今村仁司の社会哲学・入門 目覚めるために (学芸局Dピース)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062170482

作品紹介・あらすじ

一九七〇年代、アルチュセール読解、ボードリヤール紹介で衝撃的に登場し、八〇年代以降、盛り上がる現代思想の中心的理論家として注目を集め続けた今村仁司。しかしその問題意識の核心は、当初から一貫して「労働」「暴力」という、社会関係のなかで最も基礎的で重要な現象の解明であった。それを基にして社会の生成論、近代の解析、ユートピア論、ついには覚醒倫理の追究などへと拡がってゆく精力的な仕事ぶり。人間存在の原基的あり方、社会形成の根本動学解明への飽くなき探究は死の直前までつづいた。スピノザ、ルソー、ホッブズからヘーゲル、マルクス、アルチュセール、さらにアドルノ、レヴィナス、ベンヤミンに至るまで思想史を隈なく渉猟し、人間と社会に関する自らの一大体系を打ち立てた不世出の思想家の比類無き社会哲学を紹介。

感想・レビュー・書評

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  • マルクスやアルチュセール、ベンヤミン、清沢満之らの思想の意義を発掘するとともに「近代」にまつわる諸問題を問いつづけてきた社会哲学者・今村仁司の思想を解説した本です。

    今村は、20世紀の資本主義も社会主義も、ともに近代的な労働と暴力をそなえているという点では批判を免れないと考えていました。本書は、今村が考察した近代の労働観や第三項排除の問題、貨幣の問題について解説を加えています。

    さらに、今村がマルクスやアルチュセール、ベンヤミンの思想にイデオロギー批判の系譜を見出し、みずからもその思索を受け継ごうとしていたことについて考察をおこなっています。今村の理解によると、マルクスは新しい経済学の構築者ではなく、徹底した経済イデオロギーの批判者でした。またアルチュセールは、人びとがイデオロギーの中で生きていることを明らかにし、ベンヤミンは上部構造を下部構造の「表現」とみなすことで、マルクスの思想を単純な経済決定論からイデオロギー批判へと読み替えました。今村はこうした思想家たちの仕事を受け継ぎ、われわれがそのなかで生きている「近代」のイデオロギーを批判するとともに、そこから「覚醒」することで新しい倫理へと進んでいく道筋を模索していました。

    65歳で逝去した今村は、そうした思索を十分に展開することはできませんでしたが、著者は清沢満之論をはじめとする晩年の今村の仕事を横断的にとりあげながら、晩年の今村が取り組んだ「目覚めの倫理」の内実に迫ろうとしています。

    また、労働や暴力といった視座から、近代という時代とそのイデオロギーを批判した今村の業績に関しても、簡潔にまとめられています。

  • 11/07/28。

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著者プロフィール

1949年足利市生まれ。
東京大学大学院社会学研究科博士課程修了。現在、東京経済大学コミュニケーション学部教授。専攻、近・現代社会史、社会思想史。主な著者に、『フーコー――知と権力』『〈自己責任〉とは何か』『社会主義の終焉』(以上、講談社)、『戦争の世紀』『「戦間期」の思想家たち』『占領下パリの思想家たち』『一遍と時衆の謎』(以上、平凡社新書)、『可能性としての「戦後」』(平凡社ライブラリー)などがある。

「2019年 『世界戦争の世紀 20世紀知識人群像』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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