奪われた人生 18年間の記憶

  • 講談社
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本棚登録 : 91
感想 : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062167833

作品紹介・あらすじ

私の名前はジェイシー・リー・デュガード。11歳のときに見知らぬ人に誘拐されました。それから18年のあいだ、ある家の裏庭に閉じ込められ、本名を名乗ることが許されませんでした。これは、1991年6月のあの運命の日からいかに私の人生が変わったか、ということを書いた手記です。11歳で誘拐、18年間監禁され、2人の娘をもうけさせられた女性の数奇にして戦慄、全米を涙に包んだ感動の手記。

感想・レビュー・書評

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  • 図書館で見かけて、中を軽く確認するつもりが立ったままずーっと読んでしまった。
    子供のころに夫婦ものに誘拐されて、以降18年間監禁されていた女性の手記。
    借りられなかったから飛ばし飛ばしの流し読みになってしまったけれど、これは読むならちゃんと腰を据えて読みたい。

    18年は長い。外界にほとんど触れず、しかも子供のころからだ。
    お前は間違っている、自分(犯人)が正しい、外の世界は恐ろしい所だ、お前のために注意してやっているんだ、と言われ続けると、そうなんだと思い込んでしまう。
    逃げる機会はあったかもしれないけれど「逃げられない」。
    そう思い込まされてしまう過程が哀しくて恐ろしい。

    「自分はセックスの問題を抱えている。お前がいるおかげで他の女性たちにひどいことをしないですむ」
    という犯人の身勝手な言い分に、吐き気はするけどある意味納得した。
    これあれじゃん某府知事とかの慰安婦が必要だって言い分と同じ発想だわ。
    なるほどこういう人たちって言い訳やこじつけじゃなくて、本気でそう思っているのか。

    最近オハイオで似たような長期監禁事件が発覚した。
    現地のニュースでは被害者の家がドドーンと大写しにされて凱旋パレードみたいに人が集まってヒューヒュー歓迎していた。
    彼女たちは望んで何かを成し遂げたヒーローではなく、なんとか生き延びただけの被害者なんだからそっとしといてやれよ、と思った。
    でも、恥じなくていい 隠れなくていい あなたはなにも悪くないというメッセージをきちんと送るのも大切なんだろうかとも思った。

    著者の場合はやっぱりメディアスクラムは迷惑だったらしい。
    子供の顔がさらされるかもしれない、「あの」事件で生まれたこどもなんだと気づかれたらどうしようと考えると、一緒に出かけたり学校行事に参加するのもためらってしまうとあった。
    それはそうだよな。

    「すべて忘れてしまえるように」http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4789726398でもそうだったけど、一時被害の真っ最中の麻痺しているときもさることながら、回復しようとする回復期の二次被害は避けられる部分なだけにきつい。

    だけど、誘拐された子供と家族がまた家族としてやっていけるように支援する専門家やプログラムがきちんとあるってことには感動した。
    めったにある事件じゃないというのもあって、日本では支援者が経験を積むのは難しいけれど、せっかく返ってきた子が余計に傷つけられるようなことはあっちゃいけない。
    二次被害を防ぎ、被害を支援する仕組みが必要だ。

  • 日本でもニュースになったので覚えている。
    およそ信じられないような、11歳から18年間もの監禁の末に救出された少女の事件。無論、長い歳月が、社会に戻ってきた彼女を29歳の大人の女性に変えていたわけではあるが。
    その被害者本人自らが、監禁生活から解放、そして本書を出すまでを描いた手記である。

    あまりに卑劣で、身勝手で、身の毛もよだつようなむごすぎる仕打ち。暴力で支配された人の底知れない無力感、絶望感。心に蓋をしてひたすら生きようとした彼女の叫びが、生々しく書き連ねられている。
    この忌々しい過去を思い出そうとすることさえ、想像を絶する苦しさを彼女に強いたに違いない。
    解放されて3年程度で本書を出したわけだが、よくぞこれだけの凄惨な体験をしていながら、この短期間でここまで心を回復させたものだ。
    解放後の周囲の深い愛情と手厚い保護、支援は言うまでもないだろうが、地獄のような18年間を生き抜いた、彼女自身の心の強さと聡明さがあったからこそなのだろう。

