情熱の階段 日本人闘牛士、たった一人の挑戦

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062174442

作品紹介・あらすじ

「諦めないということは、どこまでも自分を信じ続けるということだ」-カネもコネも語学力もない。夢を叶えるための武器は、胸に秘めた情熱だけだった-。生と死が交錯するスペイン闘牛の世界へと単身乗り込んだ男が見たものは?世界唯一の日本人闘牛士による、胸揺さぶる感動の自伝。

感想・レビュー・書評

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  • 熱い。闘牛士になる夢を追いかける間、どれほど経済的に逼迫していたのかを何度も繰り返し述べていて読みながら胸が苦しくなる。お金さえあれば牝牛を購入して練習できるのに。お金さえあれば試合に出してもらえるのに。牝牛を相手に鍛錬しないと技術が衰えてしまう。しかしその牝牛が手に入らない。何ヶ月、いや何年も生きた牝牛を相手にできないまま突然試合に出場することになったとしても、そんな状態で良い技が決まるはずがない。読みながら濃野氏の苦悩と闘牛への熱意が伝わってくる内容だった。もし時代が違えばクラウドファンディングなどで資金を募ったり、SNSで注目を集めることも可能だったかもしれない。そういったものがなかった時代に身一つで偉業を成し遂げられた濃野氏。同じ日本人として誇りに思う。

  • すごい!
    現代の冒険活劇!

    ツテ無しで、単身スペインに渡り、現地の人々の助けを得て
    本当に闘牛士になった人の実話です。

    読むと、自分の夢に向かっていく勇気が持てます。
    マンガ版があったら、子どもに読ませたい!

    以下、好きな場面を3つ挙げる。(要約版です)


    ○はちゃめちゃ!(p.72)
    あなたが車から降りて、倒れている男へ恐る恐る近づいてみると、
    おもむろに男は起き上がって、ヒッチハイクさせてくれ、などと
    厚かましく訴えるのだ。
    私は、捨て身の作戦にみごとに成功した。


    ○勇気と度胸(p.96)
    「お前危ないからどいてろよ!今、牡牛を出すからよ!」
    と扉係の男が注意する。
    「聞いてくれ。俺はポルタ・ガジョーラをやる!」
    私は、彼に向かって叫んだ。
    「何行ってんだよ!できる訳ないだろう!」
    「どうでもいいから早く牡牛を出せ!」


    牡牛は微かにカポテをとらえかけたが、そのまま私の間近を
    走り抜けていった。私の両膝は地面から一歩も動かなかった。
    この瞬間、私には観客の姿も声援も何も届かなかったが、ビクトル
    によると雷のような歓声だったそうだ。



    ○退屈な仕事でも(p.174)
    私はそういう考えを持たなかった。
    オレンジを切れば、切るほど、よりマタドール・デ・ロスに
    近づけるのだと自分に言い聞かせていると、時には作業に熱中
    するあまり、高揚感に酔いしれて涙することまであった。

  • 読みながらゾクゾクする一冊。闘牛に魅せられ、単身スペインに飛び、結果的に世界で唯一の日本人最高位闘牛士となった男の自伝。成功するとは限らない厳しい世界で、強い想いを持って非常に大きな一歩を踏み出す。その強い一歩が出ると、成功確率は当初想像していた数字ほど低くないのでは。少なくとも無駄になったり、何も変わらないことは無いように思う。また、踏み出したことを継続するのも大事とは思うが、何度も踏み出すことを継続することがもっと大事だと感じています。

  • 著者は闘牛士として活動している人。
    現在、日本人でただ一人なんだとか。

    歳がいっている(28歳で闘牛士修行を始める)、スペイン語がわからない、コネもお金もない、といった状態で闘牛士を目指す。
    裏切り、妬みが渦巻く世界で、「闘牛士になりたい」という情熱だけで道を切り開いていく。


    日本ではほとんど知られていない闘牛士の世界がわかる。
    闘牛士専業で暮らしていける人はごくわずかで、多くの場合は練習にも非常に苦労し、経験を積むことも難しい状態にあるという。

    全編を通して印象的だったのは、人との出会いがいかに妙なるものかということ。
    同じ道を目指す親友や、彼を愛し、気遣ってくれる「スペインの家族」との出会いがあって、彼は闘牛士の夢を追い続けられたのだろう。
    情熱があっても、それだけではきっと耐えられなかったのではないか。数少ないながらも、彼を理解し、支えててくれる人がいるということが夢を支えている。

  • 何かに懸けている人の清々しさ。
    無鉄砲で向こうみず、というか無茶なのだけど、グイグイと引き込まれる。

  • 情熱の国スペインに相応しい情熱的な著者。諦めたら試合終了だよ、というスラムダンクの安西先生の言葉を思い出しました。夢が叶うか、叶わないかは諦めるか、諦めないか、なんだなあと。何度も苦境に立たされながらも絶対に諦めない著者に、読んでいる私まで胸が熱くなりました。夢を追いかける全ての人に読んでほしい本です。

  • お金も頼る人も語学力もなく、それでも闘牛士になりたい、その情熱だけで単身スペインに渡った日本人の挑戦を綴った自伝です。28歳という年齢での挑戦、それは想像を絶するような苦難でした。孤独感や、裏切り、差別、数々の苦難に遭い何度も挫折しそうになりながら、一歩一歩夢を叶える姿に心揺さぶられます。

  • 日本人闘牛士の挑戦を描いたノンフィクション。必ずしもサクセスストーリーではなく現在進行形。日本人がスペインで闘牛士になるというのは、スペイン人が日本で歌舞伎役者になるようなもので、途方も無い挑戦。保守的かつ競争の激しい世界で、しかも外国人。時には夜の牧場に忍び込んだり、掟破りの飛び入りを試みたり、病に倒れたり、目標を見失ったり。しかし最後まで目標をあきらめない姿勢は起業家に通じるものがある。若干自己陶酔を感じさせる文章ではあるがそれでなくてはやっていけないのだろう。日本人の挑戦の物語としても面白い。ものすごい情熱、そしてドス・コホネス!(ど根性!)

  • 「闘牛士になりたい」異国(スペイン)の地で、ただこの
    思いでいくつもの挫折を味わいながら決してあきらめなかった人、濃野平氏。人は一人では夢を勝ち取れないし周りに応援してくれる人、ライバルがいてくれたからこそ前に進めるのではないかと思う。

  • 成功者の成功譚ではない
    成功するかもしれないけど
    マタドールに挑戦しようとした日本人というだけで
    終わるかもしれない
    でもこの本にはまさにすごい情熱を感じた

    マタドールになるには金が必要だ
    そのためにこの本を書いた
    最後にそんな記載がある
    なんと現在進行の挑戦だろう
    成功譚でなく夢のために金がいるから本を書く
    とても貪欲だし成功譚を読まされるより
    とても気持ちいい

    スペインに渡るまで
    逡巡があったというのも
    とてもうれしくなった
    高齢(いまの僕ほどではないが)での挑戦も
    背中を押されるようだ

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著者プロフィール

1968年東京都生まれ。1997年、28歳の時に闘牛士を目指して初めてスペインに渡る。現在、世界で唯一の日本人闘牛士としてスペインで活躍中。

「2012年 『情熱の階段 日本人闘牛士、たった一人の挑戦』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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