部屋

  • 講談社
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本棚登録 : 200
感想 : 39
  • Amazon.co.jp ・本 (498ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062170093

作品紹介・あらすじ

今日はジャックの5歳の誕生日。ジャックはママと部屋に住んでいます。鍵付きのドアに天窓のある部屋。テレビを見るのが大好きで、アニメの主人公が友だちです。でもジャックは知っています。テレビに映るモノはホントのことではないことを。自分とママと部屋だけがホントのことです-ママが外の世界があることを教えてくれるまでは。誘拐され、監禁された少女に、子供ができてしまったら…。極限状況を生き抜こうとする人間の勇気と気高さ。

感想・レビュー・書評

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  • 誘拐されて監禁中に子供を産む。
    その換金中と脱出してからの生活を、5歳の子供目線で書いてあります。

    子供目線なので、最初は読みずらくてやめようかなぁと思いましたが、1章を読み終えると、書き方が変わったのか、自分が慣れたのか、もう一気読みです。

    こんな状態なのに、ジャックのママはちゃんと子育てしててすごいと思ってしまった。



  • 語り手は5歳の誕生日を迎えるジャック。
    ママと二人で過ごす《部屋》にはジャックのお気に入りが色々あって、生活はとても規則正しい。《部屋》はジャックにとってママと一体化した安心できる世界。ジャックはこの生活を楽しんでいることが伝わってくる。

    しかし…たどたどしいジャックの語りに、何か妙だと思いながら読み進めると、彼は監禁部屋で生まれ、5歳になるまで一度も部屋の外に出ていないこと、ママは19歳で誘拐され、監禁部屋でジャックを出産し、7年間部屋を出ていないことなどがわかってくる。

    大人の視点から見たら身の毛もよだつ様な状況と閉塞感が、外を知らないジャックの語りに感じられないところに、この母親の知性と気丈さ…息子の心身を限られた環境で最大限守ろうとする愛情…を感じて驚嘆した。

    監禁事件として見たら相当きつい話なのだが、全てが5歳のジャック目線で書かれているのでグロテスクさはなく、子供にとっての母親の存在、母親にとっての子供の存在、環境への適応について考えさせられた。読んでいると、《部屋》はジャックにとっては母親の子宮の中の様なものに感じられ、母親にとっての地獄が子供にとっての普通である状態に自分の価値観が揺さぶられる。

    そして、存在しないはずの「外の世界」に出て、最初は《部屋》に帰りたがり、置いてきた物を懐かしく思うジャックの混乱と怒りに胸を締め付けられる。また、あれほど願った自由を手に入れたにもかかわらず、世間の反応に苛立ち、疲弊して行くママの状態が辛い。外に出てからジャックが出会う人々の中で、おばあちゃんの再婚相手のちょいワル風の義理祖父の存在が好き。評論家や学者やジャーナリストの、現状とかけ離れた不愉快な発言とは対照的な、マリファナ臭い?じいちゃんが一番ジャックの適応の助けになっているのが面白かった。

  • 誘拐され、監禁された母親のもとで生まれた子供が脱出して外界に馴染んでいく成長物語

  • 19歳で男に誘拐され、裏庭の改造した納屋に監禁された女性と、5歳になる息子の話。このお母さんは非常に賢く、強い。この極限状況でも決して希望を捨てず、自暴自棄にもならず、未来を見据えて息子を育て、教育している。自分だったらとてもそんなことできそうにない。後半はまた少し違った部分の話になるのだけど、希望が見えていてよかった。
    うーん、どう書いてもネタバレになりそうなので、あまり書けないけど、非常に難しいテーマを扱ってると思うんだけど読み物としてはなかなか良かったと思う。ごく普通の反応をするおばあちゃんや兄嫁さん、他人であるからなのか少し客観的であることが結果的にみんなの救いになる「ぎりじい」などのまわりのキャラがとてもよかった。

  • ジャックは「部屋」の中で5歳になった。「部屋」にはなんでもある。お風呂、ベッド、トイレ、キッチン……。「外」は宇宙だとジャックは「おぼえ出す」。しかしママは部屋の外に出たいようだ……でもどうやって?

    ジャックのつたないおしゃべりが耳元で聞こえてきそうな翻訳。

  • 小さな部屋に監禁された女性と、その中で彼女が生んだ男の子、ジャック。
    決死の冒険によって母子は救出されるが、「外」は決して夢の国ではなかった。
    太陽がジャックの肌を焦がし、風がジャックの頬を殴り、靴はジャックの足を痛めつける。部屋の中にあるものと母親しか知らない彼にとって、すべてが初めて出会う異物。この感覚の描写がとても興味深い。
    実話をベースにしているが、モデルとなった事件では女性を監禁したのは実の父親で、子どもは近親相姦によって生まれる。監禁されていた期間もずっと長い。小説の何倍も陰惨で想像も及ばないような悲劇だったに違いない。

  • 5歳の男の子の目から見た、監禁されていた『部屋』での日々と、脱出後の『外の世界』での日々が語られている。

    生まれてからいままで、外の世界を知らないジャックにとって『部屋』は嫌な場所ではなく。
    逆に、ずぅーっとママと一緒に居られる場所。

    外の世界を知っているママにとって『部屋』は嫌な場所でしかない。

    なのに外の世界に焦がれたママは、世間から注目され、好奇な目に晒され、どんどん心が壊れてしまう。

    ジャックの目線で書かれているので、重さをあまり感じなかったが、ママの目線から書かれていたら、重い内容になってしまい読むのが辛かったかも知れない。。。

    この本を読んで心に残ったシーンは、なぜだか「ぎりじい」とジャックが触れ合うシーンだった。
    ほんの小さな一場面なのに、なぜか心が惹かれた。

    この物語で一番好きだったのは、「ぎりじい」かもしれない。

  • 脱出してハッピーエンドで終わりじゃないところがよかった。

  • あらすじも何も知らずに読み始めたので、初めのほうは5歳児視点で語られるよくわからない思考が正直読んでて辛かった。
    でもそのうち、「あれ?あれ??」と思うようになってきて、その「部屋」の環境が特殊なんだとわかってきて。

    当時19歳の女性が見知らぬ男にさらわれて監禁、その男に妊娠させられ、監禁されている「部屋」で出産・・・
    話は監禁から7年たち、出産した男の子が5歳(もうすぐ6歳)になるところから始まる。
    女性は、「部屋から」出るために、まずは男の子を外に出して警察を呼ぼうとする。。。
    7年も閉じ込められた状態でこれだけ健全な思考を保っている女性に驚きです。
    興味深い話でした。

  • オールド・ニックみたいな人間は世界のどこにもいる。
    今でも人知れず何年も監禁されていると想像すると心が痛む。

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著者プロフィール

1969年アイルランド・ダブリン生まれ、カナダ在住。ケンブリッジ大学にてPhDを取得後、1994年作家デビュー。『部屋』(2010)はマン・ブッカー賞最終候補等に選出され、世界的ベストセラーとなった。

「2021年 『星のせいにして』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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