深海魚チルドレン

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 115
感想 : 24
  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062170321

作品紹介・あらすじ

まずい。わたしのこころも、破裂しそうだ。中学入学とともに襲ってきた「尿意」との、孤独なたたかいをつづける真帆。丘の裏に立つ小さな喫茶店"深海"に出会い、引き寄せられていく…。

感想・レビュー・書評

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  • 誰だって、人に言えない悩みのひとつやふたつ抱えているものだ。
    悩みそのものだって抱えているのが大変なのに、言葉に出せない事実が悩みをさらに深くする。

    この小説の主人公・宗谷真帆の悩みは中学一年生にしてはなかなかに生々しく、ハードだ。

    『授業中におしっこが我慢できない』

    破裂しそうな膀胱と孤独にたたかっている。
    母親にも相談したが、「気のせいよ」と流されてしまう。

    小学生からの友達もいたのだが、クラスが違い、相手に別の友人が出来て疎遠になってしまった。

    そんな日々を送っていたある日、外出先で迫り来る尿意に我慢ができず、たまたまあった少し不思議な雰囲気の喫茶店『深海』のドアを開けてみる...

    他のブクログユーザーさんのレビューで知った本作は、まずタイトルが惹かれるなーと思い、次に内容を知ってとても読んでみたくなった。
    結果は大正解。
    レビュー書いてくださったかたに感謝です。

    明るく、活発で周りに人が集まるような『大きい子』の影に隠れて守られるように生きていた小学生時代の真帆が、中学生になり『尿意』という敵やチューニングが合わない親という壁とたたかい、自分の居場所をみつけるおはなし。

    真帆の気持ちは痛いほど分かったし、母親の無理解や父親の的の外れた優しさは(子供なんていないけど)私も他の人にやってないかと反省させられた。

    一方、『深海』のような暗くて静かで心地よい場所と、『だまっていてもいい関係』のナオミたちをみつけられた真帆を少し羨ましく思った。

    明るくきらびやかな場所にいるとちょっと苦しい気分になる人たちには、この小説が『深海』のような救われる場所になればいいなー。

  • 話す相手を間違えてしまったら、もっとひどい傷を負うことになるなんて、誰も教えてくれなかった。


    世界と和解できない系児童文学。
    孤独なたたかいを続けながら、ひっそりと生きている深海魚のこどもたちの物語。
    あまり知られていないことだけど、暗くて冷たい海の底の方が居心地が良い人間は、本当はたくさんいるらしい。

  • 深海魚とどう結びつくかと思いきや最初から最後まで膀胱。で膀胱の件は、残念ながら最後まで解決せず。肝心の中身について。ひとつひとつが思春期女子の切実な気持ち。中学校という集団、周りとの違和感、焦り。みんなからはみ出しているような感覚。そんな主人公が今後膀胱に悩むことなく、本当の友達を大切にしながら。自分にとって居心地良い環境で生活しているといいなぁ、と願うばかり。色々と上手くいかず喫茶店やカフェが心の拠り所になるストーリー、何作目かなんですが、ほっとするので大好きです。「深海」のひんやりとした空間、私の周りにもあるといいな。

  • 中1の宗谷真帆は、膀胱の暴走に悩んでいる。授業の50分間もおしっこが我慢できない。それで時々具合が悪くなったフリをして、授業中退席している。授業中は膀胱との戦いだ。小学校からの親友の美園とはクラスが違って、前程しっくりいっていない。
    そんな時に、喫茶 深海に出会い、そこを経営している親子と話すようになり、真帆の居場所になる。

    元気でポジティブな母に膀胱の相談するが、取り合ってもらえないところ。母はあっち側で真帆はこっち側にいるからだろう。

    私は、ずーっと、あっち側とかこっち側とか考えたことがなかった。でも、娘のネガティヴな発言とか、自分がポジティブで能天気で無くなって、どんどん自信がなくなってきたこの頃は、そういう事を考える。

    どっちが正解でどっちが幸せとかではないのだけれど、時々あっち側がキラキラ見えてしまうことがある。

    真帆は膀胱が治れば問題が解決するのだろうか。
    分からない。けれども、お話を読み始めてすぐに、おばさんの私は「とりあえず病院に行こう」と思っていました。

    友人との関係、親との関係、中学生は共感出来ると思います。

  • 今、いる場所で居心地の悪さや親とも分かり合えない(理解されない)感じを抱えている女の子のお話。

    話が出来るのなら言ってあげたいことがたくさんある…
    なんだか久しぶりに 親の管理下にいる時代の生きにくさを思い出してしまった…(笑)

