- Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062175326
作品紹介・あらすじ
未曾有の事態をどう捉えるか。東北を掘り東北学を立ち上げた民俗学者と、阪神大震災体験をきっかけに臨床哲学を切り拓いてきた哲学者。言葉を探り、想像するちからの可能性を信じる二人の思索者の真摯なる対話。震災以降に発表された両著者のエッセイ11篇も併せて収録。
感想・レビュー・書評
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東日本大震災
心理
思索 -
東日本大震災を文化の面、言語の面、建築学の面、経済の面からなど、多角的にとらえた本。これは何度も読み、言葉を咀嚼したいものだ。
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静かな対談だ。声高なもの、一方的なものはないようだ。実際の対談も静かに進んだことがあとがきで分かった。しかし、静かなものから、たしかな変革は始まる。腹の据わった、静けさか。何カ所も深く心に残る言葉があった。糧だ。こころの。
・じぶんの存在の根拠となるものの一角を失うということは、深い傷を負いながらも、人生をこれまでとは別の形で語りなおさねばならないということだ。
・ナチスの強制収容所で最初に崩れたのは、「希望」に身を預けた人、最後まで命をつないだのは、「待つ人」がいる人だった。
・川が氾濫しないように、洪水にやられないように堤防をコンクリートで固める。この世で一番ひどい環境破壊。接触点は野生の、植物の繁殖力が強いところだから。
・ライフラインはかつて社会と家族が受け持っていた。しかし、それらを任せることで、人々は寿命を延ばしたが、脆弱性も露呈した。
・〈隔たり〉は増幅するばかり
・アイデンティティーとは「自分が自分自身に語って聞かせる物語」。これがないがしろになったとき、わたしたちの存在は大きく揺らぐ。
・「川で一緒におぼれるのが詩なんです」
・サービス社会ではしばしば専門家がクライアントを無能にする。disabling professionnals
・理念を共有した共同体は、その目標から外れることをしたらとがめられる。
・男と女の隔たり。世代の隔たり。
・いまや災厄は人々の悪意からではなく、自分のしていることに対する「思考の欠如」や「想像力の欠如」から生じている。
・未来の世代のためにという思考を欠落させた最大のシンボルは年金、原子力。
・記念日というのは人を傷つけるところがある。
・だれもがリーダーになりたがる社会はすぐに壊れる。 -
メディアで公開されていない現実がここに。
呆然としてる場合じゃないけど、ショックだった。
Be Choir の震災後イベントに向けて手にとった一冊。 -
[2013.11]東日本大震災から、原発、人と人との関わり方、リーダーシップに至るまで、あらゆる事象をどう捉えるか?
大阪大学総長などを歴任した鷲田清一氏と東大出身の日本の民俗学者の赤坂憲雄氏の対談形式で展開されている。
報道、原発と自然エネルギー、地域コミュニティのあり方など、東日本大震災から膨大なジャンルの事象について読者に問題提起している。
はるか未来を想像し、自分に何ができるのか、考え続けなければならないと痛感。 -
鷲田清一さんと、赤坂憲雄さんの対談本。
コミュニティやボランティアのありよう、原発事故の構造など話は多岐にわたる。
おもしろい部分とそうでない部分があったけど、総括して、確実に読んでよかったです。
やはり、鷲田さんの言うことはおもしろい。氏の発言は、優しくて、かつ強い言葉だと思う。
誰も正解を知らない、誰も責任をとらない、とることができない、そんな状況の中で、全国の人々の信頼関係が失われているということにはとても考えさせられた。
また読みたいです。