    楽しく読める本ではなかった。かなりの回復が見られるとはいえ、まだまだ長い道のりをかけて、心の傷を癒しきる必要があるだろうと思う。
    しかし悪夢から這い上がった彼女の姿に、人の逞しさと力強さを見、愛を注ぎ注がれることの底知れぬ力に感銘せずにはいられない。
    これからの長い人生を、二人のお嬢さんと家族と、末永く幸せに暮らしていかれることを切に願う。

  • p231
    いつも答えを用意しているのはフィリップだったので、彼がいなければ何をしていいかわからなかったからだ。

    保護観察官とフィリップが部屋に入ってきた時の場面である。保護観察官はこの後で帰ってしまうので、フィリップを逮捕する絶好の機会を逃している。

    一方でジェイシーは、知った人間が登場したことで安心してしまっている。フィリップは精神的に依存するに値しない人間であるにも関わらずである。

    この手記ではそのような危うい心理が隠すことなく書かれている。彼女がこれを書くことで自分と深く向き合っているのがわかる。

  • 11歳でさらわれ、29歳で助け出された女性の手記。

    18年間の監禁生活と、その時に感じたことが被害者の立場から詳細に書かれている。

    加害者との間に生まれた2人の娘に対する気持ちや、引き離された母親への渇望、そして加害者夫婦への奇妙な依存心が描かれ、読んでいて辛くなる。

    しかしページをめくる手が止まらず、一気に読み進めてしまうだけの力があった。

  • ノンフィクションもの。被害者である著者が言っているとおり、上手い語り手ではないけれども、事件当時の様子を逃げずに述懐している。

  • 11歳の女の子がどんなに恐ろしかったかと思うと心の中が黒い物で塗り潰されていくようです。それから18年!日記の中で母親を恋う気持ちに涙が出ました。自分も母となってはいても、20才になってはいても、連れ去られた時の11才の気持ちのままに母を求めているのだと切なくなりました。幸せになってほしいです。

  • 11歳のときに誘拐され、18年間監禁された被害者のかたが書いた手記です。
    執筆は勇気の要る行為であったと思います。
    救出後に家族と再会し、サポートする人と出会い、生活を通じて色々なことを経験し、気付く過程が丁寧に書かれています。

  • あまりに恐ろしい実話。例えるならユダヤの迫害から生き延びた人くらい残酷。希望がもつ生きるパワーの計り知れなさを思うと同時にどうしてこのような残酷なことが現実にありうるのか理解に苦しむ。

  • 18年間も拉致監禁された側の女性の勇気あるドキュメントでそこは臨場感もあってすごいのだが、いかんせん犯人側の情報が少ない。それは彼女自身が思い出したくない記憶だからしょうがないとは言える。

    またこれもしょうがないのだが、プロの文筆家ではないので時系列に沿ってもいないし(作者自身プロローグでそこは謝っている)、文章自体が稚拙で読みにくい。

    個人的にwikiにも掲載されていないような、実際の事件詳細を知りたかったので評価が下がってしまったが、貴重な記録であることは間違いないです。

  •  11歳の時に誘拐され、18年間監禁されていた少女が、その間のことを記した本。
     彼女はその間に2人の子を産んでいる。

     「人は生きなおすことができる」という力強さを感じた。

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著者プロフィール

1980年、アメリカ合衆国カリフォルニア州アナハイムに生まれる。11歳の1991年6月10日、当時住んでいた同州サウスレイク・タホーの自宅付近のスクールバスのバス停に向かう途中、フィリップ・ガリド夫妻により誘拐された。両親の必死の捜索にもかかわらず、行方不明となった。誘拐後はガリド宅に監禁され、1994年に第一子、97年には第二子をもうけさせられた。誘拐から18年後の2009年8月26日、ガリド夫妻が逮捕され、ジェイシーと、フィリップ・ガリドとの間に生まれたふたりの娘は無事に保護された。

「2016年 『誘拐監禁 奪われた18年間』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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