    暗くて冷たい海の底の居心地の良さを知っていることの幸せも絶対あるんだよ…

  • きょう借りてきて、先ほど読了。河合さんは二冊目。
    しん、とした静けさをどこかに常に感じる。でも同時に、重苦しさでないやわらかな重みも感じる。深海魚、として描かれるものが、浅瀬とのつながりを意識しつつ語られていたのが、よかった。あ、私も、と思ったのは、保健室も居場所ではない、というところ。合法的な避難場所っぽくて、私も保健室や相談室は苦手だった。逆に、私は違うな、と思ったのは、喫茶店という逃れ場所。ちょっと外れたところにある喫茶店、というのは、はぐれ者の拠り所として描かれることが多いけれど、私はそういうところに憧れを抱きつつ、実際ははじかれた経験ばかりだったから。でも作者さんは、喫茶店がそういう場所になったことがあったのかな。あとがきで河合さんが、長い間をかけて集めてきた「とっておきものもの」をつめこんで書いた、と述べていたけれど、だからこその静かな煌きを感じ、だからこその、淡い憧れの危うさのようなものも感じる。ひそやかな隠れ場所は、私もほしい、と切実に思うけれど、少なくとも私にとって喫茶店はそういう場所ではなかった。読者がその距離を感じるとき、憧れはきっと、手のとどかない桃源郷を思うような切ない哀しさを引き起こす。そのひりつきや疼きも、魅惑的ではあるのだけども。
    地の文の随所にみられる整いすぎたことば遣いが、どうしても真帆を中一に感じさせてくれなくて、それだけは個人的にちょっと残念。そして、お父さんの像がぼんやりとしか結べなかったのも。でも、とてもとても、読んでよかった、と思う。「バターサンドの夜」より気負っていない素直さが、よかった。
    植田真さんの、ほっそりとして繊細な、でもしんしんと迫ってくる挿画がすてき。字がもう少し大きいほうが、目にやさしくて私にはよかった、かな。

  • [台東区図書館]

    読んでいるシリーズの近くにあって、ふと題名が目に留まった。
    背表紙の名前に見覚えがあるような気もするけれど、きっと気のせいで知らない作家さんだよな、と思っただけだったのだけれど、念のため筆者のプロフィールや代表作の情報でも見ようか、と思ってめくってみた。

    そしたらそういう情報ではなくあらすじを読んでしまい、、、、なんとなーくずるずると。今のところは特に特徴もないよくあるYA系の小説。唯一特徴があるとすれば思春期の少女の悩みが頻尿の症状ということ。
    少女が行きついた喫茶店、"深海カフェ"は、出て来た当初、現実なのか幽霊話のように非現実の存在なのかと疑りながら読み進んだが、結局はフィクションであるだけでこの本自体は現実の物語だった。

    なかなか進んでいるように思えない本を読み進む中で、この深海カフェで主人公がどう変わるのか、変わらないのかが恐らくこの本のテーマなんだろうと、とりあえず乗り掛かった舟、最後まで読んでみることにしたけれど、結局主人公の"母親"か、せいぜい"ナオミ"のタイプである私には、この本が描かれる側の感覚には馴染めず、最後まで消化不良の感じで終わってしまった。

    ただ、さらりと出て来たナオミのお父さんの助手とか、ナオミの弟の日光アレルギー、そしてその兄弟がインターナショナルスクールを経験していた、という、使われているようだけれどなくても良かったような設定はそれほどいらなかったかな。。

  • 思春期。
    誰にも分かってもらえない、私は孤独だ、
    そう思い込みがちなこの時期は、大人になった今よりずっとしんどかったな。
    それでも、主人公は消極的ながらも、自分で居場所を見つけた。
    やっぱり行動することが大切。

  • ぱらぱらと。

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著者プロフィール

1977年山口県生まれ。東京都在住。慶應義塾大学文学部卒業。公共図書館、大学図書館で勤務ののち、執筆に専念2008年、『バターサンドの夜、人魚の町で』で、第49回講談社児童文学新人賞を受賞、同作(『バターサンドの夜』と改題)でデビュー。その他の著書に『深海魚チルドレン』、『向かい風に髪なびかせて』(ともに講談社)、『金魚たちの放課後』(小学館)がある。

「2019年 『海岸文庫ちどり通信 はなれの管理人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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