幕末維新史の定説を斬る

著者 :
  • 講談社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062169264

作品紹介・あらすじ

竜馬殺しの真相は?松平容保、京都守護職指名の裏事情。孝明天皇は、本当に病死だったのか?幕末維新の「事件」の謎を、史料を駆使して解く史論集。

感想・レビュー・書評

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  • 坂本龍馬関係を読みたくて手に取った本。

    坂本龍馬「暗殺」は、実行犯・京都見廻組、薩摩藩(西郷隆盛)黒幕説を採っておられます。
    読みながら「なるほど」と思うところもあるのですが、どうにも西郷さんの性格について「ブレ」が見られるなあ、と。
    個人的には、西郷さんは基本的に冷徹なところもあるひとだと思っているので、大義のためなら切り捨てることもあったと思います(糾合所屯集隊を顧みなかった、など)。そんなひとが、坂本龍馬「暗殺」に関わらせてしまった今井を助けようとする(しかも自分が「暗殺」を命令したわけでもない)ところに矛盾を感じてしまいます。
    なぜ今井を助けようとしたか、は考えなければいけない部分だとは思いますが、糾合所屯集隊の件で「非情さ」を強調しているにもかかわらず、今井だけは助けようとするその「差」に違和感を感じてしまいました。
    なお、坂本龍馬亡き後、東京に出てきた未亡人のお龍に、西郷さんは「いずれ東京に戻って来たらまたお世話するから」と手持ちの20円を渡しています。坂本龍馬を「切り捨て」たのであれば、お龍のことも無視できたはずですし、口先だけだったとしても「お世話する」とは言わなかったのではないか、と。

    「孝明天皇」の死に関しての論拠は理路整然として「なるほど」と思わせるだけに、どうして坂本龍馬「暗殺」の件はこうもブレるのか。
    筆者がこの本の中で「結論ありきで話を進めるとおかしくなる」と自ら仰っておられることが、坂本龍馬「暗殺」の件で表れているような気もします。

    厳しい感想になりましたが、勉強になりました。

  • 龍馬暗殺の黒幕推理、松平容保が京都守護職を引き受けた事情、そして孝明天皇の死亡について。特に孝明天皇の疱瘡死亡説と毒殺を含む暗殺説の検証が緻密。

  • 龍馬暗殺、容保の京都守護職指名の理由、孝明天皇の毒殺説の検証の三本立て。

    読み応えはあるかもしれないが、
    内容的にはそんなに真新しい感じではなかった。

  • 興味のあった孝明天皇暗殺説の考証,かなり説得力があった.しかし,肝心要の「伊良子 光順(実際に治療に当った典薬寮医師)未公開手記」に当れなかったのは何とも惜しい.

  • 中村彰彦。

    真面目な人なんだ。

    こんな説もある、こんな資料もあるということを、律義に書いている。自分のための資料ノートではないのか。
    こういう散文も売るのか。

    きっちりフィクションを書いてくれるほうが嬉しい。

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著者プロフィール

中村彰彦

1949年、栃木県栃木市生まれ。東北大学文学部卒業後、文藝春秋に勤務。87年に『明治新選組』で第10回エンタテインメント小説大賞を受賞。91年より執筆活動に専念し、93年に『五左衛門坂の敵討』で第1回中山義秀文学賞、94年に『二つの山河』で第111回直木賞、2005年に『落花は枝に還らずとも』で第24回新田次郎文学賞を受賞。また2015年には第4回歴史時代作家クラブ賞実績功労賞を受賞。小説に『鬼官兵衛烈風録』『名君の碑』『戦国はるかなれど』『疾風に折れぬ花あり』、評伝・歴史エッセイに『保科正之』『なぜ会津は希代の雄藩になったか』など多数。

「2020年 『その日なぜ信長は本能寺に泊まっていたのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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