PK

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062174961

感想・レビュー・書評

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  • この作品は「PK」「超人」「密使」という3つの短編から構成されていますが、内容的には伊坂ワールド全開で、それぞれの短編に繋がりがあり、謎めいた格言や小さい事柄からの連動性といったことがキーワードになっていて、独特の世界観に惹きこまれます。未来が予見できることで未然に悪い人を退治しようとする者や人と握手することで、他人の時間を、ちょっとだけ自分のものにできる能力を持つ者といった不思議な特殊能力を持つ人間を登場させ、それを利用しようとする人が出てきたりと奇想天外なストーリーなのですが、そんな話がなぜだか面白いと感じてしまう私は完全に伊坂ワールドの虜ですね!

  • "僕"が自分の力を使って役割を果たしてるとき、
    研究施設には未来の"私"が居たような…
    過去と未来が混同してない?

    結局たくさんの分岐が発生してしまったような。

    伊坂幸太郎作品の王道なストーリー展開だけど、面白かった♬
    間を開けてもう一度読み直してみよう☻

  • 子供たちに「次郎君」の話を聞かせる心配性の小説家の父親、落下してきた幼児を受け止め一躍有名になった議員、殺人を犯す人間を予知する男、大事な場面でPKを決めたサッカー選手、などなど、さまざまな人間が、さまざまな時系列で登場し、不思議な関連を感じさせる短編みっつが収められている。
    伊坂幸太郎らしい洒落がきいていて、読んでいて楽しい。
    このひとは本当にどこからこんなに素敵な言葉を拾ってきて、こんなに的確な場面でそれを登場させるのだろうとうなりたくなる。
    「臆病は伝染する」のあとに続く言葉、いいな。

  • 伊坂幸太郎の未来三部作、最新刊だった。ゴールデンスランバー(映画)を見終わったこともあり、父から借りて拝読。以前よりはさらに読みやすく、またつながりが複雑で読んでいて楽しかった。多重構成の話は頭を使うのであまりおつむりがよくない私では手間取ったが、暗号を読み説くようで楽しい。独特の伊坂ワールドがまたしても炸裂し、楽しく、おかしく、どうしようもない諦観もありながらそれでもあきらめずにいられる爽やかな終わり方だった。ヒーロー、タイムパラドックス、超能力。どれにしたって憧れないわけがない。大人になるにつれ、失っていく輝かしい夢をそれでも抱けるような「先」を与え、もっと安っぽく分かりやすく言うならば「希望」を掴ませてくれる作品だった。

  • 始まりから終わりまでストレートに進むものも良いかもしれない。螺旋的にぐるぐるとまわりながらゴールを目指すのも良いかもしれない。エレベーターのように楽にゴールに着いたり、ジェットコースターのようにぐるぐる恐怖のうちに突然終わるのも良いかもしれない。
    このPKは、マッピーランド的小説だ。あっちに行き、こっちに行き、つながりが出来、何度も繰り返すと、ゴムは切れるから最低限に進んでいく。その道中を楽しみながら、最後にやりと終わらせてくれるのがこの作者の良いところだ。この3篇の物語、誰も死ぬ人がいなくて(直接的に)良かった。爽快感の残る近未来小説だが、人間はやること、考えることは変わっていない。ゴキブリのように。

  • 勇気は伝染し、臆病も伝染する。
    ちょっとしたことに迷いながら、自分の進む道を決める。そのことが、「誰か」のしあわせになったり不幸せになったりする。

    私の選んだ道が誰かのしあわせになっていたら嬉しい。

  • 伊坂幸太郎久々の新作。仙台に居を構える作家なので、震災の時は妙に心配したのだが、
    無事に復活。名作「マリアビートル」以来のとなる作品は「PK」。ようするに、
    サッカーのペナルティキックである。

    ・・・とにかくあっという間に読了した。ネタバレしちゃうのは非常に惜しいので、観念的な
    ことだけ書くと、風が吹かなかったら桶屋はどうなるか?を突き詰めた寓話。
    さらに言うなら、風が吹かずにカミナリが落ちたら桶屋はどうなるか?的な側面もある。

    こういう考え方は割と僕の性格にピタリはまる。というか、若干の息苦しささえ感じる。
    あの時にもう少し捻った考え方が提示出来れば、もう少し金を持っていた筈とか、
    あそこで少し勇気を出してあの娘に告白していたら、違う人生が待っていたとか、その手。
    こういうのはウジウジ妄想するだけのネタだと思っていたのだけど、まさかそれを物語に
    仕上げて来るとは夢にも思いませんでした。流石です、この作家は。

    お得意の数エピソード完全連結手法はこの作品でも健在。最後には全てをビチッとリンク
    させる伏線の張り方はやはり見事。そして、過去作品に対する自虐的とも思えるネタも混ざって
    いるから、ファンにはきっとたまらない作品であることと思う。

    とにかくWelcome Back!待ってて良かった!

  • 色んな視点や人生が見られて面白かった

  • 臆病は伝染する、勇気も伝染する。
    世界のために、自分を犠牲にできるのか。

    3つの短編が、少しずつ絡まり、パラレルワールドのようで不思議さがまた面白い。
    場面や立場が違っても、勇気のある決断をする姿はかっこいい。
    言葉一つずつ、実際にそこで見ているかのような丁寧な描写に、読み飛ばすなんて勿体無いと丁寧に読むことができるのが伊坂さんの本の好きなところです。

  • 「PK」「超人」「密使」の三中篇。伊坂さんの描く未来。つながりを楽しむ作品。ディテールの完成度が高いと思った。

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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