部屋

  • 講談社 (2011年10月1日発売)
3.70
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Amazon.co.jp ・本 (494ページ) / ISBN・EAN: 9784062170093

みんなの感想まとめ

監禁状態で育った子供の視点から描かれる物語は、独特の視点と感受性を持ち、読者を引き込む魅力があります。物語は、外の世界を知らない主人公が、限られた空間での生活をどのように受け入れ、成長していくのかを描...

感想・レビュー・書評

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  • 誘拐されて監禁中に子供を産む。
    その換金中と脱出してからの生活を、5歳の子供目線で書いてあります。

    子供目線なので、最初は読みずらくてやめようかなぁと思いましたが、1章を読み終えると、書き方が変わったのか、自分が慣れたのか、もう一気読みです。

    こんな状態なのに、ジャックのママはちゃんと子育てしててすごいと思ってしまった。

  • かわいい5歳の子のモノローグは、ママとの会話で始まる。
    ごくごく普通の仲のよい親子に見える2人が、実は非常に特殊な状況に置かれていることに気がつくのに、さほど時間は掛からない。
    幼児の語りは、つたなく、時に背伸びした表現が混じり、微笑ましい。
    ある意味、たどたどしいその語り口から、親子の置かれた状況や、母親の苛立ち・焦りがあぶり出されていくさまは、ただ驚嘆するしかなく、作者の卓抜した力量を感じさせて余りある。

    やがて最初の閉塞した状況は打破され、物語は次の舞台に移る。
    第2幕は、おとぎ話のその後を読むようでもある。
    囚われの身であったお姫さまは、助け出されたのだが、そのまま幸せに暮らす(happily ever after)わけではないのである。
    おとぎ話の中ならば、善は善、悪は悪と割り切れる。が、現実はそれほどわかりやすくない。そもそもが、この物語の姫(=母親)の王子様(=幼子)は、訣別したはずの怪物にゆかりのものなのだ。

    物語の発端は、やや特異な、誰もが経験するわけではない犯罪なのだが、徐々に浮き彫りにされていくのは、立場を異にする者同士の行き違いである。始まりが何であれ、人と人がどのようにすれ違うのか、どのようにそれぞれの思惑に齟齬をきたすのかが、普遍的に描かれていると言ってもよい。
    それらの顛末が、純粋培養の幼子の目を通して、残酷なまでに鮮やかにすくい取られていく。
    誰の思いも無理はない。誰も悪意があるわけでもない。それが確かにすれ違っていく。
    それを描き出していくのは、作者の恐ろしいほどの技の冴えだ。
    480ページのボリュームは、なんとも重く、長い。この苦く、痛ましい物語の中盤は、読者にも苦痛を強いる。おそらくは、作者の技量がぬきんでているだけに、余計。個人的には、正直、読み通せないかと思った。

    しかし、ゴールしてみれば、これは希望と再生の物語でもあったことに気付く。
    希望とは、魔法のように、夢のように、何の曇りもなく一瞬で訪れるものではない。困難でも、一歩ずつ進み続けたその先に、希望はある。いや、困難の中、一歩ずつ進み続けること自体が、希望そのものなのだ。
    5歳の幼子の前にも、26歳の若い母の前にも、50代の祖母の前にも、その連れ合いの前にも、何も描かれていない未来は、ある。互いを思う気持ちも、確かにある。
    しんどいが、読み通す価値のある傑作である。


    *訳者さんにも敬意を払いたい。

    *<ぎりじい>がよかった。

  • ふむ

  • 部屋の「中」と「外」の物語。
    「外」側の我々には、「ママ」の気持ちや心情に共感。
    けれど、「中」が日常である主人公の視点で語られる物語は、我々が思い描く「中」の世界とは全く違う世界として見せてくれる。
    外側を知らない主人公の、満ち足りた「中」の様子、「外」の世界の感じ方が新鮮で、最後のシーンが胸に来る作品。

  • 映画を観てから読んだ。
    映画と内容は少し違っていたけどやっぱり最高傑作。
    5歳のジャックの言葉で書かれてあり、
    子供視点で感じることができた。
    ジャックとママふたりがこれから幸せに向かっていきますように。

  • どこかに感想を書いたはずなのに、どこかにいっちゃった。

    でも、これは強力にオススメです。再読しようかな。

  • 本を読み終えた後、それまで見ていた同じ景色が違って見える本がある。自分が置かれているのは世界のほんの小さな一部にすぎず、まだ知らない大きな世界がどこかにある。その新しい世界に出会いたい気持ちが沸き上がる。エマ・ドナヒューの『部屋』もそんな1冊。



