村上春樹の短編を英語で読む1979~2011

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 80
レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (610ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062170307

作品紹介・あらすじ

英訳された「短編」を徹底的に読み込むことによって、初めて見えてきた、小説家としての村上春樹の「闘い」。現代文学のトップランナーの核に迫る、決定版「村上春樹」論。

感想・レビュー・書評

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  • ちくま文庫で新しく出ていたので気になって。英訳についての言及はだいぶ少なめ。

  • 「英語で読む」とのタイトルではあるが、内容はあくまで日本語の批評論集。
    村上春樹というと、元ネタ探し、「謎解き本」が巷に溢れているわけだが、加藤氏の他の評論と同様本書はそうしたものから一線を画す。

    序編は1Q84を視野に含めた「長編」の解題的な論考から始まるが、やはり本題は短編小説を時系列に論じる部分。
    冒頭に作品の年表が掲げられ、時代区分ごとに代表作が読み解かれていくが、その解釈は興奮の極み。寓話的テキストの背景に、実は学生運動、貧困、経済、地震、等々様々な要素と思索が連なっていくことが(「深読みしすぎ」批判をものともせずに)語られる。

    圧巻は「象の消滅」「めくらやなぎ」辺りの論考で、評論でありながら胸に迫る感動がある。そうして、一作ごとにテーマがあぶりだされていくうちに著者の理解の全貌が立ち現われてくるという、連作評論にして長編推理小説のクライマックス的醍醐味をも存分に味わえる。

    短編もカバーするような村上読者なら必読の一冊。

  • 日本語のできない留学生相手に英語で日本文学を語るという困難な講義から生まれた本だけあって、実に細かく作家を分析し尽くしていて恐ろしい。

  • 資料ID:21104493
    請求記号:

  • 3月9日

  • 村上春樹の短編を英語で読んだことがなくても全く問題なく読める。

    日本文学を英訳で読む場合にどういった視角で覗き込んだらいいのか、その指南書として読んでみても、とても参考になる。
    人称代名詞の問題であったり、同語違訳であったり、村上春樹作を訳者の眼鏡を通じて読み直すような試みが必要だ。
    いや、むしろ必然的に要求されるのだろう。


    七番目の男と、かえるくんと、品川猿、それから宮崎駿作品をつまみたくなった。
    読欲を湧かせる評論こそ、読んでよかったと思えるものだ。

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著者プロフィール

加藤典洋(1948・4・1~2019・5・16) 文芸評論家。山形県生まれ。1972年、東京大学文学部仏文科卒。国立国会図書館勤務、明治学院大学教授、早稲田大学教授を経て、2014年、同大学名誉教授。85年、最初の評論集『アメリカの影』刊行。97年、『言語表現法講義』で新潮学芸賞、98年、『敗戦後論』で伊藤整文学賞、2004年、『テクストから遠く離れて』『小説の未来』で桑原武夫学芸賞を受賞。主な著書に『日本風景論』『戦後的思考』『もうすぐやってくる尊皇攘夷思想のために』『9条入門』『完本 太宰と井伏 ふたつの戦後』『大きな字で書くこと』などがある。

「2020年 『村上春樹の世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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