ザ・ラストバンカー 西川善文回顧録

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 961
感想 : 150
  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062167925

作品紹介・あらすじ

安宅産業処理、平和相銀・イトマン事件、磯田一郎追放、銀行大合併、UFJ戦奪戦、小泉・竹中郵政改革…現場にいたのは、いつもこの男・西川善文だった。密室の出来事すべてを明かす。

感想・レビュー・書評

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  • さすがに金融激動の時代を生き抜いてこられた人の回顧録。過去のものだと知っている事件の予備知識が乏しいものの、当事者から当時のやりとりや本人の決断の背景等が克明に語られているのは新鮮で面白い。合理性と現実の間で悩みながらも、様々な決断してきたという背景を知ると、リーダーは苦難から逃げず批判に屈してはいけないという最期のメッセージは強い。それにしても規模の大きな話が多い

  • SMBCの元頭取であり、ラスト・バンカーと呼ばれた西川の回顧録。
    住友銀行に入行し、安宅産業、イトマン処理を経て、さくら銀行との合併、UFJ争奪戦、郵政民営化までが語られている。

    当時、天皇と呼ばれた磯田会長を解任させるまでの話では、西川の信念・凄みを感じ、
    さくら銀行との合併時の話では、「さくら銀行の救済」と報道陣に表現された西川が「さくら銀行に失礼だ」と報道陣を一喝した話では、ボスとしての魅力を感じた。


    不良債券処理や金融ビッグバンといった金融業界史に残る激動の日々を、まさに中心で過ごした西川の回顧録は、まさに壮絶の一言である。

  • 日本の高度成長期、バブル景気、バブル崩壊、失われた10年、いや20年、東日本大震災、福島原発事故など、激動の時代をバンカーとして心血注いで取り組んでこられた西川善文さんの、生々しいまでの回顧録。日本郵政の問題も、当事者の視点で語られる真実と、報道を介して知る内容との間に大きなギャップがあり、非常に考えさせられた。

    銀行とは、経済を支える大きな要であると改めて感じる。真山仁さんの「ハゲタカ」を読んだときにも同様の感想を持ったが、本書を通して、銀行には、不良債権だけでなく、国の経済の方向性を決める大きな役割があると感じた。

    一部消化不良の部分もあるので、再読中。

  • 安宅産業処理、平和相銀・イトマン事件、磯田一郎追放、銀行大合併、UFJ戦奪戦、小泉・竹中郵政改革…。数々の不良債権と戦い、『不良債権と寝た男』とまで言われた筆者がつづる壮絶な仕事人生です。

    僕が西川氏について覚えていることは郵政の社長を辞任する際の非常にいらだった様子の会見模様でした。それが本書を読むきっかけになったといえばなったのですが、一読して日本の経済史を揺るがした事件。安宅産業処理、平和相銀・イトマン事件、磯田一郎追放、銀行大合併、UFJ戦奪戦、郵政改革…。これらの重要な局面にいつも筆者が裏で動いていたということを知って衝撃を受けました。

    筆者いわく、自分のような経歴を持っている人間が頭取になるということは本来ありえないことだが非常時だったからこそ、自分が頭取になったのだろう。というようなことを述懐されていたことが印象に残っています。本書の構成は郵政の社長になる前の住友銀行および、合併されて三井住友銀行時代のことが大半を占めるのですが、安宅産業の処理には文字通り東奔西走して処理に当たったということや平和相銀・イトマン事件では銀行とバブル時代の『ヤミ紳士』との関係が問題視されていた中でも粛々と破綻を回避するために文字通り『死に物狂い』で事にあたっていたのだな、ということが文章の節々から感じられ、経済人の回顧録としてはかなり異色な印象を持ちました。

    そして、小泉・竹中改革の目玉だった郵政民営化でその舵を取るべく社長に就任する後半部では、巨大な日本郵政を現場主義で改革しようとした部分と、それが奥様いわく『政治オンチ』が災いして鳩山邦夫総務相(当時)との軋轢に始まって、内部からのさまざまな『抵抗』に遭い、やがて亀井静香氏から『引導』を突きつけられる場面に至っては、さぞかし無念だったろうな、と思ってしまいました。正直に言って上述した記者会見の印象があって、僕は筆者にあまりいい感情を持ってはいなかったのですが、この本を読んで、氏が『最後の顔が見えるバンカー』という意味でつけられた書名にもなっている『ザ・ラストバンカー』という異名は伊達じゃないんだ、ということを思い知ったのでございました。

  •  職場の本屋の平積みから購入。

     日本郵政の社長で政治にもみくちゃになって、たぶんいろいろな批判もされているのだろう。

     自分は、素直に彼の指摘を受け入れ、自らの反省材料にしたい。

    ①郵政のファミリー企業との関係を見直す。(p243)

