鉄のしぶきがはねる

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 378
感想 : 77
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062167611

作品紹介・あらすじ

工業高校機械科1年唯一の女子、冷たく熱い鉄の塊に挑む!めざせ「ものづくり」の真髄!「高校生ものづくりコンテスト」旋盤青春物語。

感想・レビュー・書評

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  • イベントでまはらさんのお話を伺う。
    ペンネームは三月三日生まれ、古事記の作中に出てくる桃が邪気を払うという意味合いがあるとのこと。作業場所では椅子がわりにバランスボール、毎日午前中に創作活動をなさっているとのこと。10年ほど同人誌で鍛えられて40代でデビューなさったとのことで、努力家で言葉を選びながら誠実に答える姿がとても素敵でした。
    こちらの作品は実際に取材を綿密に行ったというお話でした。

    コンピューター研究部、ものづくり研究部って私の頃はなかった、部活動。キラキラして見える。おじいちゃんの工場の動く機械や飛び散る火花を見るのが好きだったという心が主人公、<高校生ものづくりコンテスト福岡>大会に向けて部員のみんなと切磋琢磨を重ねた時間を描いている。切削時に出る鉄くずであるキリコには職人の腕が現れる、旋盤は「削る」「挽く」、ドリルで穴をあけるのは「揉む」、平面をかき削る時は「きさぐ」、ほんのちょっとの削るなら「さらう」とか「なめる」とか鉄の加工で言葉は変わるらしい。実践の前には理論、「何かに一生懸命になっとる時、それが本物かどうか、人は時々試されるんよ」という大山先生の言葉が襟元を正されるような気分になる。崎原先輩の「性差も能力」という助言に本人が勇気づけられ「ものをつくるのに男も女もない」という祖母の言葉に重ねる。自分の歩きたい道をひたすらに歩く姿を応援したくなる。
    「機械にいい仕事させるのは人間やからね」という原口先輩の背中を眩しく見つめて心を寄せる様子も青春だなあと思う。北九州という工業の町に育った著者はモノづくりの話をかいてみたいと思って出来上がった作品とのこと。また北九州までドライブして工場萌えしてこよう。

    • Manideさん
      ベルガモットさん、こんにちは。

      三桃と書いて「みと」と読むんですね。

      そこまで本を読めているわけではないので、まはらみとさん、初めて知り...
      ベルガモットさん、こんにちは。

      三桃と書いて「みと」と読むんですね。

      そこまで本を読めているわけではないので、まはらみとさん、初めて知りました。

      イベントで作家さんのお話を伺うなんてことに参加したことないので、いつかそういうイベントにも参加してみたいな〜と思っていたところです。

      また、読んでみたい本が増えました(^^)
      2023/10/08
    • ☆ベルガモット☆さん
      Manideさん、おはようございます。
      アイコンはハロウィン仕様だそうすね(^o^)
      コメントありがとうございます!そうなんです、「みと...
      Manideさん、おはようございます。
      アイコンはハロウィン仕様だそうすね(^o^)
      コメントありがとうございます!そうなんです、「みと」と読むそうです。
      実は私もこのイベントで知りました。福岡在住の児童文学作家さん三名の座談会で、和やかな雰囲気でした♪図書館の会議室でなんと無料!
      Manideさんがレビューなさった、北九州舞台にした『コンビニ兄弟』も読みたいのですが、予約60名待ちで人気です。
      読みたい本がどんどん増えて積読状態、何とか解消したいでーす
      2023/10/09
    • Manideさん
      おぉ〜、福岡在住の作家さんなんですね、
      イベントいいですね、面白そうです。

      しかし、60名待ちはすごいですね、予約が多くなると保持数も増や...
      おぉ〜、福岡在住の作家さんなんですね、
      イベントいいですね、面白そうです。

      しかし、60名待ちはすごいですね、予約が多くなると保持数も増やしていくんでしょうが、それでも1年はかかりそうですね…
      コンビニ兄弟は、もう少し待ってからですね、
      きっと(^^)

      私は図書館の予約枠は、常にいっぱいですが、どのタイミングで入ってくるかの予測が難しいですよね。予約している人の平均返却まで日数とか利用して、おおよその受け取り予定日がほしいところです。
      2023/10/09
  • しんどい先にある「たのしい!」のほうが、かんたんな「たのしい」より、断然「たのしい!!」。
    方言なところもすてきでした。

