希望 僕が被災地で考えたこと

著者 :
  • 講談社
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062171076

作品紹介・あらすじ

だから僕は、被災地に向かった。

被災者の気持ちを、わかろうとする努力を怠らずにいたい。
無力感から歩みをとめてしまうことが、いちばん怖い。
立ち止まっていても、だれかの役に立つことはできない。

被災地のために、精一杯のことを

第一章 僕に何ができるのか
 三月十一日/父として/自粛と他粛/無力感のなかで
第二章 そして、被災地に向かった
 青空を見上げて/「また会いましょう」/こどもの日/灯りをともして/
 プレイボール!/ファイト新聞
第三章 いま、思うこと
 希望
――目次より

感想・レビュー・書評

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  • 被災地のことを思ってイベントを中止することは、自粛じゃなくて、委縮ですよね いままで、がむしゃらに働き、そこで生まれた絆。その絆に自分は、助けられました 「また会いましょう」 彼女にとって、そして避難所に暮らす人々にとって、少しでも未来を感じられる言葉にしたかったから 五体不満足の著者が被災地を訪問し、体験したことを描いたもの 傷ついた人々の心を癒し、希望を与える姿は美しい

  • 369.3

  • 乙武さんの東日本大震災に際しての自叙伝。震災当日のこと、その後被災地を巡って見聞きしたこと、感じたことを日記調に綴った1冊。
    自身の「無力感」、世の中に広がる「自粛」ムード。心に引っ掛かっていた当時のもやもやを、この本で明瞭にしてもらった。カウンセリングを受けた気分。

    震災からもうすぐ丸2年。記憶はどうしても薄れていくものなので、記録であるこの本を手に取り、今後も震災について身近に考えていきたい。

  • 何故いまこの本?と思われるかもしれないけど、あの大震災のショックがだんだん薄れてきていると感じて手に取った一冊です
    遅々として進まない復興や頑張る気持ちが緩みがちな自分への戒めとして読みました

  • 自分にできることは一体何かを考えた乙武さん.
    この本を通じての訴えと希望.

  • とってもよかった。
    「無力感」にさいなまれるくだりが特に。
    お勧めです。

  • 当時を思い出した。
    希望は、未来への希望

  • 2012年50冊目。

    最後のページに書かれた“乙武洋匡らしい支援”という言葉が全てだと思う。
    「自分にできないこと」と「自分にできること」をしっかり見据えて、後者を実行する。
    「自分らしさ」「自分ならでは」と、求められていることがリンクする場面を探す。
    そんなシンプルな姿勢に感銘を受ける。

    「何をしたらいいか分からない」という言葉の裏には、
    現場のニーズを知らないことと、もう一つに、自分を知らないこと、があるのだと思う。
    自分の素敵なところ、自分ならではのところ、をしっかり認めてあげることは、
    実は貢献に繋がるんだと思う。

  • まさしく自分が考えていたことを表現してくれた!と感じた本。
    私も被災地に行って、被災者の気持ちになるべく近づきたいと思っても、やはり大きな壁があって、わかりあえないと思った。「持つ者」「持たざる者」という境界線は、いかんともしがたいからだ。だからといって、「やっぱりわかり合えないんだ」とあきらめてしまうのも違うと思った。その答えを探していたら、この本が答えをくれた。

    「・・・その人の気持ちには、もちろんなれない。でも、想像することならできる。相手の立場になって、心を寄り添わせ、うれしいだろうなと思う言葉をかけたり、行動をしたり、ただ何も言わず見守っていたり。
     もちろん、その想像が間違っていて、相手を傷つけたり、怒らせたりしてしまうことだってあるだろう。でも、そうなることをおそれ、何も働きかけないことが、はたして善なのか。(中略) 僕も立場の異なる相手に対し、少しでも心を寄り添える人でありたい」

    もう1つ。
    ボランティアのあり方、支援のあり方について。
    支援をする人は、なんでもかんでも被災者のためにしてあげることが良いことだと思っている人が多いと思う。だが実際には相手によって、どこまで支援すべきなのか、今の段階であればここまでしてもよいが、それ以上はしてはいけない、自分でするように促すなどの配慮をしていかないと、自立できないようになってしまうのではないかと、被災地に行って強く思った。

    そのときによく思い出した言葉が、この本にある乙武さんの文章。
    「けれど、僕は知っている。一方的に浴びつづける善意は、やがてボディーブローのように効いてくることを。相手に「してもらう」ことは本当にありがたいことだが、その関係性があまりにも一方的だと、いつしか自分を卑下するようになる。それは、物理的に「してもらう」ことの多かった僕が、小さな頃から闘ってきた葛藤でもある」

    乙武さんの言葉は、等身大の言葉ばかりで、上から「こうあるべき」と無理に説得してこない。地に足が付いた言葉なので、とても納得させられた。

  • 自分に出来ることがなんなのか。震災直後に読むのとまた違う感覚で読めた。それぞれが、いろんな場所で感じて来た不安、焦り、苛立ち、無力感…それを思い返しながら、どんなことができるか、また考えたいなと思った。良くも悪くも乙武さんらしい。

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著者プロフィール

1976年東京都生まれ。早稲田大学在学中に出版した『五体不満足』(講談社)が600万部のベストセラーに。卒業後はスポーツライターとして活躍。その後、教育に強い関心を抱き、新宿区教育委員会非常勤職員「子どもの生き方パートナー」、杉並区立杉並第四小学校教諭を経て、2013年2月には東京都教育委員に就任。教員時代の経験をもとに書いた初の小説『だいじょうぶ3組』(講談社)は映画化され、自身も出演。現在は、執筆、講演活動のほか、インターネットテレビ「AbemaTV」の報道番組『AbemaPrime』の水曜MCとしても活躍している。『自分を愛する力』、『車輪の上』(以上、講談社)、『ただいま、日本』(扶桑社)、『ヒゲとナプキン』(小学館)など著書多数。

「2021年 『だから、みんなちがっていい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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