赤の他人の瓜二つ

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 156
感想 : 29
  • Amazon.co.jp ・本 (174ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062168823

作品紹介・あらすじ

血の繋がっていない、その男は、私にそっくりだった。青年の労働の日々はやがて日眩くチョコレートの世界史へと接続する-。芥川賞作家入魂の"希望の小説"。

感想・レビュー・書評

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  • 読みながら、筋を追うことは一切諦めていたが、今読んでいる1行が、次の1行への渇きを起こさせる。それだけで保(も)っている小説。
    最後の1行に辿り着いたとき、もっとも驚いたのは、きっと著者自身だったに違いない。

  • 筋が追いにくいという人もいるが、私はそんなことは無く、読みやすかった。時間がふわっと流れている独特の世界観、雰囲気を感じる小説。もっとこの著者の本を読みたいと思う。

  • 改行のほとんどない呪文みたいな文章と、突然自然に入れ替わる主観で、ふわふわした気分になった。昭和の工場社宅で育ったきょうだいの話なんて、よくあるノスタルジックなものになりそうなところなのに、この話は不安感ばかりだった。好きか嫌いかというと微妙だけど、面白い試みなんだろうなとは思った。

  • 難しい、この手の作品はよく分からない…
    分かる人には分かる、っていう作品なんだと思う。

  • 話の飛び方について行けませんでした。

    噛み合わない気持ち悪さを楽しむ本…なのでしょうか。

  • 資料ID:92111564
    請求記号:

  • 赤の他人なのに、「私」とそっくりの「男」。しかし他人にはそう見えないらしく、それが「私」には不安に感じる。「男」は「私」と同じ社宅に住み、男の子と女の子の二人の子供がいた。男の子は父親が勤める工場から出る白い煙が気になり、父親を心配するが、女の子は「あれはカカオを焼いているにおいに決まっているじゃない」と言う。男の子は以前、父に、工場で作っているという自動車の部品をみせてもらった記憶がある。「それは別の場所に住んでいる赤の他人の話ではないの」と女の子に言われたとたん、男の子の記憶はあっさりすり替わってしまう。
    第2章からは「チョコレートの歴史」が語られ、コロンブスやコジモ三世などのエピソードが綴られる。ひとつひとつの話は不思議で楽しいけれど、一方で、「あれ、第1章と何のかかわりが?そもそもなんの話だったっけ?」と不安になってくる。まるで、おしゃべりな女性の話をだらだらと聞いているように、つぎつぎと違う話が展開する。最後のほうでまた、最初にでてきた社宅に住む人?とそっくりな人?が話に出てきて、作品全体を象徴するようなエピソードで締められる。
    タイトルどおり、「赤の他人だけどそっくり」という話が何度も何度も繰り返され、そのつど主体のアイデンティティーが揺らいだり、話の信頼度がゆらいだりする。自分が自分である、という根拠は何だろうね。

  • ずっと磯崎憲一郎の作品は読みたいな、と思いながら、読んでいなかった。これが初めて手につけた作品ていうことになる。のだけれども、予想以上に読みやすく、そして、面白かった。他のも読んでみようかしら。(12/2/13)

  • 心に迫る場面が、いくつもあった。
    話があちこちに飛びながらも、ひとつの家族が描かれる。時間も時折すっ飛ぶ。普通の小説であれば、その後メロドラマに行くようなエピソードも、淡々とすまして通り過ぎていく。
    凡庸な人生の、そのシンプルな普遍性に、胸を打たれるのだ。
    ひとりの人生には、様々な過去が積み重なって生きている。
    時折顔を覗かせる、人のシンプルな行動に、淡々とした語り口のなかに美しさを見た。

  • この人の書く本には常に、何というか骨子というか主張というか「言いたい事」と言う物が一つあって、そんな事を言えばどんな作家だってそうなのかもしれないが、そういうレベルでは無く、もっと明文化された「本論の骨子を一行で書け」とか言う試験問題の答えの様に、シンプルに削ぎ落とされた物を構築してから書き始めてるんじゃないかと思わされる。それ程ゴツイ鼻筋が通っている。
    「赤の他人に、、、」もそうで、タイトルに表される主題ー置き換えの効かない自分の人生と実は誰でも良かったんじゃないかと言う実感ーを表す為に、主人公の想像と話中の現実の境目がどんどん曖昧なって行く。
    どこに連れていかれるか分からないという評が帯に書かれていたがまさにその通りで、読後に平衡感覚を失う様な気分になる。

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著者プロフィール

1965年千葉県生まれ。2007年「肝心の子供」で第44回文藝賞を受賞し小説家デビュー。2009年「終の住処」で第141回芥川賞、2011年『赤の他人の瓜二つ』でBunkamuraドゥマゴ文学賞、2013年『往古来今』で泉鏡花文学賞、2020年『日本蒙昧前史』で谷崎潤一郎賞を受賞。他の著書に『『眼と太陽』『世紀の発見』『電車道』など。

「2021年 『鳥獣戯画/我が人生最悪の時』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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