数字と踊るエリ 娘の自閉症をこえて

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062169158

作品紹介・あらすじ

「4に9から手紙が来ました。今日はダンスパーティーがあります。4が踊ってるるるるるー。6は登ってるるるるるー」歌いながらお絵描きするエリ。彼女に下った診断は「自閉症」-。まさか、自分の娘が-。病床の妻、壊れゆく生活、すべてを背負って臨床心理士の父は愛娘の障害に挑み続けた。自閉症と言われた我が子が家族の力で驚異的な成長をとげるまでの9年間の記録。

感想・レビュー・書評

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  • 今日発売の『週刊文春』の書評で取り上げられている。
    この本を読んで矢幡さんのイメージが変わった。
    自閉症の娘さんのために自分を「療育のための機械」と割り切るまでになるのは、普通できない。
    心理の専門家なのだから、もっと同じ境遇の人に有用な情報を求めるのは、最後まで読めば愚の骨頂だとわかるはず。
    矢幡さんのテレビでのイメージが180度変わった。
    夫婦仲が不和になったことまで赤裸々に書かれているところが生々しい。
    編集者の力と矢幡さんの勇気はかなり高い評価に値する。
    彼のホームページでは、既に自分の体験と専門家の知識を融合した、同じ境遇の親子に有用な情報を提供している。

  • 4月に出版されたばかりの本です。先日の朝日新聞でも紹介されていました。著者は臨床心理士で、たくさん本も書いています。奥さんも臨床心理士。でも、一人娘エリが自閉症と認識できませんでした。日本では、自閉症は改善困難と考えられているようですが、アメリカでは、幼少期に治療を開始すれば改善可能な疾患だと考えられています。でも、エリを自閉症と認めたのは小学校入学直前。果たしてエリの自閉症は改善できるのでしょうか? これは、著者がアメリカの指導法を手探りで採用し、自作の教材を作成したり、週40時間にも及ぶ家庭療育などを行ったりしながら、エリが劇的な成長を遂げる9年間を記録したものです。感動的です。(高橋節子先生)

  • 親の苦労話がメインであり、なりふり構わず療育に心血を注ぐ姿に、親というものの "すごさ" を感じた。[more]
    子どもの障害を受容するだけでも大きなハードルだろうし、障害を持って産まれたことを奥さんが毎晩お詫びをしているという打ち明けはあまりにも痛ましい。それでも地道に続けた療育、担任らの補助に頭が下がる思いがする。

  • 著者は臨床心理士である。精神病に関しては知識を持っていると思われがちだが、自閉症に関しては全くの門外漢だった。そんな彼の幼い娘がどうも様子がおかしい。「彼女の個性なのだろう。これから少しずつ成長していくのだろう」と思っていたが、自閉症との診断を受ける。
    それから手探りの療育が始まる。

    高機能自閉症(アスペルガー症候群)についての本は何冊か読んだことがあるが、知的発達の遅れを伴う自閉症の本を読むのは初めて。
    言葉によるコミュニケーションも難しく、自閉の世界に閉じこもる娘との間の壁に、何度もくじけそうになる。なんとか普通学級への登校が続けられるまでに療育が進んだのは、全てを娘に注いだ両親の愛情によるものだろう。

    著者の娘の障害は、中程度だとのこと。自閉症に興味があって読んでみたけれど、高機能自閉症と中程度では全く障害度が違う。これが重度だとどうなるのか?
    奥が深い。

  • 916

  • [読んだ理由]==================
    個々での紹介を読んで。
    http://honz.jp/articles/-/40743

    あと、自閉症という病気についてよく知らなかったので。


    [読んだ後の感想]==============

    自閉症が如何に過酷な病気であるのかが分かる本。

    そもそも自閉症が、脳の病気であり完治するものではないこと自体を知らなかった。また(重度な場合の)症状の重さも想像以上だった。
    著者の場合は、ありえないほどの努力を娘に注いでいるけど、自分の場合に果たしてそこまでできるだろうかと、少し怖くなる。きっと自分の方の精神がおかしくなると思う。

    これを読めば自閉症の子供を持つ親の救いになるかはわからないけど、親と子の関係について深く考えさせられる機会となり、読んで良かったと思う。

  • 目標は常にずれていく。
    良い方にも、悪い方にも。
    最初に私はどこを目指していたのだろう。

  • 自身の子が自閉症であると気づき、認めていくまでの葛藤、驚き。克服する為の努力の過程と現実の疲れについて

  • 臨床心理士の矢幡洋氏の家族に起こった実話。ある意味専門家でもあった八幡氏が、一人娘のお嬢さんの異変にはっきり気づくのは小学校入学間際。そこから普通学級に入れるべく夫婦の凄まじいチャレンジの日々。文章は時にあまりに感傷的で、読みづらいときもあったが、そこは実話。小説の作家ではないから、深い哀しみや切なさ、苦悩につぶされそうになる自分たちを客観的に最小の文では表現できないのは致し方ない。研究書ともちがうこの本は、自閉症が療育によって、わずかながらでも着実に改善される様子を見て取れる非常に珍しい一冊になっている。同じ境遇の家族にも励ましになる一冊であろうと思う。

  • 自閉症の娘を持った臨床心理士による、苦悩と自閉症への取り組みを描いた力作。
    著者の話の組み立てがうまく、下手な小説よりも、一気に話に引き込まれた。
    また読んでいて息苦しくなる描写が続き、その分後半の娘の成長にこちらまでホッとさせられる。本としては間違いなく面白い。
    しかし著者の偉そうで、まるでひとりで自閉症に立ち向かっているかのような物言いは、読んでいて非常に不快。
    自身でも書いてあるが、共に娘に向き合っていた妻に対する「秘密主義」。
    自らを省みない不遜な態度。
    最後まで妻に対する感謝も敬意もなし。
    どれも実話だと思うと吐き気がする。
    こういう人間を評価したくはないので、星はひとつ。

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著者プロフィール

1958年東京生まれ。京都大学文学部心理学科卒業。精神病院の相談室長などを経て、現在、西武文理大学講師、桜美林大学アカデミー講師。臨床心理士。テレビ・新聞などでのコメントの機会も多い。著書『依存性パーソナリティ障害入門』(日本評論社、2004年)、『平気で他人の心を踏みにじる人々-反社会性人格障害とは何か』(春秋社、2006年)、『困った上司、はた迷惑な部下』(PHP新書、2007年)、『パーソナリティ障害』(講談社選書メチエ、2008年)など多数。

「2008年 『無差別殺人と妄想性パーソナリティ障害』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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