経営者・平清盛の失敗 会計士が書いた歴史と経済の教科書

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 283
感想 : 39
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062174336

作品紹介・あらすじ

「通貨」が平家を滅ぼした!『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』の著者が日本の歴史上、最大の経済ミステリー「平家滅亡」を解き明かす。

感想・レビュー・書評

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  • さらりと読みやすく、また歴史に対する推測が根拠を列記して、順序正しくまとめられているため、仮説が理解しやすい。

    愛する地元、神戸をますます誇りに思う本でした。
    と思ったら、この著者の方、「さおだけ屋はなぜつぶれないのか?」で、話題になった方で(私は流行本は読まないので、中身は知りません)、神戸出身なんですね。
    道理で。

    時代を経て、不名誉な三大原(吉原、島原、福原)の福原遊郭を抱える土地になってしまう現新開地だが、清盛が大きな野望を持って初の人工港を作り上げるため、そして海を愛しているがため、隠居の地に選んでくれた誇りを持てる土地だったのだと知ると嬉しい。

    結局は、貨幣にする金属の不足や、インフレなどで失敗してしまうが、宋商人だけが設けていた貿易をなんとか日本人に利益を持ってくるようにする点や、誰もが打ち壊せると思っていなかったであろう権力による独占状態だった貿易も先の先を見通せる、スケールの大きさ。
    平清盛かっこよすぎます。

  •  著者の山田真哉氏はミリオンセラーとなった「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」で有名ですね。
     タイトルをみると、いかにも先年NHK大河ドラマで「平清盛」が取り上げられたことにタイミングを合わせた感ありありの著作ですが、その実は、清盛の経済政策の考察という面白い切り口からの経済・財政の入門編ともいえる内容です。
     著者によると、清盛は経済的視点を持った一流の戦略家だったようです。「日宋貿易」における権益の奪取、「宋銭」普及による経済的支配の確立・・・、これらについての著者の解説は分かり易く、思いの外興味深い考察でした。

  • 平家滅亡の原因が、ハイパーインフレという説はユニークである。もしこれが本当だったとしても決して大河ドラマでは描かれないだろう。平氏の世がもっと長続きしていたら、もっと世界に対しオープンな日本になっていたんじゃないかと思う。

  • 物の見方とこんな捉え方も!

    会計士の山田真哉さんが書かれた歴史と経済の本です。
    起きた事柄、事件に経済という見方を加えることによって
    単純に起きたことから類推するだけではなく
    なぜそれが起きたのかを考えることが可能になった
    気がします。

    過去の歴史観に経済という視点は欠けているように思うので
    非常に面白く読めました。

  • 今まで偏った歴史観で、武士として、源義経の敵としか見てなかったけど、経営者としてのセンスはすごいかもしれない。おもしろかった。

  • 「女子大生会計士の事件簿」、「さおだけ屋はなぜ潰れないのか」等の著者山田真哉さんの歴史を経済面から解説した試みの本。大河ドラマでも話題の平家滅亡の理由をわかりやすく書いてます。軽く読む程度なら…。

  • 平家滅亡へと追いやったのは、源氏のみでなかったのだ!
    歴史も経済面から紐解くと面白く、大河ドラマも裏の背景から観ると面白そうだ。
    平家は、デフレとハイパーインフレによって倒され、自壊したも当然と著者は語られる。清盛の最大の失敗とは、「宋銭」に翻弄されられたのね。
    宋銭には、2文、10文とあったのに日本では1文銭のみ普及した訳は、非常に使い勝手のいい仏具や仏像の材料に使われてたのは、驚きだ。鎌倉大仏にも?お金を鋳造するってありがたい宋銭だったのか。

  • 貿易と貨幣制度の導入で栄えた平家。
    唐の銅銭が仏具として流用可能で、同本位=仏具本位制が可能だったのではないか。
    滅亡の原因は不況によるインフレ。
    貸していた銅銭の価値が下がり、傭兵も雇えなくなった。

  • 経済の観点から歴史を見ていったのは新鮮。

    考えてみれば武力は経済力がなければ持てないよな。

  •  昔読んだ小谷野敦『バカのための読書術』で面白い指摘かありました。

     「歴史」は、大きく二つにカテゴライズすると以下のようになります(119頁)。

      A.藤原道長の栄華とか、信長、秀吉、家康とか、有名人、つまり政治家や軍人を中心とした歴史。
      B.中世の民集はどういう生活をしていたか、人口変動はどうだったか、といった民衆史。

     Aはいわゆる血湧き肉躍る歴史の物語です。
     これに対し、Bはマルクス主義史学といわれるものの方法で、正直あまり面白くないわけです。

     そして、大学ではBの方が研究の中心となっているので、小谷野氏が指摘するように、

     《だから、中学・高校時代に、司馬(遼太郎・引用者注)や梅原猛を読んで「歴史ファン」になった者が大学の史学科などへ入ると、往々にして、民衆の暮らしに関する古文書を読まされたりして、信長も秀吉も出てこないので失望したりする。》