  • 面白かった。まぶしいぐらいキラキラした青春小説。鉄。火花。旋盤。職人技。カッコイイ。
    金属質で硬い物に熱い想いが感じられる。専門用語もたくさん出てくるけど、テンポ良くサクサク読みやすかった。主人公のおばあちゃんがいい味出している。
    「ものづくりは楽しい!」同感です。

  • おもしろかった!
    旋盤の技能を競うものづくりコンテストを目指す高校生の心(しん)の物語。
    原口が言った「ものづくりは楽しいから」が象徴するストーリー。旋盤も専門用語も聞いたことないものばかりだが、登場人物たちの楽しさが伝わってくる。
    もの研の部員でもある、吉田、亀ちゃん、前半大活躍の小松さん、みんないい。
    終盤、原口が元カノに会うところに心がついて行ったのに、何もできなかったのも良かった。

  • 取って付けたような恋愛要素は余計でした。

  • どこかの図書館のYA向けサイトかなにかで知って、おもしろそうだなぁと思って気になっていた。
    疲れてしまって物語の世界に入り込みたくなって、図書館をぶらぶらしていたらこの本のことを思い出して借りて帰った。

    北九州工業高校、電子機械科の唯一の女子、三郷心(しん)。
    コンピューター研究部に入っているのだが、ものづくり研究部で旋盤を回すことになり…。

    なんかいいですよね、ものづくりって。
    「公差」とか懐かしい響き。
    職人は少し下にみられがちな世の中になってきたけれど、誇りを持って仕事をしているのって、ほんとうにすてきだ。
    血はあらそえず、心もやはり旋盤に引き寄せられて…葛藤がリアルだった。
    あと、荻野が謝罪に来られないのもよかった、それだけ後悔してるんだと感じる。
    ちょっと最後が唐突だったけれど、YAだしいいよね。(なんだか「耳をすませば」を思い出した)

  •  北九州工業地帯を支える下請け企業の小さな町工場が並ぶ、北九州工業高校。三郷心(みさとしん)は、機械科1年生、たった一人の女の子だ。
     三郷金属工業の社長の孫として、幼い頃から工場で育ったような心だったが、従業員の裏切りから祖父の死、会社の倒産と不幸が続き、腕のいい旋盤工だった祖父を慕いつつも、「ものづくり」からは遠いコンピュータの道を選んでいた。
     そんな心に文化祭限定で「ものづくり研究部」からの誘いが……。即答で断ったはずが、もの研メンバーの様子や油のにおい、手の感触に心惹かれるようになって……

     気持ちのいいYAでした。専門用語はちっともわからないけど、そんなことは気にならないくらい、「ものづくりは楽しい」というメッセージがびんびんに伝わってきて……。もの研の少年少女の真っ直ぐ思いに心を打たれました。心から夢中になれるものがあるというのは、本当に素敵なことですね。
     

  • モノづくりへの情熱と高校生の純な思いとか、胸キュンモノです。
    「たまごをもつように」もよかったので、こちらも是非読んでみたかった!

  • 工業高校機械科1年唯一の女子が旋盤作業に挑む。ものづくりの世界を描いた青春小説。
    全く知らない世界の話で機械や作業工程が想像しにくいが、練習を重ね上を目指す一途な姿に魅了される。
    女子であるための苦悩などを織り交ぜながら展開するのも読み応えあり。

  • 工業高校の青春ストーリーという感じでした。
    馴染みのない単語ばかりで⁇でしたが、不思議と一気に読んでしまいました。機械の音一つとっても、色々な表現をされていて、楽しく読ませてもらいました。

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著者プロフィール

福岡県生まれ。講談社児童文学新人賞佳作『カラフルな闇』でデビュー。作品に、『青(ハル)がやってきた』、『鉄のしぶきがはねる』(坪田譲治文学賞、JBBY賞)、『たまごを持つように』 、『伝説のエンドーくん』、『思いはいのり、言葉はつばさ』『日向丘中学校カウンセラー室1・2』『零から0へ』『かがやき子ども病院トレジャーハンター』など。

「2023年 『つる子さんからの奨学金』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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