- Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062176170
感想・レビュー・書評
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「KENZAN」vol.14~15に掲載した「不苦労」の改題、単行本化。
これは時代小説というより、「いじめ」問題を史実の松平外記の西の丸刃傷事件を題材にして語ったものと言った方がいい。
旗本の子で西の丸書院番に出仕することになった伴鍋次郎は、浪人の老人が自分の顔を見て恐怖で錯乱し川に飛び込んで死ぬという事件に遭遇し、家で「鍋次郎」という名の小さな位牌が隠されていたのを見つける。
やがて、義父から自分が西の丸書院番で人情事件を起こした松平外記の子で、事件後養子にされ伴家の実の子として育てられたこと、父が悪質な新人いじめにあって事件を起こしたことを聞かされる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
松平外記の事件って史実なのかな。
江戸時代のパワハラですね。
陰湿でちょっと重かったけど、最後は救われたかな。 -
読んでて辛いシーンがあります。
もう少し明るくしてほしいかな。
装丁が作品とあってなくて、強すぎな感じがしました。 -
ふくろう とは、不苦労、もしくは、福籠 ということで、根付けにこめた我が子の幸せを祈る親心。優しく美しい妻が懐妊し、自らも西丸書院番士に引き立てられた伴鍋次郎なのに、なぜか両親は…。 う~~~ん、梶さんの目指したことは理解できる。
子どもの世界でも、大人の職場でも、苛める方は軽い気持ちで罪悪感さえないのだけど、やられた側には深い傷を残す。それを、苛められる方の気持ちが弱い、と片付けてしまう周りの者も同罪と言える。
苛めの場の話が執拗に続けられ、読むのが辛くてたまらなかった。
梶さんは好きな作家さんだし、鍋次郎の妻が時代ものには珍しいさっぱりとした可愛いタイプの女性なのが嬉しかったから、もう少し、なんとかならなかったかなぁ、と…。