わたしの彼氏

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062168083

作品紹介・あらすじ

大学2年の繊細美男子、鮎太朗。美人で怖い姉3人。女たちはみな彼に恋をする。けれどいつも鮎太朗が振られてしまう。何もしていないのに包丁で刺されたり、貢がされたりする。彼を慕い続ける可愛い同級生には、どうしても心が惹かれない-。恋は理不尽。恋は不条理。だけど、ひなたを走りたくなるくらいあったかい気持ちになるのは、何故なのだ?恋する心の不思議・普遍・歓び。

感想・レビュー・書評

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  • 二十歳の大学生、鮎太朗。三人の姉からそれぞれ思い思いの愛情を受け好青年に育った。
    顔の作りは悪くない。見られることに慣れ、自信なさげに目を伏せた彼は人々の同情を買う。
    そんな鮎太朗を襲う女難の数々…恋の傷に効くのはより強烈な恋!?型破りな純愛小説です。

    顔が良く、優しく、控えめでかわいらしい鮎太朗。惚れっぽくて、惚れられやすい鮎太朗。
    いわゆる母性本能をくすぐるタイプ?この気持ちを何と表現したらよいものやら。
    辛かったねと慰め抱きしめたい、その一方で、毒を投げつけ捻り上げてやりたくもなる。
    すっかり彼に夢中。これって恋かな…!笑

  • へたれ美男子鮎太郎と美人3姉妹、そしてメンヘラ女性陣。
    今の時代ならではの、ふわふわした毒ガスみたいな物語でした。

    冒頭から登場する女性に対して、なんて嫌な女。と思ったのも束の間、次々に個性的な女性が登場します。
    そんな子、やめなよ。はやく離れなよ。
    そう主人公に言いたくなる。誰もかれも大ばかだ。

    そのくせ、女性陣の気持ちがたまにわかったりもして、
    嫌になるくらい自分の病んでる部分をじくじく刺激してくる。

    本書は大学生のもつ独特な空気感がよく出ているなと思いました。
    あの人生の中でも自由で憂鬱で退屈で混沌とした時間。
    そして、著者は相変わらず比喩が美しくて的確。
    思いもつかない表現をするのに、目にするとそれしか最適な表現はないんじゃないかと思えるくらいすっと理解できる。

    すこし、好きな人と散歩をしたくなる。海にいきたくなる。
    毒抜きをしに。

  • 美男子で心優しいんだけど女運の悪い男 鮎太郎。彼の三人の姉はそれぞれに美人だけどどこか壊れてるし(特にゆり子)、歴代の彼女は、美人だけど自分に酔ってる感じのリリー、こけし顔の地味な年上のDV女、たかり上手で散々彼に貢がせて消えた女子高生。

    一途に(と言っても一度は諦めて慎平と付き合っちゃうけど)想ってくれるテンテンをスルーして訳の分からないタイプにばっかり翻弄される鮎太郎。彼が彼女らに惹かれる理由が伝わってこないせいか、鮎太郎という主人公がさっぱり掴めないよ…。

  • 女にはモテるが優柔不断でどこか頼りないわたしの彼氏。殴られても殴り返さない、自主性もなく振り回されるだけ振り回され結局は放擲されている。腑抜けのような立ち居振る舞いの中に様々な恋愛の在り方が問いかけられているようでもあった。同じことを繰り返し、過ちを繰り返しながらも確実に人は前進しているのだとも感じた。

  • 大学時代、家庭教師のバイトをしていたときに、教えていた中学生の男の子から「切ないって、どういう気持ちですか?」と質問されたことを思い出した。

    小説は時代を表す、と改めて感じた。鮎太朗のような男の子は、バブリーな時代には主人公にはならなかっただろう。そもそも、こんなにも女の子からもてなかったのでは?派手さはなく、自己主張も少ないが、存在感があってみんなから好かれる鮎太朗。対照的に、鮎太朗の三人の姉を含め、登場する女性陣がみんなとてもパワフルで個性的だ。このアンバランスさがこの小説の魅力なのかな?

    どこがどう良かったとか、感動したとか言えないが、何となく鮎太朗が憎めず、かつ、鮎太朗に恋する女性陣が愛おしく思えるので、星4つ。

  • 吉田修一「横道世之介」のような雰囲気。

    それにしても主人公・鮎太郎の女運の悪い事、悪い事。
    三人の姉や恋人に始まる女達に、いい様に扱われ過ぎ。

    とは言え、三姉妹の彼に対する愛情は何だか微笑ましい。
    とことん苛めて、とことん愛す。なんだかんだで良い関係性の姉弟かも。
    おにぎりのタラコの粒を数えさせるという苦行は、地味に酷いと思ったけど。

  • 女性達が個性的。これは一応ハッピーエンドなのかな。

  • 土地勘があるだけで、この物語が急にリアルになる。主人公、女性に優しすぎ。姉たちが個性的。

  • こねこねこねといちいちめんどくさい。

  • 大学2年の繊細美男子、鮎太朗。美人で怖い姉3人。
    女たちはみな彼に恋をする。
    けれどいつも鮎太朗が振られてしまう。
    何もしていないのに包丁で刺されたり、貢がされたりする。
    彼を慕い続ける可愛い同級生には、どうしても心が惹かれない――。
    恋は理不尽。
    恋は不条理。
    だけど、ひなたを走りたくなるくらいあったかい気持ちになるのは、何故なのだ?
    (アマゾンより引用)

    わたしの彼氏
    って言うよりは
    ぼくの彼女
    のほうがいいのでは…?

    タイトルが意味するところの「わたし」は誰なんだろう?

    鮎太郎という一人の青年の話が軸になってはいるけど、
    「ぼく」とかって一人称が出てこないので、何か不思議。
    説明できないけど何か不思議。

    この人の小説は
    「で、結局どうなるの?」
    って終わり方になることが多いな…

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著者プロフィール

二〇〇五年に「窓の灯」で文藝賞を受賞しデビュー。〇七年「ひとり日和」で芥川賞受賞。〇九年「かけら」で川端康成文学賞受賞。著書に『お別れの音』『わたしの彼氏』『あかりの湖畔』『すみれ』『快楽』『めぐり糸』『風』『はぐれんぼう』などがある。

「2023年 『みがわり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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