- Amazon.co.jp ・本 (402ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062174176
作品紹介・あらすじ
安全神話を守るために安全を度外視する逆説。保守論壇を扶養し、最強の労働組合を潰し、カリスマ経営者を賞賛する-。我々はなぜ、原発を選んだのか。なぜ、巨大企業の支配を望んできたのか?3・11が暴いたノーリスク・ハイリターン体質。この国の本質が初めて明らかになる。アメリカへの一方的従属。管理・監視の自己目的化。そして分割・民営化の先駆「東京電力」その本質。
感想・レビュー・書評
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原子力発電
ノンフィクション
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『東電の成立からの各種裏エピソードを雑多にまとめた本』という感じ。書きたいこと、言いたいことが多過ぎて脱線気味。褒章に対する東電経営陣の態度なんてどうでもいいのだよ。
最終章の『受忍』と『犠牲のシステム』を交えた論考は流石。というか、これを書きたいがために書き起こしたのかもしれない。 -
新着図書コーナー展示は、2週間です。通常の配架場所は、3階開架 請求記号:540.921//Sa25
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膨大な文献と当時の関係者へのインタビューを基にして東京電力の姿を浮き彫りにした一冊です。我々はなぜ原発を選んだのか。なぜ巨大企業の支配を望んできたのか?これは全ての日本人に対する問いであると思います。
本書は書店で目にして以来、ずっと気になっておりました。で、先日ようやく手に入り、読み終えることができましたが、膨大な文献や、当時の関係者によるインタビューを元に、東京電力という日本を代表する「エクセレント・カンパニー」の裏にあるものを抉り出そうとする筆者の試みには本当に敬意を表します。
正直、一企業がここまでのことをするのかと…、読み終えたときにはしばらくの間、虚脱状態になりました。「3・11」で完全に崩壊した原子力発電所の「安全神話」を維持するために安全を度外視するすさまじいまでの逆説を打ち立て、これを堅持するために保守論壇を扶養し、最強の労働組合を潰し、東京電力の中興の祖である木川田一隆と経団連会長までのぼりつめた平岩外四などの歴代のカリスマ経営者を賞賛する―。
僕は本書で東電が専門の技術者を養成するための学校まで所有していたことを知り、改めてその影響力の大きさを知ることができました。さらに、組合をつぶすためにはそれこそ、ありとあらゆる諜略を仕掛け、経営陣の思うがままの体制を作っていく。さらには政界、マスコミにいたる工作活動も丹念に描かれており、あらゆる意味でも「すごい」会社だったんだなと思わずにはいられませんでした。
東京電力の歴史とはそのまま、戦後日本の日本史と日本経済史であり、三鷹事件や下山事件などの話や、レッド・パージなどのもはや教科書の「歴史」になっている事件がそのまま現在に続いているという事実。あまりの情報量の多さに、読破するには多少、骨が折れるかとは思いますが、日ごろマスメディアにはほとんどれることのないお話が随所に見られますので、「3・11」以後の世界を生きる、もしくは生きざるを得なくなったわれわれには、ぜひとも抑えておきたい文献のひとつかと思われます。 -
原発絡みの話だけではなく、東電のルーツから振り返り、その根本的な企業の理念思想から現在の歪みを照らしだそうしている。この筆者としては抑制された筆致なので、立場を問わずおすすめしたい。
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日本経済中枢に位置する東京電力の社歴を追いながら、日本の暗部に切り込んだ骨太なルポルタージュ。国家、企業、アメリカの思惑によって個人の尊厳や生命が押し潰される過程は、恐怖と無力感を感じます。3.11後の脱原発を考える上でも非常に興味深い1冊です。
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講談社がこのような一冊を世に出していることで
私の中では、この出版社をグレードアップさせてしまった。
いつも過激な(そこが魅力なのですが)斎藤貴男さんが
感情を押さえに押さえて、
まるでローストビーフに旨味が染みとおるようにじっくり芯まで火が通るような様子で書き進めておられるのがすばらしい。
たんなる、「原発」の問題を考える一冊ではなく
これからの日本の行方を考えていくための
指針になる一冊になっている。