「いのち」を養う食 森のイスキア 佐藤初女さんより、幸せな食卓のための50のメッセージ

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062172660

作品紹介・あらすじ

森のイスキア開設から20年。食を通して伝えたい、心が「活きかえる」ヒント。

感想・レビュー・書評

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  • 著者の佐藤初女さんは、教職の後さまざまな奉仕活動に携わり、自宅を解放して「弘前イスキア」を開設。その後、岩木山麓に「森のイスキア」を開設。
    心に苦しみを抱え、救いを求めて訪れる人たちを無条件に受け入れる。食事をともにして寄り添い、再生への足がかりとする活動。世界に広く知られる。

    「料理は五感で作る」
    「料理は手間と心づかい」
    料理が好きで、忙しくても時短料理などしない、というタイプの人なら、この意味がよくわかるでしょう。

    緑の野菜をゆがいているときに、一瞬、緑が輝く。その一瞬の輝きが「いのちのうつしかえ」
    野菜にはそれぞれ「いのち」があって、それを大切にいただくのが料理。この「いのち」は、私たちの体に入って、ともに生きていく。。

    初女さん、本書のなかで何度か「塩は必ずいいものを選んでください」と書いている。
    私も味噌・梅干し・ぬか床・塩麹などを自家製で作るようになってから、塩は高くてもいいものを使うようになった。
    "薬ではなく、食べ物で病気を治す" というのも頷ける。

    品数の多さや凝った料理よりも、「何でもないような料理を、ほんとうにおいしく作れることが大事」。

    50のメッセージ、どれをとっても
    わかる人にはわかる。わかる人にだけわかる。

    〈目次よりピックアップ〉
    食材と向き合うのが料理の第一歩
    自分の感覚で料理すると創造的になる
    おいしいご飯があれば、満足できる
    だしとみそがおいしいと体にすっと入る
    見えない下ごしらえこそ大切
    「手」は最高の調理道具
    料理は化学、物理、そして哲学
    人はふれあいを求めている
    物質だけでは満たされない
    生きることは人さまのお役に立つこと


    "「特別な能力も経済力もない私に、これ以上何ができるだろうか?」と考えたとき、ハッとひらめきました。「私には心がある」と。
    心を尽くして、人さまのお役に立てることがあるはずだと思って、それが「森のイスキア」の活動につながったんです。"

    「私には心がある」
    自信をもってこう言える生き方。素敵な歳の取り方。

    「調理をする心」というのは、その人の生き方そのものだという。これからも今まで以上に、手間暇かけて丁寧に料理を楽しんでいきたいと改めて思う。

  • 森のイスキアの方のエッセイ。お年の方なのを知らなかった。結核、HIV,時代ごとに病は違うけれど。

  • ◆きっかけ
    佐藤初女さんの著作を順に読んでいて。図書館で他館リクエスト。小松市立図書館より。
    ◆感想
    ・食物のいのちを考え、大切にし、料理する。それが食事を共にする自分や家族、周りの人のいのちを養うことにつながる。つい食事を簡単に済ませたくなることもあるけれど、そんなとき、ふっとこのことを思い出したい。
    ◆引用
    ・ああ、それはいくら食べても、力にな、ないですね。(中略)冷凍食品には『いのち』は宿っていないんです。だから、『いのち』のある新鮮な食材から、料理を作ることが大切なんですね…p27
    ・「火は神聖なもの」なんです。(中略)火を使った調理中におしゃべりをしたり、脇見をしたりなんてしていられないんですよ。(中略)ゆがいていくうち、ほうれんそうがお湯の中で一瞬、輝くときがあるんです。それが「いのちのうつしかえ」の合図です。緑が今までとは違う透明感のある緑になって、ほうれんそう自身が教えてくれるわけです。...p42
    ・30 見えない下ごしらえこそ大切 (中略)私は「めんどうくさい」という言葉が嫌いです。 「めんどうくさいから」といってやらなくなることが、さまざまな問題につながっていくように思います。(中略)もちろん、私もそう思ってしまうこともあります。でもそのたびに、「いけない!」と思って、姿勢を正すようにしています。楽をすることで失うものが多いということに、気がついてほしいと思います。

