世の中への扉 ピアノはともだち 奇跡のピアニスト 辻井伸行の秘密

  • 講談社
4.10
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  • Amazon.co.jp ・本 (194ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062169011

作品紹介・あらすじ

全盲で生まれた辻井伸行君は、0歳で有名ピアニストの音色を聴きわけ、2歳で『ジングル・ベル』を伴奏する神童でした。その後も、小6でコンサートを成功させ、高2でショパン・コンクールに挑戦、と快進撃は続きます。そして20歳のとき。ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで手にした優勝-。痛快なまでの天才ぶりと、ピアノで人とつながっていく姿を描き、奇跡の音色の秘密をときあかします。小学上級から。

感想・レビュー・書評

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  • 引き続き、辻井伸行くんのことが知りたくてKindleで購入。

    伸行くんはハンディを抱えていたけれど、お母様のいつ子さんがプライドも何もかも捨てて、目の代わり以上の事をするのが本当に励まされる。

    彼を取り囲む選ばれた大人達が、ただ、彼の才能だけではなく、辻井家に感激し、応援する。

    すごいチーム力を感じずにはいられない。

    特に心に残ったのは、東京音楽大学附属高校で出会ったお友達。
    やはり、大人ばかりの中では暮らせない。
    彼が選んだお友達がまた素晴らしい。

    そして伸行君の根性がスゴいのだ。

    小学生向けの本みたいなので、とても読みやすかった。

    今後も辻井伸行君を応援していくつもり。

  • もはや誰もが知るピアニストの辻井さんがヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで優勝するまでの伝記。ご家族から丹念に取材をおこなったことがうかがわれ、ご家族撮影の写真なども掲載されている。
    才能があってもまわりがそれに気付き、育てないと生かされることはないし、辻井さんが本当にピアノに対して純粋な気持ちを持っているからこそ、周囲の人も動かされているというのがよく分かる。
    天才であってもあたりまえに父親との関係に悩み、ショパンコンクールでは壁に当たっているのだが、苦しみの部分よりも明るい部分に焦点を当てており、読んでいて前向きになれる本である。「高尾山の風」という曲の重要性がよく分かる。
    辻井さんの時代に生きられたことが嬉しいと思える本。

  • こりゃあ、天才以外の何者でもないね。一度は聴いてみたい。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「一度は聴いてみたい。」
      「神様のカルテ」の音楽を担当されています。
      「一度は聴いてみたい。」
      「神様のカルテ」の音楽を担当されています。
      2013/01/29
  • 言わずと知れた辻井さんの半生だが、前半子供時代についてはお母さんのいつ子さんとのエピソードが色々書かれてあり、感動が深まる。目が見えないということは母親の顔も知らずに暮らすのかという絶望、赤ちゃんとのコミュニケーションが取れない寂しさ、音に敏感すぎる赤ちゃんに気を遣いながらこなす家事…

    そんな中、五感の一つが欠けているのだから他の感覚のどれかがきっと優れているはずと信じて疑わなかったお母さんの信念がすごい。ショパンに合わせて脚をバタバタさせることに気づいたのもそんないつ子さんならではだろうし、それに気づいた時の彼女の喜びを想像すると涙ぐんでしまう。ピアノに出会うことで辻井さんの才能が開花したのはもちろん、家族や友達、世界的な音楽家との関係が開けていったという。その扉を見つけたお母さんすごいなあ。翻って自分は子供の才能や感性に気付こうとする努力をしているだろうかと反省もしながら読み終えた。

  • 全盲で生まれた辻井伸行君は、0歳で有名ピアニストの音色を聴きわけ、2歳で『ジングル・ベル』を伴奏する神童でした。その後も、小6でコンサートを成功させ、高2でショパン・コンクールに挑戦、と快進撃は続きます。そして20歳のとき。ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで手にした優勝-。痛快なまでの天才ぶりと、ピアノで人とつながっていく姿を描き、奇跡の音色の秘密をときあかします。小学上級から。

  • 2021年度貸出ランキング 電子ブック(LibrariE)部門TOP5入り作品
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  • ピアニスト辻井伸行さんの、ピアノとの出会い、そして現在の活躍までの物語を、ノンフィクション作家のこうやまのりおさんがまとめた一冊。

    辻井さん、本当に素敵な音色を奏でますよね!
    私も、辻井さんの演奏動画、普段から自分の練習の参考としても沢山拝見しています。

    辻井さんは、生まれつき両目が見えない。だけど、赤ちゃんの頃からおもちゃピアノで遊んでおり、幼い頃から音楽の才能の片鱗が見えて、ご両親を驚かせた。

    以前の金スマの特集でも見たのだが、辻井さんと「聴衆」との出会いがすごくドラマティックで、私の頭にも焼き付いている。

    5才の誕生日。サイパンでの初の海外旅行のときだ。ショッピングセンターの自動演奏ピアノの音色を聴いたとき、伸行少年は、
    「僕が演奏したい」と言い、お母さんはスタッフにお願いした。
    そこで弾いたのは渚のアデリーヌ。
    そこでは大きな拍手と歓声が鳴り止まなかった。それが、初めての聴衆との出会い。

    辻井さんは、小学3年の頃から数年間点字楽譜を使用していたが、上達が速く楽譜の作成が間に合わなくなり使わなくなった。
    その後は演奏を録音したテープを聴いて練習するようになった。
    辻井さんは、数回聴くと、その音楽をピアノで再現し、弾くことが出来るという・・・
    すごい・・・!

