希土類少女

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 170
感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062176453

作品紹介・あらすじ

「コミュニティ・マヒトツ」-独立行政法人・日本レアメタル機構の設立とともに造られたこの施設は、"レアメタル生成症候群"の少女たちが暮らす場所。脇腹からジスプロシウムを生成する少女・冴矢は、その境遇と、死ぬまでの運命が決まってしまったことを呪い、半ば自暴自棄な日々を送っていた。一方、施設の職員である中年男の江波は、そんな彼女に、施設で起きたある事件の参考人として、協力を依頼することになる。次第に距離が縮まってゆく二人だったが、やがて、お互いの人生、ひいてはコミュニティすべての命運を左右する大きな決断を迫られることになるのだった-。

感想・レビュー・書評

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  • 「浜村渚の計算ノート」作者、青柳さんの小説なので、図書館で借りてみました。
    表紙がキラキラ、きれいです。

    「希土類少女」ってなんだろう?と思いつつ、読み始め
    希土類元素(レアアース)を体から生成する、という少女達の話、と分かる前、冒頭いきなり官能小説?というようなシーンから始まり、どうしよう、と思っていましたが、すぐにシーンが変わり、「希土類少女」の意味がわかりました。
    「希土類少女」が日本各地で現れ、その子達を集め、産出される金属を回収する施設での物語。

    普通の食事を取って、金属が身体から出てくるなんて、錬金術師? 体内で核融合起きてる? 

    たまたま、娘の化学の勉強に付き合い、近くに「元素生活」
    http://booklog.jp/item/1/4759811672 
    を置いていたので、
    この本についている周期律表(用途などイラストでわかるので面白い)を見ながら、読みました。

    特殊な状況のお話でしたが、
    家族(特に娘-父)、恋愛、嫉妬 要素が多いように思いました。

  • 「浜村渚の計算ノート」シリーズの青柳碧人の小説。
    もともと「計算ノート」を購入した際に、この本のちらしが挟まっていて、気になっていました。
    レアアースを体から生成する少女達の話。
    表紙の絵もすごくきれいで、いつか読んでみたいと思っていたら、図書館でたまたま見つけたので、借りてきました。

    私は「千葉県立海中高校」もそうでしたが、青柳碧人の小説の設定に惹かれるみたいです(「計算ノート」シリーズは設定というより、扱われている数学なんですが…)。
    すごく突飛な設定なのに、あまり違和感なく感じられるように描くのが面白いと思います(「計算ノート」シリーズは例外)。

    長くは生きられない、儚い少女達の物語というのも私的ツボ。
    ストーリーも悲恋物ですが、悪くないと思います。
    ただ、冒頭部分をはじめ、性的関係が描かれたり、ほのめかされたりする部分がいくつかあるのが、あんまり私の好みでないかなぁ…。
    特に冒頭は、ちょっと読むのをやめようかと思ってしまった…。
    その後の本編にそこまで関係してこないのだから、もう少し違う導入でも良かったんじゃないかと思うのだけど(それともこーゆー導入の方がうけるのかなぁ…)。
    まぁ、確かに13歳~25歳くらいまでの女の子が大勢いて、そーゆー話が一切ないなんて、綺麗すぎるかなとは思うけど…。

    江波はなんだかんだいって、モテモテですよね。
    奈緒子さんに冴矢、京華さんに高松まで。
    個人的には、お気に入りのキャラ京華さんと乃絵瑠の話も読んでみたいです。
    奈緒子さんと京華さんの過去話とか。

    どうでも良いけど、作中の会話に出てくるアイドル『ティータイム・メイドっ娘』『ガムシロップ注ぎ隊』って、「計算ノート」シリーズでもあった気がするけど、この本の世界と「計算ノート」シリーズの世界って一緒なのかしら…(この世界で数学がそんなに迫害されてる気はしないけど)。

