- Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062176019
感想・レビュー・書評
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ブルータスに紹介されている
会社員小説の研究本
半身プライベートで、半身会社に捧げているのが、会社員…
p27給料と休暇と出世のことばかり考え働いている人々・・・
肉体労働者は、月給を取っていてもサラリーマンとは言わない
日本では、ブルーカラー、ホワイトカラーの区別を言いたがりません。
30格差が社会問題として大きく取り上げられるようになる
33梶山の出世作『黒の試走車』
55もっともうまくやっているのは村上春樹ではなかろうか。
61池井戸潤『シャイロックの子供たち』
68津村きくこ『あれぐりあとは仕事はできない』
85人間を描くことが小説の重要な役割であるとすれば・・・
87明野照葉『家族トランプ』
102黒い『働くということ』
104 黒いが提示する労働の本質にもあてはまる。・・・・
107スタッズ・ターケルのインタビュー集『仕事!』
157『毎日が日曜日』
169諸井薫『夕餉の仕度の匂いがする』
177千野帽子「毎日が日直。『働く大人』の文学ガイド」
184大量の紹介本あり
188『沖で待つ』
203会社員小説リスト
208そもそも会社員となった人間は、身体を二つにー「公」と「私」に分断されている。・・・・
214人が人生のもっともいい時期に・・・・
221岩崎と初期三菱が会社員誕生の先駆者だった・・・
238盛田隆二『ありふれた魔法』『きみがつらいのは、まだあきらめていないから』
252たくさんの本が紹介されている。(企業への女性の進出について)
308半身であるから心がこわれ、一方で半身であるから会社の生活に耐えることができる詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「会社員」というよく知られた存在に敢えて注目していて、どういうわけか読み手の関心をくすぐります。じぶんが会社員であるかどうかに関係なく、伊井さんの著作が好きであれば楽しめるでしょうし、氏の著作を読んだことがなくとも、これを読めば会社員がフシギな存在であることがわかるでしょう。
氏のおかげで津村記久子『アレグリアとは仕事はできない』や庄野潤三「プールサイド小景」を読んでみたくなり、ハーマン・メルヴィル「書写人バートルビー」を再読したくなりました。というわけで、「会社員小説」をめぐる読書案内と思って読んでもいいかもしれません。