著者 :
  • 講談社
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感想 : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062168052

作品紹介・あらすじ

群像編集部の若手編集者羽田御名子のもとに、小説家志望の安良川王爾から持ち込まれた原稿「裂」。登場人物には御名子の名が使われ、穢されていた-。「群像」連載時から注目を集めた作品がついに単行本化。文芸出版界の内実を曝す問題作。

感想・レビュー・書評

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  • 群像編集者と才能に埋もれた青年の話。
    編集担当の裏側が覗ける!と話題の作だったが、読破してみればそれほど頁が割かれているわけではなかった。

    性描写が多いかな。

    描写、会話、説明を学びたい作家志望者には一読の価値有り。

  • 飛ばし読みしてしまった。
    好きになれないな。

  • 読後のダメージが、これまで読んだ小説の中でもトップクラスだった。作中の「事象を抽象化する能力が、虚構構築には必須」というのは、一年以上前に読んだ雑誌の中の村上春樹の「読み解くことは謎なり質問なりを置き換える、パラフレーズすること」という発言と結びついた。

  • 随分、久し振りの更新--;

    ある方から、
    仮にもモノカキを目指す者であれば読んでおいてきっと損はない、
    との勧めを受けて一気読みした。

    端的なあらすじとしては、才能のある作家未満の物書き志望者が、編集者とねんごろになった末に、めでたく作家としてデビューするまでを、その女性編集者の視点から描いた、虚実併せ持った物語である。

    実際今月末に応募〆切を迎える「群像新人文学賞」の選考過程、新人賞の舞台裏、出版業界の空気、編集者の仕事ぶりや思い、作家の生態、プロとアマチュアを隔てるものの正体、表現という行為及び才能についての考察等々、少々耳の痛い話も含め、示唆に富む内容が目白押し。

    これまでに散々、出版業界や創作に関するあれこれは読んできているので、断片的に知っていることは多かったが、編集者の仕事を通してそれらが線になってすっきりしたような気がする。
    もちろんあくまでフィクションであるし、著者の理想・希望的な部分もあるようにも思うので、鵜呑みにすることはできないが。

    また、性描写が少々過剰な気もするが、嫌悪を抱くほどではないし、作品の主題に寄与こそすれ、いささかもこれを損なうものではない。

    さて、語れるほど著者の作品郡をあれこれ読んでいるわけではないが、
    これまで読んだ数冊に共通して抱く思いとして最も強いのは、
    艶のある文章だな、
    ということだ。

    世界観は好みではない。
    露悪趣味的だったり、人の汚い部分をあえて選んで描いてるのだろうと思う記述は、生理的に進んで読みたいと思うテーマではないことが多い。

    それに、登場人物の気持ちの変化が落ち着かなくて、お尻の座りが悪い。

    繊細と思えば大胆で粗雑、奔放と思えば小心、自虐的と思えば不遜。
    なかなか正体がつかめないことに加え、時代錯誤的なヒロイズムが鼻につくことがあったりで、共感し感情移入することはほとんどない。

    だが、どうしても途中で投げ出すことはできない。

    なぜといえば、間違いなく「幸福な読書体験」を提供してくれるからだ。

    嫌悪を抱きながらも、鮮やかに目の前に人物や風景が浮かびあがり、その背後には光さえ感じることができ、鼓膜には文中の会話や自然の息吹が踊り込み激しく跳びはね、生き生きとした汚物は鋭く鼻の粘膜を刺激し、風がほほに触れたかと思うと、口に甘かったり苦かったり酸っぱかったりする。まさに登場人物らの思考と知覚を追体験しているのだ。そしてそうした体験を通し、自分の生をあるいは性を実感することが出来る。

    凡百の作家の作品にはないこの心地良さこそが、著者の言う「センス」「才能」のたまものであることに間違いはなく、文句なしに著者を、現代文学を代表する作家の一人たらしめている理由となるのだろう。

