一寸先は光

著者 :
  • 講談社
2.92
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本棚登録 : 34
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (194ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062171410

作品紹介・あらすじ

派遣切りにあい、彼氏に去られ、住むところも失ったミサキは、人生のどん詰まりで友人の喜久江に助けられ、彼女が営む遺品整理屋で働いている。ある日、40代で孤独死した女性の部屋を整理しながら彼女の人生に思いをめぐらせる。夢を抱いて上京し、女一人で頑張ってきたのに、死んだら迷惑がられて、弔ってくれる人もいないなんて。ミサキは、彼女のために泣いてくれる人を探し始める。今もっとも切実な無縁&孤立社会を描いた、書下ろし長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • 知り合いに薦められた本は読むことにしよう、と決めたので早速読んだ。

    私も田舎から東京に出てきた人だから、共感する部分は沢山あった。「いい自分をみせたい」っていう見栄は誰にでもあるよね。見栄を張ることで前進できる時期もあると思う。

    大切なのは、その時期に応じて最重要視することを選べる自分であることなのかな。スケールは小さくても、家族、仕事、自分の学びや楽しみ、全部大事にしたい。「仕事に賭けるから家庭のことは妻(夫)にまかせる」とかして互いに明確な役割分担をし、支えあう生き方もあるし、今までそうして幸せを得てきた人も沢山いるだろう。でも、そのように役割や場所を固定してこれからの時代を生きていくことは難しいだろう。

    状況に応じて一番大切にすべきものを選べる人になりたい。それができる軽快さをもつためには、基礎となる仕事のスキルや生活力(?)が必要だ。
    だから今はまず、仕事をしてお金を稼いで自活しよう。勉強しよう。

  • 派遣切りにあい、彼氏にも去られた39歳の女性が、遺品整理屋で働き、49歳で孤独死した女性の人生を考えながら、自分自身の人生の方向性を見出すストーリー。「人は生きたように、死んでいく」という言葉が重い。東京で一人暮らしの高齢男性の4人に1人は相談相手がいず、今から15年後の東京の独居率は45%になるというデータが紹介されており、孤独死が今後の深刻な社会問題になるとしている。

  • 私が死んだとき、泣いてくれる人が一体何人いるだろうか。今の私にはじんわり染み渡るような本だった。人は1人では生きていけないし、1人で生きているつもりでも誰かと繋がって支えられている。当たり前のことなのに、独りでいるうちに忘れてしまう。「ヘルプというのは、相手を救うことでもある」時には誰かに思いっきり頼ることも必要。

  • 遺品処分屋のミサキが、40代で孤独死した矢沢麻利子の遺品整理をする中で、自分と重ね合わせて、何としても彼女のために泣いてくれる人を探しはじめる。遺品の引き取りを拒否していた実家に辿りつき、認知症の母がいることを知る。

  • 図書館から
    いつ何が起こるかわからない・・・
    身辺整理は、やはりちゃんとしておこう。

    ***

    ・長男の年金加入手続き。
    ・誕生日祝いにネクタイピン選んだ。
    ・財布を新調、「紫」が刺し色、今年はこれがラッキカラー
     の気がするんだわ。
    ・持ち主のわからなかったTシャツ
     Yちゃんが「ちょっとニオイさせて」くんくん。
     「あ、これはKちゃんのだよ」って!
     それぞれの家庭の「柔軟剤」おぼえてるみたい!!すご!!
     ちなみに、Kちゃんちは「ダウニー」

  • 職も失い、長年付き合っていた彼氏にもふられ、人生崖っぷちのアラフォー主人公。友達の経営する遺品整理の仕事を手伝うようになる。孤独死した女性のことが他人事と思えず、彼女の人生を調べて自分探しをするような展開。主人公に感情移入することができず、結局孤独死した女性のことも中途半端な気がして、あまり熱中できなかった。

  • テーマは、まぁいいんだけど、ストーリーの展開がいまいちかなぁ。

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著者プロフィール

谷口桂子

作家・俳人。1961年、三重県四日市生まれ。東京外国語大学イタリア語学科卒業。2000年3月『エイク』で小説デビュー。以降、小説やノンフィクションなどの本を出版。著書に『食と酒 吉村昭の流儀』のほか、『一寸先は光』『越し人 芥川龍之介最後の恋人』『崖っぷちパラダイス』『祇園、うっとこの話「みの家」女将、ひとり語り』『夫婦の階段』(インタビュー集)など多数。

「2022年 『吉村昭の人生作法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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