セキタン! ぶちかましてオンリー・ユー

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 37
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062172233

作品紹介・あらすじ

中3の夏、おれの目の前に現れた男はいきなり、「力士になったらどうかな」と言いやがった。相撲なんで1ミリも興味がないのに-。シコふんでチャンコ食べて、からだごとぶつかる青春記。

感想・レビュー・書評

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  • 物語の落とし所は中途半端というか疑問符が残ったけど、相撲の世界の中が垣間見えて興味深かった。やる気のない力士も多いのね。好きな女の子を振り向かせたいがために努力する姿は、素直に応援したくなった。家を出る前の晩、食卓を囲みながら弟が泣き出すシーンは思わず貰い泣き。

  • 前半はおもしろかったんだけどなあ。後半はうまく収拾がつけられなくなった感で、読後感はもうひとつです。

  •  15歳の誕生日。冷やし中華を食べに行った近所の店で、ナゾの兄ちゃんが声をかけてきた。治の名字が相撲に関係があることや好きな女の子のことをピタリと当て、治に相撲取りになることをすすめる。「進路を決めるときだろ。そのへんの高校に言ったってつまらないぞ。身体ひとつで相撲界に飛びこむんだ。」「横綱になれる。そんなオーラが、君の背中から立ちのぼっているよ」このナゾの兄ちゃんは、何者か分からないまま物語は進んでいく。しかし、この助言をきっかけに治は進路を決め、中学卒業後、相撲界へ!
     タイトルの“セキタン”は、急ぐことを意味する相撲界の隠語“石炭をたく”から。

  • きのう読み始めて、きょう読了。なにしろ表紙のインパクトがすごい。
    適度に力を抜いて書かれているので、「相撲」の伝統に押しつぶされずに読むことができた。切れのいい話運びと語り口。落ち込んだり迷ったりはしても、前へ進んでいくオオゼキくんの姿が爽やか。相撲の舞台裏をちょこっと覗かせてもらったみたいな楽しみもあって、読後の満足感はけっこうあった。でも逆にいうと、それぞれの描写はあっさりめで、深まりそうなところですいっと先に行ってしまう感じ。でないとオオゼキくんの入門後を追えないからだろうなと思うものの、個人的には物足りなく感じる部分も若干あった。けっこう安易に入門してしまっている気もするし。一冊で数年を追う構成なのは、どちらかというと人より相撲を描きたかったからかな。もう少し長めにして描き込んでくれてもよかったなぁ、と勝手なことを思ったり。
    それでもやっぱり、相撲という題材選びが光っているのはたしかだなぁ。

  • 相撲界のことがよく分かる物語。
    進路、恋、家族のことに悩む14~18歳ぐらいのときのことがよく書かれてる。

    爽やかな読後。

  • 中三の大関治は高校受験を考えていた。
    しかし、正体不明のナゾ兄と出遭い、美術部顧問やクラスメイトの影響もあり進路の変更を決意する。

    単純なサクセスストーリーではないけれど、大関こと“オゼキ”は悩んだり工夫したりしながら熱い気持ちを持ち続けた!

    読み終わると、相撲界のことがちょっと気になっちゃいます!

  •  読まなくても良かった。主題が攫めなかった。「光陰矢の如し」かなぁ。
     後半の、ふにゃふにゃ感がすごい。その後、八百長の何かを攫んで、題材、
     腫れ物だったかなって、萎れてしまったのでしょうか。八百長、今年発覚
     してしまったけど、今読んでる「ヤバい経済学」によると2005年までの
     統計データからでさえ、客観的に歪さが露になっていた様ですものね。
     破綻して良かったと思うし、凄まじい空しさは渦巻く。インセンティブ。

  • 中3の夏に、見知らぬ男性(ナゾ兄)に突然「君は力士に向いている」と宣言された治は、悩んだ末に中卒で相撲部屋に入門。「銀小関」として1ミリも知らなかった相撲界の入り口に立つ。
    治と同じくらい相撲のことを知らなかったが、読んでいくうち興味がわくくらい面白かった。
    ちゃんこ食べて四股を踏む。そして稽古。その繰り返しで身体も心も強くしようとする治。それもすべて、好きな同級生のため。
    単純で、ちょっとばかり体が大きかった普通の少年が奮闘する様が健気で清々しく、応援せずにはいられない。もしも国技館で相撲を見る機会があったら、きっとこの本の努力家な少年を重ね合わせてしまうと思う。

  • 小説には必ずデブが出てくることから個人的に名付けた「デブ専作家」須藤靖貴。そしてまたデブの汗が何故か爽やかに感ずるがごとく青春応援歌を奏でるのがその作品に共通するテーマだ。その中で本作はデブのなかのデブ相撲取りと青春が揃った王道の作品だ。

    本書は今年の9月に出ていたにも関わらず二ヶ月余りも知らずにいたのは、本書は所謂「児童書」の扱いで書店でも通常の小説・男性作家の棚には置いてなかったためだ。だが中身は決して児童書ではなく大人でも十二分に楽しめる作品だ。

    中学三年生の治は剣道部を退部して将来どうしようかと漠然と考えながら中華料理屋で食事をしていたところ、隣に座った見知らぬ男に「相撲取りになれ。君が雲竜型で土俵入りしている姿が見える。」といきなり言われたところから物語は始まる。相撲など頭の片隅にも無かったのが、次第に相撲も良いかも知れないと考えるようになり卒業後は相撲部屋に入門する決意をする。

    成人式までにはなんとしても関取になるんだ、と稽古を積み重ね序の口、序二段、三段目、幕下と徐々に番付も上がっていく。だが何故か番付運が悪く幕下上位からあと一歩の十両に上がれず関取直前で足踏みをしてしまううちに時間はどんどん経ってしまう。果たして治は関取になれるのか?そんなある日、中学生のころに出会い相撲取りになれと勧めた不思議な男からの手紙が部屋のおかみさんが預かって居た。そこに書かれて居るのは何か、そしてその男は誰なのか。ちょっぴりファンタジーの要素をも取り入れた須藤の青春物語だ。

    尚、題名の「セキタン!」は蒸気機関車が速度を上げるために石炭を沢山燃やして馬力を付ける、ということから「急ぐ」「頑張る」という意味で使われる相撲界の隠語から取ったもの。「力士ふたたび」の中でも元兄弟子に「急いで来い」と呼びつけられるときにこの表現が使われていた。

    「力士ふたたび」そして本作「セキタン!」と相撲小説二作を続けて読んだ形になったが、須藤は本当に相撲が好きなんだなぁと改めて感じさせる。

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著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。駒澤大学文学部卒業。スポーツ誌の編集者などを経て、1999年第5回小説新潮長篇新人賞を受賞し、作家デビュー。おもな作品に、『おれたちのD&S(デマンドアンドサプライ)』『どまんなか1~3』『セキタン! ぶちかましてオンリー・ユー』『3年7組食物調理科』『小説の書きかた』『走れ! ヒットン』(講談社)、『消えた大関』(PHP研究所)、『デッドヒート 上・中・下』(角川春樹事務所)、『スクールセイバー 学園危機一髪!』『フルスウィング』『押し出せ青春』『セコンドアウト』(小学館)、『俺はどしゃぶり』(光文社)などがある。

「2019年 『スポーツのおはなし 柔道 柔道がすき!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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