深海魚チルドレン

  • 講談社 (2011年6月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784062170321

みんなの感想まとめ

孤独や居場所の探求をテーマにした物語は、深海に住むこどもたちの心の葛藤を描いています。中学生の宗谷真帆は、膀胱の悩みを抱えながらも、親友や母との関係に悩み、自己の存在を見つめ直します。彼女の体験は、友...

感想・レビュー・書評

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  • 誰だって、人に言えない悩みのひとつやふたつ抱えているものだ。
    悩みそのものだって抱えているのが大変なのに、言葉に出せない事実が悩みをさらに深くする。

    この小説の主人公・宗谷真帆の悩みは中学一年生にしてはなかなかに生々しく、ハードだ。

    『授業中におしっこが我慢できない』

    破裂しそうな膀胱と孤独にたたかっている。
    母親にも相談したが、「気のせいよ」と流されてしまう。

    小学生からの友達もいたのだが、クラスが違い、相手に別の友人が出来て疎遠になってしまった。

    そんな日々を送っていたある日、外出先で迫り来る尿意に我慢ができず、たまたまあった少し不思議な雰囲気の喫茶店『深海』のドアを開けてみる...

    他のブクログユーザーさんのレビューで知った本作は、まずタイトルが惹かれるなーと思い、次に内容を知ってとても読んでみたくなった。
    結果は大正解。
    レビュー書いてくださったかたに感謝です。

    明るく、活発で周りに人が集まるような『大きい子』の影に隠れて守られるように生きていた小学生時代の真帆が、中学生になり『尿意』という敵やチューニングが合わない親という壁とたたかい、自分の居場所をみつけるおはなし。

    真帆の気持ちは痛いほど分かったし、母親の無理解や父親の的の外れた優しさは(子供なんていないけど)私も他の人にやってないかと反省させられた。

    一方、『深海』のような暗くて静かで心地よい場所と、『だまっていてもいい関係』のナオミたちをみつけられた真帆を少し羨ましく思った。

    明るくきらびやかな場所にいるとちょっと苦しい気分になる人たちには、この小説が『深海』のような救われる場所になればいいなー。

  • 話す相手を間違えてしまったら、もっとひどい傷を負うことになるなんて、誰も教えてくれなかった。


    世界と和解できない系児童文学。
    孤独なたたかいを続けながら、ひっそりと生きている深海魚のこどもたちの物語。
    あまり知られていないことだけど、暗くて冷たい海の底の方が居心地が良い人間は、本当はたくさんいるらしい。

  • 中1の宗谷真帆は、膀胱の暴走に悩んでいる。授業の50分間もおしっこが我慢できない。それで時々具合が悪くなったフリをして、授業中退席している。授業中は膀胱との戦いだ。小学校からの親友の美園とはクラスが違って、前程しっくりいっていない。
    そんな時に、喫茶 深海に出会い、そこを経営している親子と話すようになり、真帆の居場所になる。

    元気でポジティブな母に膀胱の相談するが、取り合ってもらえないところ。母はあっち側で真帆はこっち側にいるからだろう。

    私は、ずーっと、あっち側とかこっち側とか考えたことがなかった。でも、娘のネガティヴな発言とか、自分がポジティブで能天気で無くなって、どんどん自信がなくなってきたこの頃は、そういう事を考える。

    どっちが正解でどっちが幸せとかではないのだけれど、時々あっち側がキラキラ見えてしまうことがある。

    真帆は膀胱が治れば問題が解決するのだろうか。
    分からない。けれども、お話を読み始めてすぐに、おばさんの私は「とりあえず病院に行こう」と思っていました。

    友人との関係、親との関係、中学生は共感出来ると思います。

  • 今、いる場所で居心地の悪さや親とも分かり合えない(理解されない)感じを抱えている女の子のお話。

    話が出来るのなら言ってあげたいことがたくさんある…
    なんだか久しぶりに 親の管理下にいる時代の生きにくさを思い出してしまった…(笑)

