いい女vs.いい女

  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062170765

作品紹介・あらすじ

全裸の男の夢を見てしまった。脳内イメージを更新すべく、さあ、"いい女"のことを考えよう!…と、本題そっちのけで語られ始めたのは謎の全裸サークルの活動。そして手に汗握るVネック耐久レースの顛末は、誰もが呆れる衝撃の結論を導き出した-。『過剰に緻密な表現で描かれるばかばかしさ』と第7回絲山賞を受賞した表題作ほか、現役書店員も思わず失笑!の快作「本屋大将」、某芥川作家に『自分はもう小説を書くのをやめたほうが良いのかもしれない』とまで言わしめた初期の傑作「教師BIN☆BIN★竿物語」の計3作を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 文学的高尚文体で、下劣で無意味で脈絡のない無関係な思いつきが羅列される。ナンセンスといえばナンセンスなのかもしれないが、あまりに内容がなさすぎて、収録されている3編のうち、先の短めの2編はくすりとするとこもありつつも、最後の長めの一編は、これ、真面目に読んでもまったく意味ないんだよなと一度思ったら、読むのがバカらしくなってしまって、最後20頁は適当に読んだ。が、適当に読んだとしても何の後悔もないし、最後から読んでもまったく支障はないので、たまたま開いたところを3分ずつ読むとかしたほうが、楽しいかもしれない。

  • 『ポジティブシンキングの末裔』よりも読みやすく、『金を払うから素手で殴らせてくれないか?』よりも混沌としていて良い。

    表題作の最後に繰り広げられる、詭弁ともつかない主張は、案外的を射ているかもしれない。

  • 3篇の短編小説集。ユーモアと変態性が溢れる作品群。ある意味で、この作家特有のジャンルを生み出したのではないだろうか。

  • 表題作を含む3本の短編集。相変わらずのナンセンス文体オンパレード。特に表題作の狂気すら感じさせる展開(転回?)は最高。こんなことを考えている人(作者)が普通に日常生活を送っていることに恐怖を禁じ得ない。
    あと、巻末の作者紹介文で「~比較的堅調に文芸誌に作品を発表するも、コアなファンがますます喜ぶばかりで、単行本化を見送られ続けていた不遇の経歴を持つ。」に納得&爆笑。
    それから、表紙の絵が金子ナンペイなのも何となく本書に合ってる気がした。

  • 最初の項だけ読んだ。文がメチャクチャ。ずっと繋がってる。し、いつのまにか飛んでたりする。図書館にあったって事は好きな人がいるのか?

  • 世の中には読むだけで「頭がよくなった気がする!」という錯覚を惹き起こす書物がある一方で、読んでも一向に頭がよくなった気がせず、そればかりか脳髄がすこしだけ腐敗したような錯覚を抱かせる書物もあり、そのなかでも脳髄は腐敗するしあまつさえつまらない書物と、脳髄は多少腐ってもしかしおもしろい書物のふたつが存在し、本書は明らかに後者である。

    極限まで圧縮された文体の、それでいて日本語のコロケーションをどこかで奇妙にずらした語彙の用法がある種のガス抜きとなり、緊張とそれに相反した弛緩に満ちた至福の文章体験を味わわせる。古栗の魅力はまずその文体だ。

    全裸の男を夢に見た男と全裸愛好サークルとの奇妙な関係、いい女=ワイルドな女を探し街に繰り出す男の心裡、美術館の企画展時で催されるVネック耐久レースの模様、自身の全裸自撮りを書店内で無許可宣伝販売する男と彼に近づいた女性書店員の悲劇、鬼のようなピストン運動を伴う性行為を詩作のかわりとして恩師に送りつける詩人の謎……こうした愚にもつかないほとんど思いつきのごときイメージを、先に述べた、徹底的に緻密でありながら圧倒的に無意味極まる文体で、時にはそれもやはり無意味にしか思えぬ風刺やパスティーシュを交えつつ描写する。

    以上が古栗作品の全てであり、それのなにがおもしろいのかと問われても返す言葉はない。しかしべらぼうにおもしろい。なぜか。わからない。わからないし、それがわかったときには、古栗をおもしろがって読むスキルのごときものが減じてしまうのではないか、とも危惧される。

    系列としてはロシアのウラジーミル・ソローキンや、アルゼンチンのセサル・アイラと同じ箱にいれていいのではないか。あるいはベケット? まさか。いや、しかし、あるいは。

    「本屋大将」「教師BIN☆BIN★竿物語」「いい女VS⭐︎いい女」などタイトルもひどい。だが、すごい。ひどいがすごい。古栗の魅力を一言であらわすならそれだ。すれからした小説読みは、須く古栗を読むべし。

  • 「本屋大将」★★★★
    「教師BIN☆BIN★竿物語」★★★★
    「いい女vs.いい女」★★★★

  • 意味があるようでないようで意味不明でトートロジー的な文章とストーリーが面白い。
    なんか夢を見ているような感じ。
    すべての意味のあることに対するアンチテーゼみたいな感じ。
    8か所くらいなるほどなと思わせられるところがあった。

  • 表題作はしっちゃかめっちゃかである。正直卵の話のくだりはすごく気持ち悪い。
    阿部和重と反対の目的の饒舌さ。

  • 私には合わない、としかいいようがない。
    おもしろさの感覚が合うひとにはおもしろいけど、
    合わないひとにはおもしろくない、というタイプの作家だと思う。

    『ポジティヴシンキングの末裔』も私にはおもしろく感じられなかったし、
    印象に残ってる話も思い出せないから、やっぱり合わないんだと思う。

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著者プロフィール

1981年生まれ。著書に『ポジティヴシンキングの末裔』、『グローバライズ』、『生成不純文学』、『人間界の諸相』など。

「2020年 『サピエンス前戯 長編小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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