一石二鳥の敵討ち 半次捕物控

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 38
レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062173759

作品紹介・あらすじ

江戸の名物男・蟋蟀小三郎の道場にやってきた謎の田舎侍。道場破りを仕掛けるも、相手が悪すぎた。備中池田家から流れてきた日笠源之進には、国元に戻れない理由があった。小三郎に挑み続けることで道場に居座る源之進。池田家からの追っ手が居場所を突き止めたとき、江戸中を巻き込む大騒動の幕が開ける。表題作「一石二鳥の敵討ち」を含む八短編。人気シリーズ、新展開。

感想・レビュー・書評

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  • 蟋蟀小三郎がなんかいい人になっていいるような。

  • 半次シリーズの何冊目?~煙管屋の奉公をしくじって半次の小者になった伝吉は三法忍の伝という浄土真宗の怪しい宗教に大店の主人を引き込む六部を突きとめ,鰻善から養子の口が来ても乗り気になれない。冷夏で縮商売をしくじった越後屋の幸太郎は僅かに残った金で小金貸しを開始し,金貸しで成功するように王子稲荷に願を掛け,結願を間もなく迎える。蟋蟀小三郎が越前丸岡五万石から千両の融資話が持ち込まれ,京都の公家に繋がる金主を紹介することになって,王子に出掛けると,狐の女房から捕らえられた亭主狐を救ってくれと云われ,百姓に捕まった簀巻きの狐を3両で買い取ったが,中身は赤犬で手を噛まれて頭を撲って気を失い,約束をすっ飛ばしてしまった。小三郎は武田新之介から金を借り面目を保ったが,幸太郎が紹介しようとしていた金主は礼金詐欺だったので救われたことになる。青山で40両を拾った者は正直に届けたが,落とし主は現れず,岡っ引き仲間から17年前に不忍池を泳いで逃げたお数寄屋坊主崩れの和田山龍円を見掛けたと聞き,話題の芝居・お染久松の中で池を泳いで逃げるシーンを見て,作者に誰から聞いた話か詰め寄ると,矢田鵜石が赤坂の小料理屋にいるという。捕らえてみるとまさに稀代の悪党・和田山龍円で三法忍の伝の黒幕で40両の落とし主でもあった。六部が捕まって晴れて祝言を挙げる伝吉が花嫁に買った銀の簪を半次が調べると鍍金で小間物屋に売ったのが備中木下家の御広敷番の長身白皙の武家だという。長身白皙というと絵具染草問屋の娘が嫁入りする予州浪人が思い出される。身が立つ迄の1年間待って欲しいという云うものの,釣り竿と値札の付いたままの魚籠をもって毎日出掛けて怪しい。築地の西の木挽町の鍼灸師の家に入るのをみて銀類偽造の親玉と踏んだ半次は土地の岡っ引きに聞きに行くと,内定を進めていると云うが,偽南部二朱銀をつくているので,勘が外れ,医師の修行の一環としている浪人は腹を立てていた。半次が預かっている大久保恒次郎は預けられていた納所坊主の姿を見たと怯えているが,屋台で天麩羅を揚げている幼い子を三人抱えている庄助が貰った女房はものぐさで,子どもの面倒は見ず,僅か7ヵ月で赤ん坊を産み,挙げ句に捨ててきたと思ったら,庭から小判を掘り出して扱いに困った武家の用人に収まっている洞海が天麩羅屋の女房になっていたきわの男であり,預けられて扱いに困り捨てたものだった。対馬宗家の内幕をぶちまけようとした矢先に牢で毒を盛られた。人気の講釈師が丸亀塩商人の恨みを講談にまとめているが,通塩町で呉服を商っている商家は気が気でない。講釈師は恨みを持つ塩商人に娘を嫁がせていたのだった。恒次郎は朝鮮島流しが終わった父に引き取られ下野へと旅立つ。備中浪人・日笠源之進は破れかぶれで蟋蟀小三郎の道場に入り,ぶちのめされても立ち上がる根性を認められて居着くが,国許では三人の腕利きを倒して逃げ出したのだった。池田家の剣術指南が立会を求めても源之進はこれを打ち倒し,本家を含めて15人で道場にやってきた池田家家中の者も8本の刀を小三郎に奪われ,面目をなくした。半次は先の藩主の腹違いの弟であり,相談に行くと,嫌がらせにも飽きたと小三郎は半次を通して刀を返してきた。恥を掻かされた池田家は源之進の兄・母を呼んで源之進に言い含め,敵討ちを池田山で行わせるが,引き据えられた母や兄の姿に逆上した源之進は助太刀5人が刀を持つ腕を切り落として立ち去る。お家の剣術指南として迎える以外に解決策はないといの半次の提案に池田家は乗るしかなかった~人間関係が複雑で縁のない人が半次の許に集まってくる。これは何作目なのだろうか?

  • 「 さとうまさみじゃなくてまさよしって読むんだって。男の人なんだね 」 と夏目父。

  • 安心して読めるし,面白い。

    2012/05/19図書館から借用;返却期限が迫っていることに気がついて5/31から読み始め。6/3読了

  • 蟋蟀さんがカッコいい、かもしれない。
    認めたくないけど。

  • 「IN☆POCKET」に掲載した8話の単行本化で、シリーズ8作目。

    決してスーパースターではない、人間くさい岡っ引き半次親分に
    ふりかかる事件をとおし、江戸の世相がよくわかる。

    浄土宗の一派と称し、一心に仏を頼むと即身成仏できるとして
    信者を集める「一念帰命の法」とか「三法忍の伝」の集まりが、
    異端として取り締まられるが、その中心にいて、信者から金を巻
    き上げようとしていたのが二十数年前に半次が取り逃がした和
    田山円龍とわかり、一網打尽にできた。

    手下が買った銀簪がメッキとわかり、犯人と疑って後を付けた男
    は無実だったが、追った先の近くにやはり偽金造りがいた。

    今回は憎まれっ子蟋蟀小三郎が大活躍。
    小三郎が道場破りを退けた相手は、藩の剣術指南を倒して出奔
    してきた若者で、居候させて師範代にまで鍛えた。
    破れた剣術指南は岡山藩池田家の分家の家臣で、本藩まで乗り
    出してメンツにかけて敵討ちをさせようとするが失敗し、実は池田
    家の御落胤である半次に仲介を頼むが、半次は逆に剣術指南役
    として召し抱えることで度量の大きさを示させて解決した。

  • 以前にも書いた気がするが、佐藤雅義の時代小説のシリーズ物は数々有れど、一番好きなのは何と言ってもこの「半次」シリーズだ。

    江戸の御用聞き・半次の捕物控えとなっているように捕物の話は当然のことではあるが、其れ以上の楽しみというか面白さは毎回、助演男優賞受賞(?)の活躍を見せる江戸の名物男・蟋蟀(こうろぎ)小三郎だ。剣を持っては江戸で一番、悪戯と女が大好きで、自分勝手で何時も半次のところへ現われては無理難題を押し付ける。個人的には知り合いには成りたくないが、半次シリーズでは居なくては成らない名脇役だ。

    さて今回の小三郎の活躍だが、例によって半次のところへやって来て金を無心する。それもたかが街の岡っ引きに対して言うも言ったり、その額千両!駄目なら金貸しを紹介せよと、いうのだからまた凄い。しかしそれもこれも旧主が幕府から押しつけられた普請費用を賄うためというのだから小三郎も偉いというのか、町のしがない道場主・小三郎如きに金を無心する旧主もまた凄い。が、ひょんなところから金主を見つけて融通してあげることが出来たのだから小三郎も鼻高々だろうし、普通ならば恩を仇で返すのが小三郎なのに今回は昔の恩に報いるとは意外と良い奴じゃないか。

    そして小三郎のところへ道場破りに現れた元・備中池田家の浪人を軽く打ちのめすのは普通としても、食いっぱぐれと見るや稽古をつけると言いながらその後は道場に住まわせ、師範代として面倒を見る。浪人は池田家から狙われ国元の家族ために仇打ちで討たれることを受け入れざるを得なくなるのだが、ついその仕打ちに腹を立てて返り討ちにしてしまう。それを見ていた小三郎は「きっと帰ってくるに違いないから酒を買って待とう」だなんて情のあるところを見せたりする。

    世間の鼻つまみ者だったはずの小三郎だが、義理と人情にに篤い、此れまでと違った一面のあるところを見せて呉れている。果たしてこれが今作だけの話なのか、其れとも流石の小三郎も年とともに円くなるのか、否、それでは小三郎の魅力半減だ。次回は何時もの小三郎に戻って大活躍することを期待しよう。

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著者プロフィール

1941年兵庫県生まれ。早大法学部卒。85年『大君の通貨』で第4回新田次郎文学賞、94年『恵比寿屋喜兵衛手控え』で第110回直木賞を受賞。おもな作品に『物書同心居眠り紋蔵』『八州廻り桑山十兵衛』『縮尻鏡三郎』『町医 北村宗哲』などがある。

「2016年 『侍の本分』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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