    そして、17歳。最年少でショパンコンクールに出場する。
    一次予選までは通過し、二次予選も観衆を惹きつけたのだが落選。
    そのとき、「何故彼が落選したんだ?」という声が世界中にとどろいたという。
    しかし、二次予選の数日前までは、先生もこのままでは進めない、と思っていたようだ。
    クラシック音楽は、演奏技術だけではなく、曲をどう理解したら良いかが求められる。
    奥深い人間の感情を音楽で表現することが大事で、若い辻井さんにはまだそれが足りていないと感じていたという。
    (例えば、「雨だれ」は、ショパンが結核となり、スペインのマヨルカ島の修道院の小さな部屋で、悲しみと孤独を表現するために作ったという)

    しかし、辻井さんの切り替えは早かった。もう、次の目標を目指して進む。
    そして、アメリカのヴァンクライバーン国際ピアノコンクールで優勝を果たすのだ。
    (世界的なピアノコンクールとしては、ポーランドのショパンコンクール、ロシアのチャイコフスキーコンクールが有名だが、多彩な作曲家の曲をこんなに沢山課されるコンクールは他にない。という)

    辻井さんのピアノとの繋がりやピアニストとしての軌跡の他、辻井さんの家族や友人との関わり、今までの学校生活なども描かれている。
    辻井さんの友人の言葉に、彼は人のことを悪く言うことがない、とあったけど、辻井さんは、本当に心が優しくて、謙虚で、その人間性が演奏にも表れているんだと思った。
    いつか生で演奏を聴いてみたいピアニストの一人です。

    よし、私も練習がんばろ!

  • 2020.10.23 5-2
    現在活躍されている人の本

  • 読み終わってすぐに辻井さんの演奏をYouTubeで聴きました。もちろん辻井さんのことは存じておりましたが、読み終わって、すごすぎる、、、と圧倒されました。世界で活躍され、とってもかっこいいです。

  • こうやまのりおさんというノンフィクション作家の方が日本人なら誰もが知る、盲目の(。。。という言葉も既に要らない)ピアニスト辻井伸行さんについて書かれた作品。

    「僕の演奏を聴いてほしい。お客さんに喜んでもらいたい。」
    この本の中で一番印象的だったのは、この言葉でした。

    私も十数年ピアノを習い、コンクールで賞を頂いたこともあります。でも、あの頃は母に叱られながらの練習の日々だったので、「なにくそ!」と負けん気だけで弾いていたなぁ^_^;
    でも、技術が身についてくると、自分なりに曲を解釈し、もっとこんな風に弾きたいと思えるようになって、それからはピアノがずっと楽しくなりました。

    私はピアノを「弾く」楽しみを見い出すまでに何年もかかったので、伸行さんが赤ん坊の頃から音に親しみ、「聴いてもらう」喜びを感じていたのには衝撃でした。でも、だからこそあんなに純粋で喜びに満ちた音が奏でられるんだろうな、とも納得。人の心に沁み入る演奏の秘密が分かりました。

    また、この本には、母 いつ子さん、父 隆さん、川上先生などの恩師や、三枝さんや佐渡さんなどの世界の巨匠、学生時代のお友達など周りの方へのインタビューもたくさん盛り込まれていて、この方々の並々ならぬ思いに支えられて「レジリエンスの塊」のような今の辻井さんが創られていったんだなと感じました。
    (また、この丁寧な取材ぶりから、作家のこうやまさんが、いかに伸行さんをリスペクトしているか、そして、この本を相当な熱意を持って書かれたか、が伝わってきます)

    最後に、子育てオンタイムの母親として、母いつ子さんが身をもって伸行さんに伝えた、

    ・自分の音楽を豊かにするために、もっと美しいものに触れ、心の眼を養う。
    ・ちょっとハードルが高くてもやってみる。どんなチャンスも逃さない。
    ・皆が諦めてからが本番。自分の力を信じ切る。

    この3つのマインドは本当に素晴らしいと思う。
    特に、いつ子さんはいつも伸行さんの演奏を誉め、「コンクール優勝おめでとう!」と楽しいロールプレイングで、自然と伸行さんが演奏することを「楽しい、嬉しい」と思う気持ちを育まれていたそうです。

    この「いつも」っていうのが、本当にすごい!
    育児って親子とも気分の波があるので、日常の中でコンスタントにやりきるって、実はかなり難易度高いタスクだと思う。。。
    でも、この本を読んで、出来るだけ、うちの子達の演奏にも最大限の祝辞を送ってみよう、と思いました。それが「誰かを喜ばせる喜び」という、とてつもないパワーを生み出す"初めの一歩"になるのであれば。

    少し前の作品でしたが、親としてのあり方を考えさせられた、学びの多い一冊でした。

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著者プロフィール

1960年生まれ。信州大学人文学部心理学科卒業。1996年『ライオンの夢 コンデ・コマ=前田光世伝』で第3回小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞。著書に『ひとりだちへの旅--30000人のホームステイ体験』(ラボ教育センター)、『情熱のシェフ--南仏・松嶋啓介の挑戦』(講談社)などがある。

「2016年 『ピアノはともだち 奇跡のピアニスト 辻井伸行の秘密』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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