メルトダウン ドキュメント福島第一原発事故

著者 : 大鹿靖明
  • 講談社 (2012年1月28日発売)
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  • レビュー :60
  • Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062174978

作品紹介

日本を崩壊寸前に追い込んだ福島第一原発事故。首都圏壊滅、3000万人避難の未曾有の危機に際して、官邸、東京電力、経産省、金融界では、いったい何が起きていたのか?『ヒルズ黙示録』で鮮烈デビューした著者が、菅直人、勝俣東電会長、経産省官僚などのべ100人以上の関係者を取材してわかった驚愕の新事実の数々。

メルトダウン ドキュメント福島第一原発事故の感想・レビュー・書評

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  • 原発の事故に対して当事者が何をかんがえ、どう行動したのか新聞、テレビで見聞きしてきたが、ここまでまとまったものを読むと迫力がある。東電も、保安院も政府も手探りであったことがよくわかる。長年の油断が生んだ災害であることがよくわかる。災害もパワーポリティクスの種にされるという事実をこの本は突きつけてくる。
    管直人はそれなりに頑張ったと思う。
    東京電力や原子力安全保安院などはまったく事故を想定していなかったことがよくわかる。事故が起きないように努力していますと事故が起こっても大丈夫なようにしていますは決して対立概念ではないのに、予見できない未来に対して択一としてしまうところに問題があったのだ。
    国の未来を実に幼稚な論理できめてしまおうという態度がみられたのも気にかかった。

  • 日本を崩壊寸前に追い込んだ福島第一原発事故。首都圏壊滅、3000万人避難の未曾有の危機に際して、官邸、東京電力、経産省、金融界では、いったい何が起きていたのか?『三カク人間』が本当に目白押しです。

    いやぁ、この本は大変重いものでありました。3・11の東日本大震災の直後に起こった福島の第一原子力発電所の原発事故。メルトダウンというあってはならないことが起こったさなかで首相官邸や東電関係者。さらには経済産業省など、関係者のべ100人にも及ぶインタビューに始まり、数々の事実を丹念に重ね合わせた筆致に、あの事件が世界に与えた衝撃の深さと先の見えない復旧活動。それを尻目に霞ヶ関と永田町との権力争いの姿などが浮き彫りになっていて『あぁ、地獄というのはこの世になるんだなぁ』ということを思い知らされたような気がいたしました。

    前半部では、原子力発電所の電源が全てストップし、刻一刻とメルトダウンの「Xデー」に向かっている中で、首相および日本国家の首脳たちがいかに混乱しており、現場への命令系統や情報などが「おもんぱかり」などによって錯綜し、きちんとした支持が送れなかったことが書かれておりまして、以前ここで『前へ!』という本を紹介したことがありましたが、これは現場での動向が書かれていて、この本を読んで官邸側の様子と読み比べてみると首脳陣の混乱がそのまま現場で消火活動を行っていた自衛隊やハイパーレスキューに影響していたんだ、ということがよくわかりました。

    さらに、東京電力が『平時の会社』であり、偏差値エリートの頂点を極めたはずの従業員や経営陣が非常時になるとかくも脆いというのか、人間の『ありのまま』の姿がテレビでご覧になった方も多いのでしょうが、京電力の責任を可能な限り回避しようとする様子や、政治家とのやり取りが事細かに記されておりまして、ここで明らかになっていることは正直恐ろしいの一言に尽きるものでした。

    そして、本当に読んでいて気分を重くさせられたのは総理ならびに閣僚と経産省とのすさまじいばかりの権力闘争で、経産省側が仕掛ける『謀略』の執拗かつ狡猾であるさまと、それに足を引っ張られながらも何とか自分の『思い』を貫こうとする永田町側の綱引きは平時はいわゆる『怪獣大戦争』の世界で『あんたら大変だなぁ。でもそんなことは俺っちには関係ねえやな』といえるんですが、これを今でも被災地の仮設住宅でじっと我慢して暮らしている方や、チェルノブイリのときのプリピャチ市の住人の運命を彷彿とさせるような運命をたどりつつある発周辺の地域に暮らしていた人間がこれを読むとどういう気持ちになるだろうね、ということを感じずにはいられませんでした。

    結局、経産省の思惑通り、菅政権が崩壊したのは周知の事実ですが、この『日本国家の主人は政治家か官僚か?』というのは『ウンコ味のカレーか、カレー味のウンコか?』という話に近いものがあると思っていて、個人的には『普通のカレーを食わせてくれ』と叫びつつ、未曾有の大事故をいかに収束させていくのか?僕にできることはその行方を見守ってゆくとだけなのかもしれません。

