世の中への扉 ほんとうの「ドラッグ」

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 52
感想 : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (154ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062174039

作品紹介・あらすじ

覚せい剤、大麻、MDMA…。「自分には関係ない」と言いきれる?薬物依存から立ち直った著者が、実体験をもとに語る「ドラック」の真実。小学上級から。

感想・レビュー・書評

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  • ダルクの代表が子ども(小学校高学年~)に向けて書いた薬物依存症についての本。詳細な症例や、薬品の分析や説明はあまりないので、大人には物足りないが、子どもには十分。これ以上詳しいと、読解力のない子は読む気を失くすからちょうどよい。こういう本は、とにかく誰でも読めるというのが大事。
    この本の読みどころは、やはり著者の実体験の部分。いろいろな本で、依存症の症状は知っていても、依存症になる人がどんな環境に育ち、何が薬物に手を染めるきっかけになったのかを(プライバシーの問題もあり)詳細に知ることはできない。近藤氏の生い立ちを知ると、ちょっとしたことが積み重なっていったのが良く分かる。
    教育者の両親、家庭の不和、兄に比べて取り柄のないコンプレックス、心にのしかかった二つの嘘、そして身近に見たヒロポン中毒者。どれかがなかったら、依存症にはならなかったかもしれない。また、芯から享楽的で、いい加減な人も依存症にはならないだろうから、気質にも関係してくる。
    それを考えると他人事ではなくなってくる。条件がいくつか揃えば、誰でもなってしまうことが分かる。
    例えば、著者が、ずっと犬を飼っていられたら?嘘がばれて、それが許されていたら?心を開ける友人がいたら?自然に囲まれて生活していたら?
    もうひとつ心に残ったのは「ロイさん」のこと。アルコール依存症の神父なんてとんでもない、と思う人も多いだろうけど、この人の「弱さ」が著者を救った。この人が一切迷わない強い人だったら、弱い人を戒めるばかりの人だったら、著者は立ち直れなかっただろう。己の弱さを曝すというのはすごく勇気の必要なこと。弱さを認め、受け入れる勇気を与えられるのは、実際にそれをしたことのある人だけなのだな、と改めて思った。
    著者は立ち直り、依存症の人とその家族の力になり、こうして啓蒙活動もしているのだから、決して経験は無駄ではなかった。
    今依存症で苦しんでいる人たちにも希望を与えてくれる本かもしれない。

  • 生徒におススメされて読んだ本。
    サクッと読めて深く学べる。

    やっぱり本物の恐怖とかは体験した人の話を聞くのが一番だ…。しかしこれをおススメするってすごいな。いい奴だ…。

  • 10代に語りかけるような文章で、とても読みやすかった。子供にも勧めたいと思った一冊。

    著者自身がかつて薬物依存症で、今はダルクの主催者。話が具体的かつ説得力がある。

    初めて薬物に手を出すのは、中1~中2頃が多いらしい。それも、せき止めとかガスボンベとか「警察に捕まらない」ものを友達から勧められてという理由が多い。一度やってしまえば、精神がクスリにのっとられる。クスリが切れた時に頭が痛いとか肉体的な症状はない。欲しくてたまらないという強い心の症状が現れる。だからクスリは悪魔だと著者は言う。

    「朝起きるとクスリのことしか考えられず、どこで手に入れるか、どこで使うか、そのことで頭がいっぱいになる。…生活のすべてが、覚せい剤を中心に回っている。」という部分が怖かった。

    また、薬物依存者に必要なのは君の友情だ、という部分も意外だった。薬物依存者は、心の優しい人がほとんどだそう。そういう彼らを社会から閉め出すのではなく、
    救う方法を考える社会であってほしい、と。

    依存は病気であって、決して恥じるものではないダルクや、地域の保健センターは決して警察に通報するようなことはしない。彼らは病人であって、犯人ではないから。という部分も印象に残った。

  • 知っていれば、防げる事もある。

  • ダルクの近藤さんが過去に薬物中毒を持っていたというのをはじめて知った。実際に見たことあるけど、そんなふうには見えなくて、すごく温厚そうなひとやったので、ちょっと驚き。薬物中毒が病気、という意識が日本には少ないらしいですが、それもこのごろ変わってきたみたいで。こういう話は、自分も含め、自分のまわりには無縁である、と思いたいけど、実際のところはどうなのか、わからない。薬物という存在が、普段意識させられなさすぎて。

  • 世の中への扉シリーズ。少しいつも読むのより重い。ドラッグにはまった著者がそこから抜けられるのにどれだけ大変だったか、そして今もそういうことに悩んでいる人たちがいることが伝えられていた。
    このシリーズを読みながら、自分にできること、自分が大人として伝えていけることってなんだろう、といつも思う。本を書くまでに多くのことを見て、経験して、感じてやってきた人たちの経験談はいつも心に響く。
    このシリーズの本をこれからも読み続けたい。

  • 作者が身をもって体験したドラッグ地獄記録。破滅とはいえ身内に恵まれたところに救いがある。

  • 表紙が女子向けで可愛かったので読んでみました。
    うーん、なんとなく想像してた感じに近かったので★3つ。
    家は田舎だからドラッグなんて関係なさそうだけど
    中学生が大学生になったら都市にでちゃうからね。
    何を言い訳してもドラッグは×だな。

  • 薬物依存から立ち直り、現在ダルクという薬物依存者回復施設を運営している著者による体験談が非常に生々しく書かれている。
    ドラッグが引き起こす悲惨な結末には身震いせずにいられない。
    また、ドラッグに関わる社会の取り組みの違いをアメリカやオーストラリアなどを例にして紹介されている。
    日本でできる支援や司法のシステムはどうあるべきかが問われているのだと思う。

  • ドラッグ中毒者だった著者は、現在は薬物依存者回復施設「ダルク」を
    開設し、依存患者たちの支援をしている。
    著者自身の体験とともに、薬物のもたらす悲惨な結末を記し、
    若者に警鐘を鳴らす一冊。

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著者プロフィール

 1941年秋田県生まれ。30歳のときに覚せい剤を覚えて以来、薬物乱用者となり、37歳で精神病院に入院。それでも覚せい剤をやめられず39歳のとき逮捕。釈放後、アルコール依存症者の回復施設の職員を経て、1985年日本初の民間による薬物依存者回復施設「ダルク」(現東京ダルク)を開設。以降薬物依存者の回復支援に尽力。
 東京弁護士会人権賞受賞(1995年)、吉川栄治文化賞受賞(2001年)、法務省強制局東京管区長賞受賞(2006年)。
 おもな著書に、『拘置所のタンポポ』(双葉社)、『薬物依存を超えて』(海拓社)、『ニッポンの(薬物)依存 「ダメ。ゼッタイ。」では絶対だめ!』(デーブ・スペクターとの共著、生活文化出版)等がある。

「2012年 『世の中への扉 ほんとうの「ドラッグ」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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