    暗くて冷たい海の底の居心地の良さを知っていることの幸せも絶対あるんだよ…

  • きょう借りてきて、先ほど読了。河合さんは二冊目。
    しん、とした静けさをどこかに常に感じる。でも同時に、重苦しさでないやわらかな重みも感じる。深海魚、として描かれるものが、浅瀬とのつながりを意識しつつ語られていたのが、よかった。あ、私も、と思ったのは、保健室も居場所ではない、というところ。合法的な避難場所っぽくて、私も保健室や相談室は苦手だった。逆に、私は違うな、と思ったのは、喫茶店という逃れ場所。ちょっと外れたところにある喫茶店、というのは、はぐれ者の拠り所として描かれることが多いけれど、私はそういうところに憧れを抱きつつ、実際ははじかれた経験ばかりだったから。でも作者さんは、喫茶店がそういう場所になったことがあったのかな。あとがきで河合さんが、長い間をかけて集めてきた「とっておきものもの」をつめこんで書いた、と述べていたけれど、だからこその静かな煌きを感じ、だからこその、淡い憧れの危うさのようなものも感じる。ひそやかな隠れ場所は、私もほしい、と切実に思うけれど、少なくとも私にとって喫茶店はそういう場所ではなかった。読者がその距離を感じるとき、憧れはきっと、手のとどかない桃源郷を思うような切ない哀しさを引き起こす。そのひりつきや疼きも、魅惑的ではあるのだけども。
    地の文の随所にみられる整いすぎたことば遣いが、どうしても真帆を中一に感じさせてくれなくて、それだけは個人的にちょっと残念。そして、お父さんの像がぼんやりとしか結べなかったのも。でも、とてもとても、読んでよかった、と思う。「バターサンドの夜」より気負っていない素直さが、よかった。
    植田真さんの、ほっそりとして繊細な、でもしんしんと迫ってくる挿画がすてき。字がもう少し大きいほうが、目にやさしくて私にはよかった、かな。

  • 主人公の真帆は、中学に入学して以来、授業中に突如襲われる尿意に苦しめられている。
    子どもの頃、授業中にトイレに行きたくても手を上げて先生に言うのが恥ずかしくて、じっと我慢してたなぁというのを思い出した。
    それが毎時間のことなら、なんて辛い毎日だろう。
    主人公の苦しみは、それが誰にも理解されないことだろう。
    物語終盤に描かれる、母親とのディスコミュニケーションは致命的である。
    それでも、「いつか」と未来に思いを馳せられる真帆はとても強く、彼女はきっと大丈夫だと思わせてくれる。 

  • [台東区図書館]

    読んでいるシリーズの近くにあって、ふと題名が目に留まった。
    背表紙の名前に見覚えがあるような気もするけれど、きっと気のせいで知らない作家さんだよな、と思っただけだったのだけれど、念のため筆者のプロフィールや代表作の情報でも見ようか、と思ってめくってみた。

    そしたらそういう情報ではなくあらすじを読んでしまい、、、、なんとなーくずるずると。今のところは特に特徴もないよくあるYA系の小説。唯一特徴があるとすれば思春期の少女の悩みが頻尿の症状ということ。
    少女が行きついた喫茶店、"深海カフェ"は、出て来た当初、現実なのか幽霊話のように非現実の存在なのかと疑りながら読み進んだが、結局はフィクションであるだけでこの本自体は現実の物語だった。

    なかなか進んでいるように思えない本を読み進む中で、この深海カフェで主人公がどう変わるのか、変わらないのかが恐らくこの本のテーマなんだろうと、とりあえず乗り掛かった舟、最後まで読んでみることにしたけれど、結局主人公の"母親"か、せいぜい"ナオミ"のタイプである私には、この本が描かれる側の感覚には馴染めず、最後まで消化不良の感じで終わってしまった。

    ただ、さらりと出て来たナオミのお父さんの助手とか、ナオミの弟の日光アレルギー、そしてその兄弟がインターナショナルスクールを経験していた、という、使われているようだけれどなくても良かったような設定はそれほどいらなかったかな。。

  • 思春期。
    誰にも分かってもらえない、私は孤独だ、
    そう思い込みがちなこの時期は、大人になった今よりずっとしんどかったな。
    それでも、主人公は消極的ながらも、自分で居場所を見つけた。
    やっぱり行動することが大切。

  • ぱらぱらと。

  • 69

  • なんだか物足りない

  • 「バターサンドの夜」に続く、アウトサイダー系少女が居場所を見つける物語です。
    今回はかなり特殊な特徴をもつ主人公なので、好みが大きく二手に別れると思います。

