はるかなるアフガニスタン (文学の扉)

  • 講談社
4.02
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本棚登録 : 155
感想 : 34
  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062174688

作品紹介・あらすじ

学校の課題で、地球儀を見てなにげなく選んだ国の誰かに手紙を書いたアビー。だが、まもなく届いた返事には楽しい秘密が隠されていた。アメリカの少女とアフガニスタンの兄妹の友情物語。

感想・レビュー・書評

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  • 「はるかなる」と「アフガニスタン」という言葉に惹かれ、図書館で借りた本。
    表紙の絵もなかな素敵なのだ。
    大人目線で考えると「タリバン」だの「イスラム原理主義」だのというキーワードばかりが浮かんで、政情不安定な国というイメージがつきまとう。残念ながら。

    ところが、お話はアフガニスタンの少年とアメリカ・イリノイ州の少女の文通から始まる。
    それぞれ一筋縄ではいかない背景があり、アメリカの少女・アビーは勉強嫌いで落第しそう。
    窮余策として出された課題が、海外の子どもと文通してそれを掲示して発表するというもの。
    さて、アビーからの手紙を受け取ったアフガニスタンの村では上を下への大騒ぎ。
    伝統と礼儀を重んじる村の顔役たちの会議から始まるのだ。どうやら教師よりも権限があるらしい。
    男子と女子が文通をするというだけでも問題だということで、教師が白羽の矢を立てたサディード少年の妹が文通相手ということになる。
    しかし、文通の指導役だったはずのサディードが思い切った行動に出て・・

    この間の、手紙を読みながらじょじょに互いへの理解を深めていく過程が丁寧に描かれる。
    時折現れるアラビア文字も新鮮で、興味をそそられる。
    国の事情(つまり大人の意見ね)とがからんで文通は中途断絶となるが、公平な気持ちで相手を良く知ろうとする子どもたちの気持ちがストレートに伝わり、とても爽やかな読後になっている。
    こんなにも周りの大人たちに心配されるアフガニスタンの子どもたちが、羨ましくもある。
    果たして日本の子どもたちとどちらが幸せなのだろう?

    そういえば、先月アフガニスタンの大統領選だったものね。
    タリバン構成員は3万人くらいいるらしいけど、民主化への強い希望が勝ったのだと思いたい。
    小学校高学年の課題図書だったらしいけど、「こんな国もあるんだ。信じられない」などという陳腐な同情へと教師が導かないように祈るばかり。
    とは言え、課題図書として選定されなければ出会うこともなかったかもしれないので、そこは複雑(笑)。

    終わりの3行が、秀逸だ。この3行だけで、この一冊の価値が格段にあがっている。
    バスから見る見慣れた風景を『生まれて初めて本気で見てみました。サディードの目を通して見たのです。。。』とある。
    ひとを理解することの難しさと大切さを思うとき、私はいつも『アラバマ物語』という映画の中のある場面を思い出す。
    弁護士である主人公が自分の子にこう言うのだ。【人を理解するには相手の靴を履いて歩き回れ】
    作者はアメリカ人で、たぶんこの部分を最も言いたかったのだろう。
    報道に惑わされずに、その国の人たちの靴を履いて歩き回るような感覚をもってみることが出来たら、私たちの世界はもっと広がるのだろう。
    大人の方にもおすすめ。

  • 落第寸前のアメリカの女子小学生の少女が進級するためにアフガニスタンの少年と文通することになる。
    アフガニスタンでは少女と少年がよろしくないこととされ娼年の妹が文章を下記少女の兄が英語を添削することとなる。
    そうして文通が始まるが、アメリカの少女のことが気になった少年は自らも手紙を書くこととする。
     アメリカとアフガニスタンの国情や文化もよくわかり、面白い本でした。1日で一気に読んでしまった。

  • 久しぶりの児童書。異文化交流・理解、言動・行動の背景を推し量ること...。素直に自分にはない価値観や思考を受け入れる...そう寛容さ。アビーとサディードの手紙という古めかしいツールを用いての対話は、清らかで美しい。「朋有り遠方より来る」的な2人の再会を夢想...。