  • 図書館でひとめぼれした。
    食材の扱いにその人の生き方が現れると思う。おむすびはご飯の一粒一粒が呼吸できるようにやさしくむすび、タオルで覆う。タオルの使い方を真似したいと思った。
    この本をよんで思い出すのがお義母さんのおむすび。口の中でほろっとほぐれて絶妙なにぎり具合で、やさしくてすごくおいしいのだ。わたしもこういうおむすびを結べる人になりたい。試行錯誤まずはやってみる。そして今度お義母さんに教えてもらおうと思った。
    来週、地球交響曲第2番を見に行くので、今からとてもわくわくしている。

  • 青森で「森のイスキア」を運営されている佐藤初女さんの、食を中心としたエッセイ。有名なふんわりおむすびの作り方や、お料理のちょっとしたひと手前を教えてくれている。

    長い時をかけて親から子へ語り継がれてきた暮らしの知恵も、団塊世代あたりから途切れがちだと思う。哀れ団塊以降。けど現代は自分から積極的に学べる時代でもある。初女さんに辰巳芳子さん、東城百合子さんに林のり子さん。人生の大先輩たちの書き記しが「おばあちゃんの知恵袋」となってくれる事をとても有難いと思う。

  • 読んだ後 初女さんのまねっこして
    おむすびを作った
    なんてことないはずの梅おむすび
    とてもおいしかった

  • あったかい本です。
    本当にあったかい。
    食は命であるということを実感してから、
    食べ物や料理を気にかけてきましたが、
    こんなに集中して、注目してやってませんでした。
    もっと素材を見る
    もっと表情を読み取る
    そんな作業が必要だったんだなーと痛感。
    あらためて上っ面だけやったんやなーと反省しました。
    味付けの仕方、調理の仕方等々
    学ぶことが沢山ありました。
    もう一回ちゃんとかぼちゃを煮てみようと思いました。笑”

  • 以前から知っていた方だけど、著書を読むのは初めて。
    理論理屈ではない料理に対する気持ちが書かれています。
    いのちをいただく事、五感で料理する事、臨機応変に作る事、食材を大切に扱う事、米と汁を大切にする事。
    今更だけど、栄養学や他の調理の理論や食事療法を元に回答をすぐ求める以前に、大切な物があると改めて気づきます。

  • 示唆に飛んでいるが、中身がとんでもなく薄い。これはなんのための本なのだろう? レシピに差し挟むようなコラム的文章だけ寄せ集めたよう。写真も挟むなら、レシピ集にすれば良かったのにと思う。

  • やさしくて 穏やかなかんじ。
    タイトル通り いのちを養う っていうことが
    ゆっくり じわーーと伝わってくる本。


    以下、自分用メモ。

    冷凍食品でなく 新鮮な食材を。
    食事は 食材のいのちをいただくこと。

    自分の舌を信じて 何度も味見をする。
    おいしく感じられる塩分が 適塩。 きちんといい塩を使って。

    常備菜があると 心が落ち着く。

    おにぎりでなく おむすびと呼んでいる。
    ラップでなく おむすびが呼吸できるようにタオルで覆う。
    (またはペーパータオル)

    お味噌汁の豆腐は 薄く切ると口あたりがよくなる。

    ブロッコリーをゆがくとき
    茎の切り口が透明になってきて 一瞬 緑が輝く時
    ”いのちのうつしかえ”のサイン。 引き上げるタイミング。
    それを流水で冷まし、タオルで余分な水分を吸い取る。

    乾物をもどすときの目安。
    「あぁなんだか気持ちよさそうに のびてるなぁ」となっているとき。
    この表現 すてきだなと。

    食べ物は おいしいと思って食べなければ、体の中に入っても元気にならない。

    食は 暮らしの中心であり、基本。家庭の和につながっている。

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著者プロフィール

佐藤初女

一九二一年、青森県生まれ。小学校教員を経て、七九年に弘前染色工房を主宰。八三年から自宅を開放して「弘前イスキア」を開設し、苦しみを抱えた人を手料理で迎え入れ、話を聞くようになる。九二年、岩木山麓に「森のイスキア」を開く。九五年に公開された映画『地球交響曲(ガイアシンフォニー) 第二番』(龍村仁監督)で活動が紹介されると、国内外で広く知られるようになり、各地で講演やおむすび講習会などの活動を続けた。二〇一六年、死去。『おむすびの祈り 「森のイスキア」こころの歳時記』『「いのち」を養う食 森のイスキア』等、著書多数。

「2020年 『初女お母さんの愛の贈りもの』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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