  • 語り手は5歳の誕生日を迎えるジャック。
    ママと二人で過ごす《部屋》にはジャックのお気に入りが色々あって、生活はとても規則正しい。《部屋》はジャックにとってママと一体化した安心できる世界。ジャックはこの生活を楽しんでいることが伝わってくる。

    しかし…たどたどしいジャックの語りに、何か妙だと思いながら読み進めると、彼は監禁部屋で生まれ、5歳になるまで一度も部屋の外に出ていないこと、ママは19歳で誘拐され、監禁部屋でジャックを出産し、7年間部屋を出ていないことなどがわかってくる。

    大人の視点から見たら身の毛もよだつ様な状況と閉塞感が、外を知らないジャックの語りに感じられないところに、この母親の知性と気丈さ…息子の心身を限られた環境で最大限守ろうとする愛情…を感じて驚嘆した。

    監禁事件として見たら相当きつい話なのだが、全てが5歳のジャック目線で書かれているのでグロテスクさはなく、子供にとっての母親の存在、母親にとっての子供の存在、環境への適応について考えさせられた。読んでいると、《部屋》はジャックにとっては母親の子宮の中の様なものに感じられ、母親にとっての地獄が子供にとっての普通である状態に自分の価値観が揺さぶられる。

    そして、存在しないはずの「外の世界」に出て、最初は《部屋》に帰りたがり、置いてきた物を懐かしく思うジャックの混乱と怒りに胸を締め付けられる。また、あれほど願った自由を手に入れたにもかかわらず、世間の反応に苛立ち、疲弊して行くママの状態が辛い。外に出てからジャックが出会う人々の中で、おばあちゃんの再婚相手のちょいワル風の義理祖父の存在が好き。評論家や学者やジャーナリストの、現状とかけ離れた不愉快な発言とは対照的な、マリファナ臭い?じいちゃんが一番ジャックの適応の助けになっているのが面白かった。

  • 誘拐され、監禁された母親のもとで生まれた子供が脱出して外界に馴染んでいく成長物語

  • 19歳で男に誘拐され、裏庭の改造した納屋に監禁された女性と、5歳になる息子の話。このお母さんは非常に賢く、強い。この極限状況でも決して希望を捨てず、自暴自棄にもならず、未来を見据えて息子を育て、教育している。自分だったらとてもそんなことできそうにない。後半はまた少し違った部分の話になるのだけど、希望が見えていてよかった。
    うーん、どう書いてもネタバレになりそうなので、あまり書けないけど、非常に難しいテーマを扱ってると思うんだけど読み物としてはなかなか良かったと思う。ごく普通の反応をするおばあちゃんや兄嫁さん、他人であるからなのか少し客観的であることが結果的にみんなの救いになる「ぎりじい」などのまわりのキャラがとてもよかった。

  • ジャックは「部屋」の中で5歳になった。「部屋」にはなんでもある。お風呂、ベッド、トイレ、キッチン……。「外」は宇宙だとジャックは「おぼえ出す」。しかしママは部屋の外に出たいようだ……でもどうやって?

    ジャックのつたないおしゃべりが耳元で聞こえてきそうな翻訳。

  • 小さな部屋に監禁された女性と、その中で彼女が生んだ男の子、ジャック。
    決死の冒険によって母子は救出されるが、「外」は決して夢の国ではなかった。
    太陽がジャックの肌を焦がし、風がジャックの頬を殴り、靴はジャックの足を痛めつける。部屋の中にあるものと母親しか知らない彼にとって、すべてが初めて出会う異物。この感覚の描写がとても興味深い。
    実話をベースにしているが、モデルとなった事件では女性を監禁したのは実の父親で、子どもは近親相姦によって生まれる。監禁されていた期間もずっと長い。小説の何倍も陰惨で想像も及ばないような悲劇だったに違いない。