  • 設定が面白そうだったので読んだけど、生理的に受け付けなかった。
    江波の倫理観の低さが本当に無理。
    妻と子供を自分の人生の選択とすら思っていないから責任を取るなんて発想はまるで出てこないし、閉鎖された空間で自分以外に優しくしてもらったことのない少女が寄ってきたら諭すよりも先に女性として認識し始める。挙句、人の話も聞かずに逆上して心中未遂。心の底から気持ち悪い。人間の心理的な矛盾点を描いているのかと思えば、オチ的にこれが作者的いい男なのか…?と本気で困惑した。
    最後の犯人の心理的な動きといい、女の子がメインで出てくる分女心分かってないな感が前面に出過ぎてもはやキツかった。

  • 体の一部からレアメタルを生成することができる少女。レアメタルを生成する少女たちは1か所に集められ国の為に体から出るレアメタルを捧げる。少女たちはどんなに長くて生きても26歳の誕生日を迎えることなく死んでしまう。キラキラ装丁の可愛さに騙されるなかれ。結構なバッドエンドが待っている。辛すぎる結末。あの子があんな子だったなんてなー…。あのアイテムがそんな意味を持ってたなんてなー。2012/517

  • 話の中程からぐいぐいと物語に引き込まれていき、一気に読みきってしまいました。
    レアメタルを生成するかわりに25歳までしかいきられないという儚さが、悲しくもあり、美しく感じました。
    最後に宿った小さな希望がどのようになっていくのか、気になります。

  • 悲しくて現実的な話。物語だからってなんでもかんでも都合がよくいくわけじゃない、ってところがよかった。最後の最後に見えた一縷の希望がこれからどうなっていくのかとてもたのしみ。

  • 総評としてはなかなか。
    自分は、話が綺麗に終わる大団円が好きなんだけど、この話はそういう感じではなかったがなかなか好きな終わり方だった。

    冴矢にまつわる設定は少し特殊だったな。
    実に父親もアレだったのに、施設長からも…。
    でも、江波に出会えて良かったなと思った!
    冴矢と江波…、お互い人を愛することが出来て良かったな。

    しかし、高松にはちょっとびっくりした。
    恋敵っていつの間に?
    最初から好きだったのか?いやでも、恋人呼んで江波確保したしな…。
    んんー、家にあげてもらったときから惹かれてったのか、それとも最初から好きで全部伏線だったのか…、分からん。

    レアメタルの子達がこれから家庭を持てるといいな。
    そして、あの村の長寿の研究が進んで普通の人間と同じくらい生きられるようになれたらいいね。

  • レアメタル、レアアースを突然身体から「産出」するようになった少女たちと、彼女たちをとりまく人々を描いたものです。素直に読めば純愛物語であり、結婚とは、家族とは何か、を考えさせられます。裏に秘められたものを探れば、少女たちは「母なる大地」です。本来は生命をはぐくむ存在でありながら、金属を産出するためだけに生かされ管理される。25歳で死ぬさだめを負う少女たちは、母なる大地の苦しみを示しているように思われます。哀しくもせつなく、でも少しだけ希望が感じられる物語です。

  • 体からレアメタルが生えてくる少女が日本各地で現れて、それを集めた施設が作られた……という話。最終的には少女とおっさんの純愛。そして終わり方に涙。

  • 体内から「希土類」を産む少女と、彼女たちを管理する国の役人のおっさんの、恋愛ストーリー……になるのかな、結果的には。
    恋愛部分は、王道過ぎて面白くないが、ストーリーそのものは、なかなか面白かった。

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著者プロフィール

1980年千葉県生まれ。2009年『浜村渚の計算ノート』で第三回講談社birth小説部門を受賞しデビュー。「ブタカン」「西川麻子」「猫河原家の人びと」などシリーズ多数。2019年刊行の『むかしむかしあるところに、死体がありました。』が各ミステリーランキングや書店年間ランキングにランクインし、本屋大賞にもノミネートされた。

「2023年 『あかがみんは脱出できない(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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