- Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062168083
感想・レビュー・書評
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違和感を少し感じさせつつ、淡々と物語を進めて最後に何かしらの重みを残す、そんな小説。刺されたりとか貢がされたりとか、そういった恋愛を積み重ねるので重みがでそうだけれども、一方で主人公はほぼ何も考えずに流されるタイプなので、視点が淡泊。その組み合わせが微妙なバランスを保っているんだと思う。
そうは言いながら、もうちょっと違和感を強く描いた方が好みだし、姉たちの存在の不気味さがもう少し前に出てきても良かったのではないかと思う。読み終わって「結局なんだったんだ?」と感じてしまう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
不思議小説かと思いきや、れっきとした文学な結末でした!
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悪いのは女運なのか、
それとも自分が傷つきたくないから逃げてしまうことなのか。
鮎太郎を取り巻く女の子のことを好きになれないのは
同属嫌悪なのかもしれない。
だけど、鮎太郎の自分の存在意義を揺らいでしまっている姿には共感できた。 -
う~ん.....何度読んでも青山七恵の小説世界は、イマイチ馴染めんな (´・ω・`)
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個性的な姉3人に独特のかわいがられ方をした主人公は、みんなにやさしく繊細な美男子。
外見のせいで不思議な女性たちに寄ってこられ、いつしかつきあうことになるのだが、姉たちと同様に引っ張りまわされるばかり。
恋がうまくいきそうになると、うまく成就できずに変な出来事に巻き込まれるばかり。
そんな彼をひたすらに見つめる同級生がいるというのに、その気持ちを受け取ることはない…
恋ってそんなもの、好きな人には振り向いてもらえず、好きでない人とつきあいながら、いつか気持ちが通じ合うこともあるかもしれないと思っていても、結局うまくいかなかったりと、思うようにはいかないのです。 -
主人公の大学生、鮎太郎は三人の花の名前を持つ姉にかまわれながら育った優しいハンサムボーイ。
次から次へと彼女が現れる。皆、曲者。
女難の相がありますよー、と言われそうな災難に見舞われていると三人の姉、わりとまともな大学の友達達、それに読者までイライラするけど、本人は為されるがまま・・・、別段、苦痛とも大変とも思っていない様子。
普通なら読んでいて人物描写がいいと、《あるかもー》と同感するのですけど、今回はイライラしてしまいました。世代が違うからかしら? ちょっと理解できないフニャ~とした若者を感じて段々と斜め読み。
辛口でスミマセン。☆三つ -
恋は辛くもあり甘くもある。一途になれるのが本当の恋なんだろう。そして愛のかたちも様々。
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青山七恵氏の小説は短編しか読んだことがなかったが、長編では青山氏の文体の切れとか独自さを感じられることが薄く、物語も面白くないわけでもないのだが、行き当たりばったり感が強くなる。
主人公鮎太朗は、優柔不断な美青年。三人の姉達を始め、あらゆる女達に愛され、振り回される。鮎太朗が主体性を獲得しようとあがく物語だが、成功しているようには思えないラストだ。
あるいは、鮎太朗は主体的であろうとしながらも、結局は女達に巻き込まれていくだろう、つまり人間とはそうして同じことを繰り返す生き物なのだという諦念から新たに生まれてくるものもあると、作者は言いたかったのかも知れない。青山氏はいまだ二十代だが、その作品郡は老成の域にあると思うので、そうであっても不思議ではない。
だとすると、やっぱり青山氏はただならぬ。 -
地震後自宅待機中1日目に読了。
うーん…川上弘美の『ニシノユキヒコ~』が脳裏をよぎります。青山七恵さんは短編小説はしっくりくるのですが、この作品はなぁ…ちょっとストーリーにおいてけぼりをくらう感じでした。
舞台となっている場所(であろう場所)が想像できるのでニヤニヤしながら読みました。