    表紙のような静謐で穏やかで冷たい空気感の漂う作品です。

  • すごくいい本。中学に入学して、少しずつ周りと自分のことが見えてきて、13歳の苦しさがまっすぐに書いてある本。

  • 装丁に惹かれて。中身も想定通りによかった。

  • 中学生になり、何故か見えざる敵の膀胱と戦う事になってしまった少女。
    緊張のためなのか何なのか、家以外の場所で尿意を模様す。

    見知らぬ子供の後ろをついて行って見つけたお店は
    『深海』という妙な名前で、いらっしゃいも言わない所。
    その謎が地味に明かされてきた所で、主人公の悩みが
    母親の口からどんどんと広まって行った事を知ってしまう。

    口の軽い母親だ、というよりは、それほど娘の悩みが深刻でなかった、と
    いう事なのでしょう。
    楽天家といえばよい感じに聞こえますが
    そこまで娘の悩みを重要視してくれないのもどうかと。

    知られてしまった秘密について、それほど重く受け止める人も
    ちょっかいに使う人もいなかったのが救いではありますし
    アドバイスしてくれた現友人の存在も心強いです。
    が…現実にはこうではないですよね。
    裏でこそこそ言いあって、そのうち表に出てくる、みたいな。
    人の気持ちを推し量れ、とは言いませんが
    娘の事なので、もう少し考えてほしいものです。

  • 主人公が母親との相互理解をあきらめることで全体の調和をとろうとする

  • 学校にも家にも違和感・疎外感を感じてしまう真帆。
    打ち明けられない、だからこそ深刻な悩み。
    思い切って母親に相談しても、理解してもらうどころか門前払い。
    物語は真帆の悩みが完全に解決することなく、自立を促すように終ります。
    家族の中に、わかりあえない真逆の属性の人が、母親としているのは、中1女子にはしんどいですね。
    この物語の後のことを考えてしまいます。
    母親は、真帆が自立しようとするときに、泣いたり脅したりして、止めようとするのでしょうか。
    その時、父親は…?
    真帆のこれからを考えるとき、この物語を読んだ自分自身も、家族と自立について考えることになるのかもしれません。

  • あー! もう超わかるっ。わたし自身頻尿症で、学生時代それが苦痛で退学してしまったくらい。ほんと頻尿だなんて言いたくないし、言ったとしても理解されないんだよ。だってただおしっこが近いだけじゃないんだもん、ほんと死ぬんじゃないか!? ってくらいの膀胱が張るんだよね。わかるわかる、それがなお中1だったらなおさらだよ。友達作りどころか頭の中はいかに膀胱を保つか、おしっこ漏らさないようにするか、だよ。うんうん
    頻尿症に悩みながらも友達関係、そしてそのこころを理解してくれない母親との確執。わかるわー。自分が人付き合いうまく、世渡り上手だからって、自分の産んだこどもがそうとは限らない。ほんとそう。
    自分のことのようにこの小説を読み進めました。
    ただ、ちょっとすかすかすぎたかなー。文字間とか。まぁ児童書だからしかたないのかもしれないけど。

  • 思春期って言葉がぴったりなお話。
    どっちかっていうと明るい場所に立っている人ではなく、ちょっと闇を抱えている人が読むと心地よい感じ。
    でも『え、ここで終わり?』って感じもするな。真帆はどうなるんだー。気になるー。

  • 中学生になって頻尿になちゃったことを周りに打ち明けられずにいる孤独なたたかいをしてる女の子のはなし

    深海にいる魚のようにひっそりひっそり生きてるのもいいと思うよ

    ナオミちゃんがかっこかわいい
    深海魚の目ってすてきだなあ・・・

    海とカメラと貝殻の組み合わせが素晴らしいと思った

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著者プロフィール

1977年山口県生まれ。東京都在住。慶應義塾大学文学部卒業。公共図書館、大学図書館で勤務ののち、執筆に専念2008年、『バターサンドの夜、人魚の町で』で、第49回講談社児童文学新人賞を受賞、同作(『バターサンドの夜』と改題)でデビュー。その他の著書に『深海魚チルドレン』、『向かい風に髪なびかせて』(ともに講談社)、『金魚たちの放課後』(小学館)がある。

「2019年 『海岸文庫ちどり通信 はなれの管理人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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