ダイジェストでわかる外国人が見た幕末ニッポン

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 38
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062172714

作品紹介・あらすじ

ユーモア大好き。語学堪能。災害に不屈。ペリー、ハリス、サトウetc.-幕末動乱期に来日した外国人23人の記録。

感想・レビュー・書評

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  • 幕末から明治維新の頃に日本を訪れたペリー、ゴンチャロフ、アーネストサトウ、シュリーマン、などなど錚々たる人物が、日本について書いた書物から、一部を抜粋して、わかりやすく読みやすく現代語訳して、大変読みやすい一冊。
    参考文献も多数掲載されているので、この本を入り口にいろいろ興味を広げてら良いと思う。

    いくら幕末好きでも、ここに掲載されている23人全員の日本レポートを全編読むのはなかなか大変なので、この本は大変便利な一冊である。

  • 幕末に日本を訪れた外国人達が残した手紙や、後に見聞録として著した本などから、その一部を抜粋し、黒船来航から大政奉還あたりまで、時系列順にうまく並べてある。訳文は、多少脚色はあるが、それぞれの人物に、一定のイメージも与えている。これまで学校で習ったり、日本人の視点で書かれた本などによって知っている、幕末に起きた数々の事件、歴史の動きを、もう一方の当事者であった、外国人の彼らの視点で追っかけることが出来て、なかなか面白かった。それぞれの外国人の来歴や、日本を去った後の生涯、また、彼らと関わった日本人達についての解説なども添えられていて、当時の様子をさらに詳しく補足しているのもよい。

    何人かの外国人が、意見や感想として、まず当時の日本人が、例え貧乏であっても幸福感に満ちた生活を送っている点、また、欧米に決して劣らない非常に優れた工芸の技を持つ点、あるいは清潔さや正直さ、勤勉さが素晴らしい点、等々、非常に称賛しつつ、果たして開国し、欧米との交流が進んでいくことで、そういった日本の美しい文化や性質が変わっていくであろうことを憂慮したり、心配さえしてみせていることに、ちょっと驚いた。

    確かに日本に生まれ育った人間として、欧米、あるいは他のアジアの国々ともかなり異質の文化、国民性をこの国の人々がもともと、そして今でも持っているという考え方は否定できない。明治維新から以降、産業革命や高度経済成長を経て、その文化や国民性も大きく変質してきた。最近、歳をとったせいか、我々の祖父母よりさらに少し前の先達の生きた時代、特に江戸時代あたりの文化や生活の営みなどに、非常に懐かしさや親しみを覚えるようになった気がする。そういったものの大切さに思いをはせたり、それがすでにかなり損なわれてしまったことに寂しさを感じることが多くなってきた。

    ダイジェスト、とあるが、意外に読み物としてうまくまとめられていて、読み応えがあった。

  • ペリーにハリスにシュリーマンにプチャーチンに・・・。遠い海の彼方からやってきた彼らの目に、幕末ニッポンはどう見えたのか!?ユニークなイラスト付きで、読みやすく楽しい一冊です。

  • 幕末日本にやって来た外国人の後の旅行記などから、彼らが日本を見て何を感じたのかが現代語で分かりやすく、ちょっとキャラ付けされ、漫画も添えながら描かれた楽しい本。
    条約締結にやって来た彼らは日本人の友好的な態度、紳士的で勤勉で好奇心旺盛なくせにあきっぽく、吸収が早く、賄賂は受け取らず、災害に負けず、清潔で礼儀正しく、幸せな様子に、西洋文明を武力行使によって持ち込むことで彼らが幸せなのかと、自らを省みる様子が新鮮。全体の為に個人が犠牲になる日本と、個人の自由の為に政府が働くアメリカ、その結果の違いへの考察も興味深い。

    そしてまず酷い状態の清国に拠ってから日本に来るせいか、その違いを書く人々が多い。当時イギリスにけちょんけちょんにやられていた中国、こうしてみると今も昔も意外と国民性は変わっていないなぁと思う。さんざん先伸ばしたかと思うと、一気に解決する日本人とか。
    日本人の他のどのアジアの国とも似ていない性質や矛盾するように見える国民性に混乱する彼ら...西洋化によって大分変わってしまったかに思えるけれど、この間の災害で諸国は改めて日本人のこの性質を思い出したのだろう。

    条約がてら観光しカルチャーショックにのん気に浸っていた外国人たちも、幕末の革命の中で危険にさらされる。条約締結初期にやって来た頃と取り巻く状況が一変するスピーディな歴史の勢いが感じられて面白い。生麦事件の薩摩への報復は度を越していることを本人も自覚している点が興味深い。

    ただ、彼らの記述は祖国の読者に向けての紀行文という性質上なのかダイジェストだからか、唐人お吉などに代表される悲しい女性の事を書いてないし、実際日本人に軽蔑されるような行動をした多数の水兵たちの証言や行動の内容がないので軋轢がどんなものだったのか、ここに出てくる比較的裕福な上層の人々は語らないのでその辺も知りたいな。
    彼らは一様に日本を気に入ったみたいだし、根底にヨーロッパ至上主義が見え隠れして鼻につく感じもあれど、昔の人は彼らを怖がったのかと思いきや今と同じで共同体のソトの人としては仲良くしていたんだなぁとか、幕末日本が伝わってきて面白かった。
    変な勘違いしている人とかもいて、異文化コミュニケーションの醍醐味が味わえた。
    蹄鉄が藁のぞうりだった昔の馬、紙切りの蝶が舞う手品、ちょっと見て見たい。

  • ペリー(米)や、プチャーチン(露)、ロッシュ(仏)、パークス英)や彼らの随行員・通訳たちが、見た幕末のニッポンについて、彼らの記録を紹介していますが、一様に「奇妙だけど、貧しくても幸せそうな日本人」が描かれており、「西洋の文明は本当に日本のためになるのだろうか?(ヒュースケン)」というようなコメントも結構書かれていたり、一方で役人の処理の遅さに不満をもったり、台風や地震の後も悲しみに浸るよりももくもくと復興に働く日本人を賞賛したり、幕末に来日した外国人の記録では攘夷の血なまぐさい場面が出てきたり、当時の日本の様子がよく分かり大変面白かった。

  • 江戸時代末期(いわゆる幕末期)に日本に来航した外国人の視点で捉えた当時の日本の様子がよく分かる一冊です。

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