さようなら、ドラえもん 子どものためのテツガク教室

  • 講談社
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (162ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062170901

感想・レビュー・書評

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  • “ドラえもんはマンガの世界だけど、きみたちはそれがどんな魅力的でも、苦労しないで手に入れたもの、人から恵んでもらったもの、などに頼っちゃダメだ”
    “人類が消滅しないまでも、いまの十分の一に減れば、環境問題はいっきょに「解決」される。でも、だれもこういう主張はしない“
    “みんな、「どうせ死んでしまう」とか「人生に生きる意味はない」と、うすうす感じながら自分をごまかしてやっと生きているのに、近くにそれにこだわっている人がいると迷惑なんだよ”
    “人生にはどうしようもない「偶然」が左右するんだよ。だから、きみたちは、今後どんなに努力してもむくわれないかもしれず、どんなにサボってもむくわれるかもしれない”
    “僕が「祝辞」を頼まれたら、三十秒ですますことができる。「ご卒業おめでとう。人生は、実際に生きてみなければどうなるかわかりません。そして、みんな確実に死ぬのです。オワリ」”
    “人に親切にした者が、親切にしない者を責めるような社会は、困ったものだ”
    “きみたちが「ふつうの人」なら、本書などぽいと投げ捨てて好きなように生きればいい”

  • のび太のままではダメんだ
    どんなに魅力的でも苦労して手に入れたもの、人から恵んでもらったもの、なとに頼っちゃダメだ
    どんなに小さなものでもいいから、自分の手で何かをつかまなければならない。
    どんなに思いやりのあるやさしい人になっても、弱ければダメだ
    強くなければ自分の好きなことも、道徳的によいこともつらぬくことができない。

  • 中島義道氏による、
    15歳くらいの子どもを対象読者という設定にした
    哲学ってなに? という物語。

    あとがきより

    「本書で私が伝えたいことをひとことでいえば、どんなに楽しく
     幸せでもほんとうのことを知らなければ、生きている意味がない、
     ほんとうのことを知ることがどんなにつらく苦しくても、
     それはほんとうのことだから価値がある、ということです。」

    カントの「道徳的によい」ということをメインのテーマとして、
    懸命に考えて、悩んでみよう、というおはなし。

    私自身、ほとんど哲学の先人の思考を借りながら悩んでみる、
    という経験がなかったので、
    考えさせられた。

    p.147より

    「どんなに思いやりのあるやさしい人になっても、弱ければだめだ。
     強くなければ、自分の好きなことを貫くこともできない。
     『道徳的によい』ことを貫くには体力と精神力と勇気がいるんだ。」

    なんという温かい言葉なのかと私はびっくりする。
    モノと情報と価値観にあふれ、とかくあらゆるものを消費しながら
    享楽的に生きることにほとんど疑義の呈されることのない社会の中で、
    「貫く強さを持て」という。
    でもまさに、それがないから生き方を漂流してしまう人が出てくるんじゃないかと
    思ったりする。

    本書についてのクレームを出すなら、タイトルであろう(笑)。
    ほとんどドラえもんの話なんか出てこない(1ページくらい)。
    きっと、編集者が「ドラえもんってつけたほうが売れるんです。」という
    商業的提案をしたのではないかと思ってしまうのだが、
    これほど骨太な中身なんだから、後でケチをつけたくなるような
    題ならやめてくれよ、と思ってしまう。

  • 中学生に向けて授業形式に書かれた哲学入門書。
    とても分かりやすいです。
    哲学書に余り触れないで年齢を重ねてしまったので、今からでも読んでいこうと思います!

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著者プロフィール

1946年生まれ. 東京大学法学部卒. 同大学院人文科学研究科修士課程修了. ウィーン大学基礎総合学部修了(哲学博士). 電気通信大学教授を経て, 現在は哲学塾主宰. 著書に, 『時間を哲学する──過去はどこへ行ったのか』(講談社現代新書),『哲学の教科書』(講談社学術文庫), 『時間論』(ちくま学芸文庫), 『死を哲学する』(岩波書店), 『過酷なるニーチェ』(河出文庫), 『生き生きした過去──大森荘蔵の時間論, その批判的解説』(河出書房新社), 『不在の哲学』(ちくま学芸文庫)『時間と死──不在と無のあいだで』(ぷねうま舎), 『明るく死ぬための哲学』(文藝春秋), 『晩年のカント』(講談社), 『てってい的にキルケゴール その一 絶望ってなんだ』, 『てってい的にキルケゴール その二 私が私であることの深淵に絶望』(ぷねうま舎)など.

「2023年 『その3 本気で、つまずくということ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中島義道の作品

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