた太郎の周囲は「シューカツ」に向けて慌しく動き出していた。その“一発逆転システム”に魅せられ、就活戦線に身を投じる決意をする太郎。「元有名人」枠で楽々内定を勝ち取れると思っていたのだが―。就職氷河期「以下」の今に問いかける、書き下ろし最新長篇。
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    17歳でギタリストとしての腕を見出されてデビューし、一時世間を騒がせた山木太郎が主人公の大学生活後半物語である。大学三年にして、早くも過去の栄光にしがみついているとも言える現状は、客観的に見れば、学生にもギタリストにもなり切れないどっちつかずにしか見えない。同級生たちが黒づくめで奔走する就活も、初めは横目で見ているだけだったが、人生勉強と自分に言い訳しつつ、ある意味甘く見て臨むのだったが……。就活に向き合うことが自分と向き合うことになり、恋人や友人たちと向き合うことにもなり、少しずつ成長していく姿は、応援したくもなるのだが、就活の在り方自体に対する疑問や不信感は増すばかりである。自分の人生を掴み取るために奔走する学生たちの賢明さは評価しながらも、(言い過ぎかもしれないが)どこか滑稽にも見えてしまうのはわたしだけだろうか。大学の存在意義までも考えさせられてしまう。ラストの後日譚があまりに平穏なのも、ちょっとなぁ、という感じである。いろいろ考えさせられる一冊であったことは間違いない。

  • 軽い~~
    表紙そのまま
    ただ、最後の端折り具合は・・・

  •  高校時代にギターコンテストで優勝、バンドデビューを飾り一瞬の一世風靡した経験を持つ太郎<TARO>も
    友達に合わせて就活を開始。バンドはメンバの麻薬騒動、脱退等で空中分解中。「わたくしは御社の・・・」と
    言うような、厳しい就活を経験しながらバンドも地味ながら復活を果たす。
     Webにて片っ端からエントリーし、数をこなす就活。落ちれば人生の、変身できる選択肢が減る。自分が経験
    したバブル時代の就活とは全然違う世界に驚くばかりだった。

  • 一番就活の流れがわかる小説かと。
    最初名前の知っている会社を受け、だんだん中小に目を向けていく。
    そんな中内定をもらっても最早志望企業ではないので、辞め時が分からない。

    主人公はCDデビューしている位の過去、特技があるのにそれを活かしきれない。
    毎日ギター3時間の練習を欠かさず、就活を始めてからは毎朝SPI対応をして筆記が受かり、何より中学受験をしているのだから素質はあるのだが。。。

    将来就職する者がほとんどなのだから、いっそ大学カリキュラムに
    1年、企業研究・自己分析
    2年、自己PR・履歴書
    3年、面接練習

    とか必須科目としてしまえばいいのに。。。
    兄弟の拙い履歴書文章を添削して、そりゃ入学時から準備してきた人には負けるな、と思った。

  • 文学

  • 朝井リョウの『何者』とは違うベクトルの就活小説。ゆっくりと静かに何かが崩れ、死んでいく音がする。

  • この方の経歴を読むと、恐らく高校生の時に作家デビューを済ましていらっしゃるので、就職活動はしていないと思われるのだけれど、かなりのリアルさ。

    父親からのコネの打診を受けて、父親を同じような人生を生きるのかと悩んだり、生き生きしていた姉が仕事から帰ってきて、すでに就職数年で疲れ果てているのを見ておびえたり。
    若干、普段からの自分の、バカじゃないのと思ってる流されやすいミーハーな若者の悪口を主人公の口を借りていっているだけの様な気もするけど(笑)

    私と考えが似てるかもと思える思考の主人公。
    流行に流されやすい世間をなんでだろう??と思っているひとなら必ず共感できると思う。
    それほど素敵な仕事だと思わないけど、なぜ女子アナや天気予報士が人気なのか。ただの空中ウェイトレスなのに、なぜスチュワーデスになりたがるのかとか。

    それに、人物設定がうまい。若いころに有名になって、その後普通の人になってしまった人はその後どうやって生きていくのかという皆が疑問に思っているだろう存在をついてくる。

    シュウカツは、引用の一言に集約されると思う。「努力、だけしか通用しない世界で生きたかった」。。。シュウカツってか、私は世界の仕組みそのものがそうである社会に逃げ込みたい(笑)