  • 新聞は毎日読む。しかし、ひとつの事象に対して定点観測していることはあまり無い。細切れの情報を得ては忘れの繰り返しだ。これでは、特に大きな事件では全く全容は掴めず、情報ソースが少数では不足である場合にはなおさらだ。福島原発について、だ。ぼんやりとしか理解しておらず、何が起こったかを詳細に記している本を読んでみようと思い、手に取った。震災当日から管前首相退任までを描いている同書では、官邸・東電・経産省・金融業界の動きを追っている。実名で、誰が何をどうしてやったか、書かれている。協力すべきが出来ておらず、自分たちの持ち場を守り、責任を回避する事だけに終始した、そんな日本のスーパーエリート達の姿を描いている。組織は適切な人を適切に配置しないと機能しない。そして、組織と組織の橋渡しとなるキーマンがいなければ、協力体制がつくれない。
    そんな事をこの本を読んでまた痛感するとは。残念な発見だった。

  • 福島第一原発事故からわずか1年で、これだけの緻密なドキュメントが書かれたことは驚き。3部構成で、1章は事故直後の東電・官邸の情報錯綜や、相互不信が生々しく描かれる。事故直後のドキュメントとしても面白いが、「想定外の事象に、対しいかにリーダーシップをとって対処すべきか?」という観点でみると、とても示唆に富む。
    2章は東電の賠償責任をめぐる議論、3章は原発停止やその後のエネルギー政策の議論の行方をを扱っている。すなわち、タイトルにある「メルトダウン」当時の様子を扱っているのは全体の3分の1ほどで、その後の原子力政策をめぐる政治・官庁・東電の駆け引きに多くを割いている。
    読み始めた時にはその構成に違和感を感じたが、「事故後」の課題を多く扱うことにこの事件を旧聞にせず読者に受け止めてほしい、という著者の意思を感じた。

  • [真に溶けたもの]2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震と地震に伴って発生した津波により、全ての電源を失うことになった福島第一原子力発電所の1〜4号機。史上稀に見るこの事故に対して東電や日本政府等がどのように取り組んだのかを探った作品です。著者は、『ヒルズ黙示録 検証・ライブドア』や『堕ちた翼 ドキュメントJAL倒産』等で知られる大鹿靖明。


    事故対応、賠償スキーム、電力自由化、菅政権の崩壊という4本柱で構成されているのですが、本書の白眉は賠償スキームについての記録ではないでしょうか。ありとあらゆる利権関係者が主に短期的な視点から主導権を握ろうとする動きが明確に記述されており、その政策決定のプロセスも含めていろいろと考えさせられるところがありました。事故後1年を経たずに上梓されていますが、それでもこの内容は十分に濃い。


    事故対応に関する箇所を読み、実は事故対応をする前に、準備の段階でそれが上手くいくかいかないかが既にほぼ決定されるものなのだと改めて感じました。著者は以下のように原発事故を総括していますが、本書を足がかりに危機管理について考えてみるのも良いかもしれません。それにしてもこの事故については知れば知るほど考えさせられます。

    〜メルトダウンしていたのは、原発の炉心だけではないのだ。〜

    大鹿氏の作品は久しぶりに読んだけどやっぱり良い☆5つ

  • ★すごい力量。そして立ち位置の難しさ★震災直後の官邸、東電の救済策、電力改革を巡る官邸と経産省の確執など、これだけ幅広な内容をまとめきる筆力がすごい。今となってみれば様々な事故調査報告書が出て既知のことも多いが、取材内容を整理し自分の足りないところはほかの報道などで補いながら構成できる能力に脱帽する。

    かなり慎重に筆を選んでいるが、菅政権へのシンパシーは強く伺える。官邸は頑張ったが、東電首脳は役に立たず、経産省は省益に閉じこもっている、と。
    先般、公表になった吉田調書および政権トップの調書がそうだが、どれも嘘はついていないにせよ、無意識に自らの立場を守る言い分にはなるだろう。そのバランスを見極めるのは本当に難しい。その点でも、東電側の調書が早く公開されてほしい。

    そして改めて振り返ると、震災直後、自分には本当に危機感がなかった。

  • 和図書 543.5/O76
    資料ID 2013103025

  • 福島第一原発事故の発生直後からその後に至る現場の生々しい様子とうろたえる官邸、保身に走る官僚機構、当事者意識が著しく欠如した東京電力経営陣を痛烈に描写。数ある原発事故関連読み物の中のひとつ。

  • 東日本大震災による原発事故について書いた本だったが、本当に驚くようなことばかりだった。なんだか、日本の中枢にいる人達の目に余るような行動にこの国の将来を考えてしまう。なんでこのような人達がそのような地位にいるのかを本当に考えさせられてしまう。

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