  • 5歳の男の子の目から見た、監禁されていた『部屋』での日々と、脱出後の『外の世界』での日々が語られている。

    生まれてからいままで、外の世界を知らないジャックにとって『部屋』は嫌な場所ではなく。
    逆に、ずぅーっとママと一緒に居られる場所。

    外の世界を知っているママにとって『部屋』は嫌な場所でしかない。

    なのに外の世界に焦がれたママは、世間から注目され、好奇な目に晒され、どんどん心が壊れてしまう。

    ジャックの目線で書かれているので、重さをあまり感じなかったが、ママの目線から書かれていたら、重い内容になってしまい読むのが辛かったかも知れない。。。

    この本を読んで心に残ったシーンは、なぜだか「ぎりじい」とジャックが触れ合うシーンだった。
    ほんの小さな一場面なのに、なぜか心が惹かれた。

    この物語で一番好きだったのは、「ぎりじい」かもしれない。

  • 脱出してハッピーエンドで終わりじゃないところがよかった。

  • あらすじも何も知らずに読み始めたので、初めのほうは5歳児視点で語られるよくわからない思考が正直読んでて辛かった。
    でもそのうち、「あれ?あれ??」と思うようになってきて、その「部屋」の環境が特殊なんだとわかってきて。

    当時19歳の女性が見知らぬ男にさらわれて監禁、その男に妊娠させられ、監禁されている「部屋」で出産・・・
    話は監禁から7年たち、出産した男の子が5歳(もうすぐ6歳)になるところから始まる。
    女性は、「部屋から」出るために、まずは男の子を外に出して警察を呼ぼうとする。。。
    7年も閉じ込められた状態でこれだけ健全な思考を保っている女性に驚きです。
    興味深い話でした。

  • オールド・ニックみたいな人間は世界のどこにもいる。
    今でも人知れず何年も監禁されていると想像すると心が痛む。

  • 2016.4.2

  • 生まれた時から監禁されていて外を見たことのない5歳の男の子が、お母さんと一緒に脱出して、新たな生活を始める話。
    5歳の子供の視点で書かれているので、多少読みにくいが、5歳の子が感じるままに書かれていて、表現の仕方が可愛い。
    指を犬に噛まれた⇨犬が吸血鬼だった
    道路で転んで膝を怪我した⇨道路がたたいた

    お母さんは19歳で監禁され、男の子の前に女の子を出産し、すぐに死産。その後ジャックが産まれ、ジャックを育てるために、男に対して反抗するのをやめたらしい。
    そして、ジャックが困らないように、字を教えたり、算数を教えたり、体を動かしたり、狭い1室の中で、とても工夫して生活をしていた。
    19歳で世間から隔離され、一人で出産し、差し入れもままならない状態で、ここまで頑張ってこれたのは、ジャックがいたからだと思う。
    でも、監禁生活が当たり前で幸せだったジャックは、脱出後の本当の世界は監禁時代より何倍も大変で、生き難く、お母さんも脱出すれば全てうまくいくと思っていたのに、現実は両親が離婚していたり、父親が孫のジャックを受け入れられなかったり、メディアに追いかけられたりとで、とうとう自殺未遂もおこしてしまう。

    世界には監禁されて見つかった事件がたまにあるが、その被害者のその後が話に上がることはない。
    この本により、監禁されている時も大変だが、その後ももっと大変だということを改めて実感させられた。

    ただ、最後は希望の見える終わり方だったので、それがすくいだった。

  • 5才の子の視点で書かれているので、ひらがな多様で漢字が音読みか訓読みなのかが、分かりづらい。 例えば「高そうびる」タカソウと読んで、ビルまできてからコウソウビルと分かるみたいな箇所は読んでいてまごつく。
    しかし、読みにくくても “ジャックの視点” で書かれていることにより、彼の心理が読み手にグイグイ伝わってくる。
    ジャックがママのむし歯チュウチュウする度に「止めて〜」と全力阻止に駆られた
    後半、クリニックでジャックがシャワーを嫌がり、ママだけが一人でシャワー室に入る時、ドアを閉めたら「ママが中でぼくが外は、やだ!」涙腺崩壊・゚・(ノД`)・゚・。
    ママが “かしこのできる子” で、ほんとよかった
    映画「ライフイズビューティフル」を思い出した

  • 映画化。監禁。5歳の子どもの目線が残酷だったり真実だったり。

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著者プロフィール

エマ・ドナヒュー
Emma Donoghue
1969年、アイルランド・ダブリン生まれ。カナダ・オンタリオ州在住。『The Sealed Letter』(未邦訳)が2009年ラムダ賞を受賞。『部屋』(土屋京子訳 講談社 2011年)はマン・ブッカー賞の最終候補に選出された。映画化の際には脚本を担当し、第88回アカデミー賞脚色賞にノミネート。『星のせいにして』(吉田育未訳 河出書房新社 2021年)など作品多数。

「2023年 『聖なる証』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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