    不満なとこと言えば、最後がぼやけてる。
    ま、そこが混とんとした現代の実情なのかもだけど。

  • 人生賭けたい夢がある。
    でも、内定は欲しい。
    かつて、高校生でギタリストデビューを果たした山木太郎。
    しかし栄光も束の間、バンドは解散。
    すっかり燻り、大学三年の秋を迎えた太郎の周囲は「シューカツ」に向けて慌しく動き出していた。
    その“一発逆転システム”に魅せられ、就活戦線に身を投じる決意をする太郎。
    「元有名人」枠で楽々内定を勝ち取れると思っていたのだが―。
    就職氷河期「以下」の今に問いかける、書き下ろし最新長篇。

  • 「ワタクシハ」
    人生賭けたい夢がある。


    山木太郎は、何千のライバルに勝ち抜き、高校生でデビューしたギタリストである。未来は約束された。しかし、栄光を一時は味わったが、あっさりバンドは解散→燻り→大学3年の秋を迎え、貯金も減っていく。太郎の周囲は「シューカツ」に向けて慌しく動き出し、その一発逆転システムに魅せられ、就活戦線に身を投じる決意し、いざ就活へ!!これは、山木太郎の就活での戦いの日々の記録である。


    太郎が就職活動に臨む。そんな訳ですから、本書には就職活動に臨む学生達が、随所に出てきます。


    就職活動サイトの登録、エントリーシート、面接、履歴書の作成から、どうやったら選考を勝ち抜けるのか、企業が学生達には見せない選考基準を突破するにはどうするべきかまで。特に、就職活動時は、様々な情報に惑わされるものです。何が本当の情報か全く分からない世の中ですからね。


    登場人物も就職活動の設定に生きたメンツが登場します。しかし、オモロー大阪というネットに就職活動をアップして騒ぐ系の人間は、本当にいそうですね。自分だけの話で他の人の時間を奪うなど言語道断で速攻落とすタイプなんですけど。こりゃ凄い。しかしながら、この人物の存在が、人間なんて色々だなーと思わせるアクセントにはなっています。嫌いだけど。にしても、認識が甘々な学生達がたくさん出て来る。これは、流石に現実離れしていると思うけれども、きっとあながち外れてはいないんだろうなとも思います。


    <blockquote>
    「本場の大阪の笑い?いい加減、その本場の笑いとやらが、自分達の身内空間でしか受け入れられないという事実に気付くべきかと。関西の大阪の大学のサークルのくそセ名身内空間の中でせいぜいたこ焼きでも食べながら互いに笑かしあっていればいい」
    </blockquote>


    これが一番面白い。”の”を多用して話すところが秀逸ですね。


    太郎の就職活動を軸に書いているのですが、彼が就職活動生兼ギタリストである為、芸能界の話が随所に出てきます。ここもポイントですね。


    「今はどんなに歌が下手な人でもピッチ補正やエフェクター、コンプレッサーとかで歌声を加工すればすぐCD出せるよ」「モデルがCDデビューしたんだじゃなくて、この歌手ってモデルなんだって認識されたいの」「華やかな会社員であるアナウンサーにでもなり富と名声、会社勤めという安定した地位を得ればよいのに」


    上記のような芸能界を皮肉っている様な会話がたくさん出てきます。これが結構面白い。羽田圭介(敬意を込めて敬称略)が、どんな表情でペンを取っていたのだろう。きっとにやにやしながら書いていたんだろうなw


    太郎が、就職活動を通じてどう成長していくのか。そこには、就職活動(コネ入社が可能という設定も普通の就職小説では珍しいかなと)はもちろん、関わってくるんですが、一方でギタリストへの未練も絡んできます。


    内定を取る為に就職活動をするのか、仕事をする為に内定を取るのか。太郎は、果たしてどんな決断を下すのだろうか。

  • 就活の話

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著者プロフィール

1985年、東京都生まれ。明治大学商学部卒業。2003年、『黒冷水』で第40回文藝賞受賞。2015年、「スクラップ・アンド・ビルド」で第153回芥川賞受賞。他の著書に、『不思議の国の男子』『隠し事』『盗まれた顔』『メタモルフォシス』『コンテクスト・オブ・ザ・デッド』『成功者K』『ポルシェ太郎』『Phantom』『滅私』などがある。

「2021年 『三十代の初体験』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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