政治の衰退 下 フランス革命から民主主義の未来へ

  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062171533

作品紹介・あらすじ

人類誕生からフランス革命に至るまでをグローバルに俯瞰し、「歴史の始まり」を書いたと評された前作『政治の起源』を引き継いだのが本書『政治の衰退』。下巻は第2部「諸外国の制度」の第19章「アフリカの嵐」以降を収めた。
自由で民主的な政治制度を達成するには、「国家制度」「法の支配」「政府の説明責任」の3つが要件となるが、3つがバランス良く整うのはむずかしい。アラブ、アフリカ、ヨーロッパからアメリカ、東アジアまで、フクヤマの歴史的、思想的洞察が展開される。

【アメリカの病】
国家権力に不信を抱くアメリカは、「国家制度」ではなく「法の支配」を優先した。その結果、すべては訴訟によって決められ、連邦議会では利権争いが繰り広げられている。トランプ大統領誕生前の本書で、フクヤマは予言のごとく異形のリーダーを生み出した「アメリカが抱える病弊」を抉り出す。
【中国の国家権力】
秦の始皇帝による官僚制度こそ、近代的国家制度の始まりだ。しかし超越的な宗教の伝統を持たなかった中国では「法の支配」の概念は生まれず、いまだ自由や「説明責任」の制度を整えていない。経済格差と汚職の蔓延から生まれる社会の不満。拡大する中産階級が突きつける「説明責任」に対し、法を支配の道具として用いる中国共産党はどのように答えるのか。
【日本の官僚制度】
近代化以降、「国家制度」を強固にした日本では、官僚制度の自律性が強まり、軍部の暴走という凶暴さすら生んだ。近年でも官僚制は機能しているが、「難しい問題は先送り」とするなど制度として疲弊しつつある。裁判という「法の支配」よりも非公式な紛争解決を好み、市民政治運動が脆弱な日本が目指すべき民主政とは何か。

「衰退」は制度自体がもっている本質が原因となり、ルールが硬直化するなどして、どんな体制においても起こり得る。とはいえ、政治の衰退は民主主義体制におけるシステミックな統治能力の危機ではない。衰退を避けることはできないが、それを乗り越えて民主主義が勝ち残るには、いま何が必要なのか? フクヤマ政治理論の集大成、ついに完結!

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  • 東2法経図・6F開架:313A/F85s/2/K

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著者プロフィール

1952年、アメリカ生まれ。アメリカの政治学者。スタンフォード大学の「民主主義・開発・法の支配研究センター」を運営。ジョンズ・ホプキンズ大学やジョージ・メイソン大学でも教えた。著書『歴史の終わり』(三笠書房、1992年)は世界的なベストセラーとなった。著書に、『「大崩壊」の時代』(早川書房、2000年)、『アメリカの終わり』(講談社、2006年)、『政治の起源』(講談社、2013年)、『政治の衰退』(2018年)、『IDENTITY』(朝日新聞出版、2019年)などがある。

「2022年 『「歴史の終わり」の後で』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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