     役人は、早期退職があるので、その受け皿の組織をつくるために、ファミリーと称される法人をつくってそこを通して、退職者の賃金を確保しようとする。

     これがコスト高につながり税金の無駄づかいになる。会社も経費をものすごく切り詰める時代、こういう発想を一切捨てて、退職後は自分の力で生きるよう能力を自分でつけるようにしたい。

     国益、国民の利益にならないことに,NOということが大事。

    ②後任の頭取に同じ住友出身の奥さんを指名した。(p211)

     人事のたすきがけより、適材適所を行う。いうはやすし、やるはかたしだと思うが、それを断行したことは立派だと思う。

    ③さくら銀行との合併後、100日以内にあらゆる部署が取り組むべきコスト削減、リストラ計画をまとめ着手する「百日作戦」を打ち出した。

     今の役所の合併組織だが、10年たっても、まだまだ風通しも悪く、無駄もある。きっと当時の銀行でも不平不満はあったのだろうが、それを断行するトップの力はすばらしいと思う。

     民間のトップの回顧録から、それを自慢話と受け止めずに、自分は、素直に、役人ができていないことを反省したい。

  • 元三井住友銀行頭取の西川善文氏の回顧録。
    幼少期から住友銀行入行、安宅事件、イトマン事件、UFJ問題、日本郵政に至るまでの変遷を語っている。日本の金融が大きく転換期を迎え、その激動の時代を生き抜いてこられた西川氏。全体的に史実が多く、西川氏自身の考え方や価値観に関する記述が少なかったことは残念だが、激動の金融大変革時代を学習するには十分な図書だと思う。

  • 帯にある「不良債権と寝た男」という文言・・・・・・・寝たくないし・・・・・^^;

    この本売れているようで注文してからだいぶ待たされました。

    「ビジネスはドライで、合理的なものである。これを否定する人は誰もいない。マスコミの記者も会社に属しながらビジネスとしての報道を続けているのだから、この合理性と無縁でいる事はできない。では、なぜビジネスの現場における合理性を、合理性ではなく根拠なき情緒で批判するのだろうか」

    この本の中に↑こんな言葉がありました。
    おそらく西川氏が一番言いたい事を端的に表した言葉であろうと思います。
    「根拠なき情緒」・・・・いわゆる日本的な「空気」の事ですよね。

    最後に政治に翻弄(鳩山や亀井)される形で、国民の目には「国賊」「売国奴」のように映った出来事、さぞ、、無念だったろうな、、、と思います。


    住友銀行頭取、三井住友銀行頭取、三井住友フィナンシャルグループ社長、日本郵政株式会社社長、日本郵政公社総裁を務めた西川善文氏の回顧録です。


    1970年代の安宅産業事件、1980年代の平和相互銀行事件(そういえば、学生時代の下宿のそばに昔は平和相互あったな・・・)1990年代のイトマン事件。。。

    これらの渦中で処理現場の中心(住友銀行時代)であったことから「不良債権と寝た男」と呼ばれたそうで。。。。約半分がこれらの事について回顧です。


    そしてその後の銀行の統合(UFJ争奪戦)、小泉・竹中郵政改革(郵政問題)・・・・・・。
    特に、郵政改革に関わった箇所に割いた項数は多く、読みごたえあります。

    関わった事件や出来事というのは小説やドラマ化された内容、マスコミからボコボコに叩かれまくった内容も多く、それについて西川氏側から反駁される事という事はすくなかったように思います。
    「いまだから話せる・・・・・・」という秘話も多く一読の価値はあります。

    おもしろかったです!

  • 何度も読み返したくなる数少ない一冊となりました。壮絶な舞台裏がここまで描かれているのは圧巻

  • 著者が亡くなったことをきっかけに知った。一金融マンとして、これを機に読んでおこうと思って購読。
    頭取になるような人物が手掛けたオイルショックやバブル崩壊に起因する不良債権処理というものが如何に銀行にとって大事かつ大変か、現場感を持って知ることができる。さらには銀行同士の合併や、郵政民営化の話もこれまで知らなかったことばかりで、生き字引と言っても良い存在だったのだろう。もう一度読み返す価値のある本だと感じました。
    加えて、どのような立場になっても、顧客目線がぶれていないことが本当に凄い。実際に仕えた人の言葉を聞かないと何とも言えないが、こういう人がトップになればうちの会社はもっと良くなるのに、と思わずにはいられなかった。

  • 2020/09/26

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著者プロフィール

三井住友銀行元頭取、日本郵政元社長。1938年奈良県生まれ。1961年大阪大学法学部卒業後、住友銀行に入行。大正区支店、本店調査部、融資第三部長、取締役企画部長、常務企画部長、専務等を経て、1997年に58歳で頭取に就任し8年間務める。2006年1月に民営化された日本郵政の社長に就任するも、政権交代で郵政民営化が後退したため2009年に退任。著書に『ザ・ラストバンカー 西川善文回顧録』(講談社文庫)などがある。2020年に死去、享年82。

「2021年 『仕事と人生』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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