  • アメリカの小6の少女アビー
    山に登るのが好きで落第してしまいそうな少女

    アフガニスタンの12歳の少年サディード・バヤト
    村で一番優秀で英語のできる少年

    このふたりが文通をすることになってのは、アビーの落第救済処置にのひとつの条件だったからなのだけれど、サディードからの気持ちのこもった手紙をもらったアビーは、課題というだけでなく、サディードやサディードの住んでいるところが知りたくなり、真摯な返信を送る。

    結局、文化の違いで文通は長く続けることはできなかったが、彼らが大人になったときにはもう少し歩み寄れるのではないかという期待ができる。

    著者のクランツさんが先生だったということで、マフムード先生の気持ちを表現している文章が印象的。

    先生は将来のことをみすえていました。
    そう遠くない将来、この村のすべての子どもがノートパソコンを持つことになると、先生は確信しています。きょうの会議での負けは、いつかもっと縦横な戦いに勝つための、布石にすればいいのです。そのためならがまんできます。
    先生は、これからもずっとこの村で教師を続けていくつもりですから。太陽が昇るように、必ず変化は訪れるでしょう。ええ、きっと必ず。
    ただ、二、三週間では何も変わりません。先生はそのことを甘んじて受け入れるつもりです。


    サディードが読んだ本
    ふたりはともだち
    ロビンソン・クルーソー
    ロビン・フッドの冒険
    ひとりぼっちの不時着 F2ポル
    少年キム 中野中央のみ

    「きみの送ってくれた写真にあった緑の畑は、まっ平らで退屈だなんてちっとも思いません。あんなに畑があったら、ぼくの村のすべての人と動物が、冬じゅう食べるものに困らないでしょう。あの畑は、神のほほえみのように美しいです。」


    雨は降ります
    雨が降る
    野原の上に
    木の上に
    雨は降ります
    この傘に
    海に浮かんだ
    お船にも

    RAIN
    The rain is raining all around,
    It falls on field and tree,
    It rains on the
    umbrellas here,
    And on the ships at sea.
    [A Children's Garden of Verses] Robert Louis Stevenson
    子どもの詩の園 ロバート・ルイススティーヴンソン よしだみどり訳 絵

  • アメリカとアフガニスタンの子どもが文通を始める。アメリカの女の子が落第しそうになり、その課題として出されたのがきっかけだ。アフガニスタンの村では、アメリカとの文通だから賢い子どもでなければ、と思うが、男女間での文通は論外だ。そこで、賢い男の子の妹に旗が立った。

    • はしのさん
      さすがクレメンツという話の作りでしたね。
      さすがクレメンツという話の作りでしたね。
      2013/05/25
  • 書簡ものとしては個人的には『かならずお返事書くからね』を越えるものがまだない。学校の課題で、外国の同年代と文通というのは外国ではあるあるなのかな。

  • 会ったことのない十代同士でも国境を越えた友情ってあるんだと思った。タリバンも出てくる。それに抗おうとまではしないけどいつか変わるかもしれないという遠い光を信じている大人もちゃんといる。主人公サディードが子どもらしく自己顕示欲のあるところと、タリバンに遭遇した時の冷静なところを持ち合わせてて思春期らしく魅力的だ。

  • 人間と人間は通じ合うのに、国と国となると色々利害関係が生じてくる…

  • 小学生の課題図書。どんなところを学ばせたいのかと思って読んでみたけど、面白かった。
    自分はそうではなかったけど、子供のころから本を読んでいると感性とか情緒が豊かになるんだろうな。と思った。

  • 原題は『Extra Credit』。Andrew Clementsによる2009年発表作品。

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著者プロフィール

1949年、アメリカ生まれ。小学校教師を経て、絵本・児童文学作家として活躍。児童文学デビュー作『合言葉はフリンドル!』は、全米で600万部以上、受賞多数。世界12か国以上で翻訳される。他に『こちら「ランドリー新聞」編集部』『はるかなるアフガニスタン』『ぼくたち負け組クラブ』(以上、講談社)など。

「2020年 『フレンドシップ ウォー こわれたボタンと友情のゆくえ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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