     ことになります。

     実際、僕の友人にも、スーパーファミコンの「信長の野望 武将風雲録」から歴史にハマり、大学の史学科に入った奴がいるのですが、中世日本の海運・流通なんかを研究させられてボヤいていた奴がいます(笑)。

     でも最近、「実は歴史のAとBはそんなに別々のものではないのではないか?」と思わされる作品に出会いました。

     その一つが、宮下秀樹『センゴク外伝 桶狭間戦記』で、もう一つが以下でご紹介する山田真哉『経営者・平清盛の失敗』です。

     まず、平清盛って一般にはどうしてもエアポケットになりがちというか、中途半端な知識で終わっちゃいがちの人なんじゃないでしょうか?
     歴史で興味をもたれがちなのは、どうしても古代史か武家政権確立以降で、『平家物語』でスポットが当たるのも主に源平の合戦です。
     だから、貴族政治(院政)から武家政権(鎌倉幕府)への過渡期である平家については、特に平家が政権を握ったのが短命に終わったこともあってか、「平家は政治の実権を握ると貴族的なやり方(≒時代遅れのやり方)を踏襲したため、上手くいかなかった」というような「通説」で流してしまいがちです。少なくとも僕はモロにそうでした。

     が、山田氏は最新の歴史学の知見と経済的な視点で、通説と全く違う平家政権の実像を描き出します。

     第一章では日宋貿易について取り上げているのですが、単純に貿易をすれば儲かるという話ではない、と貿易についての一般的な知識、当時の貿易の実態、そして経済的な視点から分析を加えます。
     これ、何がスゴイって、貿易の一般的な知識は池上彰の説明なんかで聞けそうな話ですし、当時の貿易の実態は「B」の歴史の本には出てくる話かも知れません。だけど、そういう個別の知識があるテーマを分析する際に一つの視点から整理され、しかも個別の知識に余り詳しくない人にもわかりやすいように書かれ、読み進めていく内に自然と全体像が理解できるようになっている、ここがスゴいんです!

     第二章では宋銭普及の謎について言及されていますが、ここで注目すべきは当時の人たちと我々との価値観の違いです。
     僕らはどうしても現在の貨幣経済社会の価値観を前提にしてモノを考えてしまいがちで、お金というものがない時代や人々が貨幣を信用していない(信認していない)状態での価値観というのがなかなか理解できません。
     これは、アルビン・トフラーの言う「パラダイム・シフト」「引き返せない楔」というやつで、例えば生まれた頃からケータイがあった現代の十代にとっては、ケータイが社会になかった世代のことがなかなか想像しにくかったりします(もちろん逆の場合もあります。TVゲームがなかった頃に子供時代を過ごした世代が、現代の出先でもニンテンドーDSをずっとやっている子供の気持ちを今イチ理解できない、とか)。
     しかし、山田氏はこの価値観の相違にかなり注意を払っていて、貨幣経済が浸透していない人たちのモノの考え方やそれに基づく合理的な行動というものを丹念に説明しています。

     そして、一見関係ないような歴史的な知見を説明した後、銅銭が貨幣として広まるための信認をいかにして獲得したかが説明されるのですが、それがあっと驚く逆転の発想で、良質のサスペンスを読んでいるような感覚になりました。これはネタバレさせるのがもったいないので、是非直接本書をお読みになっていただきたいところです。

     第三章では、平家滅亡のメカニズムが説明されています。が、これ、現代の日本にも似たような構造が見て取れるんです。インフレとデフレのメカニズムがよくわからない、池上彰の説明を聞いても何となく理解は出来るけど実感としてようわからん、という人は本書の第三章だけでも読んでみて下さい!(笑)
     そして、第三章の最後に、貴族化してもやしっ子になった平家武士が水鳥の飛び立つ音に驚いて逃げたとされている「富士川の戦い」について言及されているのですが、山田氏に説得されちゃい、富士川の戦いの見方が変わっちゃいました。

     本書は歴史のAとBに加え、会計士である著者の経済的な視点(C)からの考察があり、その三つが融合した非常にスリリングな本になっています。



     以上、歴史のAとBをつなぐ、という観点からご紹介しました。
    「歴史(A)は好きなんだけど、日本史の授業(B)はどうも今イチ面白くないんだよな…」と感じている人は是非一度お手にとっていただき、「そうか!あの知識はここで使うのか!」と叫んでいただければ、と思います(笑)。

    http://tomiya-sangendo.blogspot.jp/2012/02/ab.html

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著者プロフィール

1976年生まれ、公認会計士。現在、インブルームLLC代表。著書に『女子大生会計士の事件簿』シリーズ、140万部を超えるメガヒットとなった『さおだけ屋はなぜ潰れない』

「2018年 『マンガ日本と世界の経済入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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