  • 正直言って、最初の数ページだけでも音を上げそうになりました。その後も途中で何度か挫折しかけましたが、後学のために最後まで読みきりました。

    小説という形式をとって、”小説を書く”ということ、小説家であるということ、編集者の姿勢に対する著者の主張を表現するため、そして文学賞の内幕をさらすために書かれた作品のように、私には感じられました。

  • いつものと言ったらいつものなんだけどそれは様式美だからいいの。とうとう作中に作者出演w。

  • 花村萬月の小説入門、いつもどおりエロも暴力もあるよ、という著者のエッセンスみたいな本で、これまでの作品のサブテキストとしても読める。それにしても花村萬月の小説の中で、「赤いボディのラミーのサファリ」が「じつに使い勝手がいいのだ」なんて文章が読めるとは。文具好きなので激しく反応してしまう(赤一色の鮮やかなジャケットと呼応しているしね。で、登場人物はこれにアルミホイルを巻いてマリファナを吸うためのキセル作りに使っちゃうんだけど)。

  • んー...また萬月さんのこのパターンの作品だったかぁ...
    というのが正直な感想かなー。昨年読んだ「西方之魂」
    が凄いいい作品だったのに、またコッチの方向の作品と
    思うと流石に食傷気味なんですよね。
    今までは誰が読んでもこれ萬月さん、自分の事だよねという
    主人公がいろいろとブチ撒けていたんですが、今作では
    とうとう作中に本人が登場して、今まで様々な作品で
    読んだ色んな持論を展開しちゃいます。
    もう、結構前から...読んでるからもういいよー...
    と正直思ってしまう。

    それに「セックス「と「暴力」は読者へのサービスと
    昔から言い切ってますが、思ってるほどコチラ側はその
    要素を求めてないと思うんですよねぇ。ここまでくると
    逆にそれしか書けないじゃ...なんて
    思ったり、思わなかったりw。

    まぁ...ただ昔の作品に比べるとラストがどうにもならない
    重くて鬱なものでないだけ...まだアリかな。

  • 「文芸出版界の内実を曝す問題作」と帯のコピーにあり、興味を惹かれ、購入して即読んだ。
    「群像」編集部の女性編集者を主人公に、作家志望の男達や作者花村萬月自身が登場し、文芸誌の新人賞の裏事情などが語られる。その点は興味深かったが、実際に作品を貫くモチーフのほとんどは「セックス」「ドラッグ」「暴力」で、女の読者であるわたしには耐え難いものがあった。
    だが、それだけ嫌悪感を感じさせながらも、この小説は途中で読むのをやめさせない力がある。
    文中、花村萬月が、「感性的に嫌悪を抱いても、なおかつ惹きよせられてしまうもの」、その「センス」を持つものが小説であり小説家であると語る。確かにこの作品にはその「センス」が内在しており、花村氏は「センス」を持つ限られた存在の小説家なのだろう。
    この小説にはいくつもの瑕がある(例えば、女性を描けていないとか、ラストの処理が安易だとか)。
    だが、そんなことは問題にならない。小説とは本来瑕を抱える性質のものなのであって、そんなちまちましたことを凌駕するダイナミズムがあることが重要なのだ。それがひしひしと伝わってくる。
    全編汚物にまみれきったような作品でありながら、読み終えたあと、どこか清々しい。稀有だ。

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著者プロフィール

1955年東京都生まれ。89年『ゴッド・ブレイス物語』で第2回小説すばる新人賞を受賞してデビュー。98年『皆月』で第19回吉川英治文学新人賞、「ゲルマニウムの夜」で第119回芥川賞、2017年『日蝕えつきる』で第30回柴田錬三郎賞を受賞。その他の著書に『ブルース』『笑う山崎』『二進法の犬』「武蔵」シリーズ、『浄夜』『ワルツ』『裂』『弾正星』『信長私記』『太閤私記』『対になる人』など。

「2021年 『夜半獣』 で使われていた紹介文から引用しています。」

花村萬月の作品

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