- Amazon.co.jp ・本 (610ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062170307
作品紹介・あらすじ
英訳された「短編」を徹底的に読み込むことによって、初めて見えてきた、小説家としての村上春樹の「闘い」。現代文学のトップランナーの核に迫る、決定版「村上春樹」論。
感想・レビュー・書評
-
ちくま文庫で新しく出ていたので気になって。英訳についての言及はだいぶ少なめ。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「英語で読む」とのタイトルではあるが、内容はあくまで日本語の批評論集。
村上春樹というと、元ネタ探し、「謎解き本」が巷に溢れているわけだが、加藤氏の他の評論と同様本書はそうしたものから一線を画す。
序編は1Q84を視野に含めた「長編」の解題的な論考から始まるが、やはり本題は短編小説を時系列に論じる部分。
冒頭に作品の年表が掲げられ、時代区分ごとに代表作が読み解かれていくが、その解釈は興奮の極み。寓話的テキストの背景に、実は学生運動、貧困、経済、地震、等々様々な要素と思索が連なっていくことが(「深読みしすぎ」批判をものともせずに)語られる。
圧巻は「象の消滅」「めくらやなぎ」辺りの論考で、評論でありながら胸に迫る感動がある。そうして、一作ごとにテーマがあぶりだされていくうちに著者の理解の全貌が立ち現われてくるという、連作評論にして長編推理小説のクライマックス的醍醐味をも存分に味わえる。
短編もカバーするような村上読者なら必読の一冊。 -
日本語のできない留学生相手に英語で日本文学を語るという困難な講義から生まれた本だけあって、実に細かく作家を分析し尽くしていて恐ろしい。
-
資料ID:21104493
請求記号: