ジェントルマン

著者 :
  • 講談社
3.43
  • (81)
  • (166)
  • (188)
  • (68)
  • (18)
本棚登録 : 1253
レビュー : 257
  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062173865

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • うううううぬ…。読後感ワルっw (いい意味で)
    仲良しのお姉さんに勧められて、久々に読んだエイミーさん。

    ところどころに散見するわたしの青臭いアドレッセンスを彩った山田節に郷愁めいたものを感じつつ、その頃のそれとは比べ物にならないドス黒いリビドーと哀しい純愛物語の重々しさといったら。「恋」をかくも陳腐なものに貶める破滅的な純愛。なんというか、正しきものへのアンチテーゼのようにも思える。自虐的な意味では、善悪を超越した情動的エロスを俯瞰する享楽的読書体験でした。はい。

    しかし帯の禍々しさがぱないですわ。山田作品は未だもってアニマル・ロジックが最強です。個人的に。

    登場人物の中ではケイさんがとても好きだな〜。「…友情」/「友情ならば、裏切れる」。悲しい言葉です。

  • 好き とか わかる とか
    そういうものとは少し違うけれど
    哀しいな、切ないな、というかんじ。

  • 本当に、女性が書く男性同士の感情の運び合いの嘘くささというのは、拭い去れるものではないなあ、と改めて。夢生は真の意味では本質として男性ではないし、漱太郎も女性が書く幻想としての男性だし、その2人のやりとりといったらもう、女同士でしかない。カニンガムとか、フォックス(小説内に出てきたけど)を貪るように読んだ身としては、ただのおふざけの延長線上のように感じられる。人間というものを全く書いていない。都合のいい人形を動かしているかのよう。ただ、この手の小説でそれなりに質の良いものというのは、娯楽小説と割り切れば受け入れられる。ストーリーはわくわくするものだったし、恍惚、という言葉が絶え間なく頭の中でチカチカするような、そんなかんじ。こういう本を読むたびに読書とは何なのかということを考えてしまう。人形を動かしているのに人間を書いているつもりでいる本か、本当に人間を書いている本か、人間を書くことの難しさを理解した上であえて人形を動かすような本を書いているか。

  • 久々の山田詠美。
    衝撃的な一冊でした。

    悪の教典読了後だったのもあって、いい意味で後味の悪い本ををたて続けに読んでしまったな、という感じ。

    エグくてグロい展開ではあるのだけれど、官能的で美しい描写に仕立て上げているのは、さすがの山田詠美。特にラストシーンは、頭の中にはっきりとイメージが浮かび、ため息が出ます。

  • 冒頭のシーンから結末が想像できるが、後から出てくる花鋏がラストで大変重要な役割を果たす事に感動した。
    到底理解できないと思っていたゲイの心情が夢生によって切々と語られ、なんとなくわかったような気がしてしまう。そして最後まで夢生に恋心を明かさなかった圭子はとてもいじらしかった。
    漱太郎のように誰からも愛される優等生の意外な裏の姿はよくある話だが、ここまで酷いとむしろ清々しい。とはいうものの読後感はやはり良くなく、ラストシーンの禍々しい美しさだけが心に残った。

    「ねえ、休日にパタゴニア着てる銀行員ってどう思う? 特技は、ダッチオーヴンを使ったアウトドア料理。どうよ、この意外性」

    「な? 世の中、ちゃちな不幸だらけだろ? それを、みんな必死になって隠そうとしている。それなのに、たいしたことないちっぽけな幸せは見せびらかしたがる。くだんねえな」

  • 敏太郎の怒りの凄まじさに怯えながら読んだ。登場人物が皆、ひた向きな思いを抱えているが、成就しない。入れる鍵穴を間違えている。
    綺麗な絵を一枚ずつ見せられているような小説だ。あまり奥行きは感じなかった。

  • 2016/12/22 読了

  • 胸クソ系(悪口でなく)
    表の顔はジェントルマンだけど裏に歪なサディズムを持つ漱太郎。彼に魅入られたゲイのユメ。その親友、ケイの歪な十数年。
    ジェントルマンとして表面上仕事をこなし幸せな家庭を取り繕う漱太郎の、裏側からの言葉にヒヤリとさせられる。
    「な? 世の中、ちゃちな不幸だらけだろ? それを、みんな必死になって隠そうとしている。それなのに、たいしたことないちっぽけな幸せは見せびらかしたがる。くだんねえな」

  • 美貌と優しさを兼ね備えた漱太郎。高校時代、漱太郎の本性を見た時から魅せられてしまった夢生。
    底なしに深い愛の物語。
    山田詠美さん初読み。う〜ん、ついていけなかった。
    (図書館)

  • 詠美さんを読むの初めてなんだが『ぼくは勉強ができない』がしこたま流行ってた時にチラっと読んで、自分向きじゃないな、って思って読まなかったんだが、文章はとても読み良いんだけど、夢生も漱太郎も共感できんキャラだ…こう言ってはおかしいのかもしれんが、これがBLレーベルじゃなく一般書で出るのであれば、木原さんが一般書で出るの遅いくらいだよ、って思った。うん。一般小説ジャンルでBLっぽいもの書くのって逆に楽なんじゃないか、とふと思う。BLとは違うので、必ずしもハッピーエンドにしなくてもいいから、刹那的に悲劇的にバッドエンドを書いてしまう事も大いに可能だ。メインカプに当たる二人が明確に性的関係を結ばなくても良かったりする。が…BLは「あれはハッピーエンドなのか?」と言われちゃったりする制約の中で、ハッピーエンドと言うものへ向かって殆どの作品が書かれている訳で、どんな性格の登場人物であっても恋愛しなくてはならんのである、何と言う縛りに満ちたジャンルだろうか…って素直に感心する。これくらいの心理描写だったらBLで書いてるよ…一般小説の作家さんだと広く読まれるのにBLはやっと木原さんが一般書で…って思えて来てしまう。一般的に人気の作家さんも、BLに近いテーマで書く時は、やはりBLに特化して書いているBL作家さんの足元にも及ばないものしか書けない、と言う事かも知れん…それほどBL作家さんの熟練度が上がっているんだと思う、良い時代になった。漱太郎の歪みは極度のシスコンって事でオチるんかなー、これ。私があんまり好感触を抱いて読んでないのは、夢生の台詞だけ読むと、どんだけ魅力的なルックスしてるのか知らんが、幼稚な子供みたいな事をぱっと口に出す野郎だなってなんかイラッとくるからだな、恐らく。なんか、家庭の事情で色々諦めて諦観した境遇のゲイの男の子、って書かれてるけど、口に出す言葉が実に考えなし…。精神が若い、と言うんじゃなくて、単に幼稚に思えちゃうんだよなぁ…。木原さんの方が「酷い男(世間一般的に、モラルに照らして)」の描写は一枚も二枚も上だと思うよ。反発も同情も読者に抱かせる事なく読み進ませて、後で色々考えたくなる、と言う意味でも。木原さん読み続けて一休み、と思って他の積みを読んでるんだけど、木原作品と比べちゃってあかんわ、って状態だよ…特にBL的要素のあるものは当分読んじゃ駄目だな、これは…と言うのが正直な感想。作品全体の文章力は流石のプロ作家さんなんだけど、台詞と言うか会話で使われる喋る言葉が軽い。意識してるとしても、これではひねくれたBL読みは説得出来ないなぁ…(笑)

著者プロフィール

山田 詠美(やまだ えいみ)
1959年、東京生まれ。明治大学文学部中退。85年『ベッドタイムアイズ』で文藝賞受賞。同作品は芥川賞候補にもなり、衝撃的なデビューを飾る。87年には『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞受賞。89年『風葬の教室』で平林たい子文学賞、91年 『トラッシュ』で女流文学賞、96年『アニマル・ロジック』で泉鏡花文学賞、2000年『A2Z』で読売文学賞、05年『風味絶佳』で谷崎賞、12年『ジェントルマン』で野間文芸賞、16「生鮮てるてる坊主」で川端賞を受賞している。その他の著書に『無銭優雅』『学問』『タイニー・ストーリーズ』『明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち』などがある。

ジェントルマンのその他の作品

山田詠美の作品

ツイートする