森の家

著者 :
  • 講談社
3.30
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本棚登録 : 256
感想 : 54
  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062177061

作品紹介・あらすじ

名も知らぬ木々で覆われた、森のように静かな家で暮らす、佐藤さんとその息子・大学生のまりも君。そこへ転がり込んできた、佐藤さんの恋人の美里。理解されない孤独をそれぞれに抱える3人は、どこか寄り添うように、「森の家」での奇妙な共同生活を続けるのだが――。小説すばる新人賞・泉鏡花賞ダブル受賞の異才が描く、ちょっと普通じゃない、「家族」のカタチ。

感想・レビュー・書評

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  • ご本人書かれているとおり、不健康な感じ。

    緑に包まれた古い家に集まる3人。
    かかえるものがあるけれど、けして踏み込まない。
    踏み込むと壊れることがわかっているからか。

    読み終えて。
    表紙絵にある深い青の湖、それは閑散とした駅、湖から道東なのだろうか、と思ったけれど、ちょっと違うかな。ザンビアでもないだろうし。大麻でもない。
    うーん、ザンビアの森なのだろうか。。。
    暗い湖が印象的。

    グミがでてきた。そうね、グミは鳥もあまり食べないかも。だから高めの樹にびっしり付いたまま。見た目はお菓子っぽいというかむしろゼリービーンズそのものだけど、かなりおいしくない。
    わかる人にはわかるかもしれない。大麻の森には自生していた。

    確かに、熱が出たときは不健康な夢を、そういつも同じ夢を見た気がする。
    でも、そんなことは若かったころだったかもしれない。

    みりさん、佐藤さんは戻ったかなあ。
    もう若くないんだからね。お二人の幸せをお祈りします。

  • こういう内容の本だとは知らずに読んだので、
    つらい読書になってしまった。
    最近こういう本が多くて、げんなり…しそうになった。


    「水の音」は私にとっては精神攻撃に近いものがあって…
    …実母からの電話のシーンなんてつらくて涙が出てきた。
    「パレード」も切なくって…。でもつらかったけど良かった部分もあった。

    「おあ」で因果や因縁があまりに濃密すぎて窒息しそうになりました。
    ぐらぐらしたしぐったりした…。早急すぎるかな…とちょっと残念。

    千早さんこういう内容のものが書けるということは、相当家族関係であったんだろう。
    それがまだ消化や整理されていないから、読む方もきつい。

    美里に呪いをかけ続ける実母
    たくましいけど他人と一線を引き続ける猫のような美里。
    自分のことも他人のことも愛せない執着さえも出来ない聡平
    他人との距離をおきすぎる、絆の結び方を知らないまりも。
    病的に純粋無垢過ぎるメンヘラな果穂子。
    憂鬱だと言いながらも、まりもを育てた芯のある多恵。


    未熟でも家族ごっこでも、偽家族でも共同体、
    歪んだ関係でも一緒に暮らしていると家族または絆だと私は思いたいな。
    寂しさで繋がっていたとしても…共通項があることはまだ救いだ。

    人の心の底、光の当たらない暗い部分をじーっと見つめて
    逆に見て見つめ返されて、ぞくりとするような作品でした。
    心が波立って、ざわざわするわ。


    ある時期の島本理生さんに似ている。。。
    爽やかな作品を読んで心をポジティブにしないとヤバイw

  • 3冊目の千早茜作品。

    自然に対する描写がとてもきれいで、読んでいて緑の深さや色、森の中にある湿度までもが、肌に感じられるような感覚でした。

    聡平さんがいつも微笑んでいて、穏やかで爽やかな人だという印象があったため、本当の聡平さんを知ったときは怖かったです。

    みりさんがお迎えに来てくれて良かった。
    これから家族になっていくのかな。

    表紙に描かれた湖は、あおの湖のことだったのかー。

  • 千早茜さんの人と人が上手く関わり合えない感じを
    独特な空気感で作り上げる言葉の数々。

    とても複雑で気怠い。
    他人がめんどくさいけど、1番めんどくさいのは自分で・・・。

    孤独で寂しさに慣れているのに
    何かを求めてしまうような。。

    何も求めないはずが、何かが欲しくてたまらない。
    そんな聡平さん、まりも君、みり。

    最後の聡平さんが怖かった!!

    何かに囚われたままの3人。
    ずっと3人のモヤモヤ感を感じる作品。
    それが、とても分かるようで分からない感じ。

    この千早茜さんが描く空気感が好きです。
    絡み合うけど絡み合えない。
    溺れているのに沈まない。
    そんな・・・感じ。
    千早茜さんの作品を、まだまだ読みたい!!

  • 20歳の息子のいる恋人と暮らし始めたみり。
    ある日、恋人佐藤は、行き先を告げることなく、突然姿を消した。

    互いの距離感を上手く測れず、家族としての関係も希薄な3人。

    それぞれの生育環境が独特で、守ってもらえる子供であることを諦め、他人に期待しないようになった男性2人は、なるべくしてなった感じがありました。

    恵まれていた訳ではなくとも、唯一感情を露に出来るみりが、2人と共に関係性を変えることになるだろうと期待出来る終わり方に、少しの明るい未来を感じました。

    生い立ちなど、子供時代の経験が人の一生を左右する。
    子供にとって周りの大人の責任は重大だと感じずにはいられません。

  • 血が繋がっていなくても、血が繋がっていても、家族は家族になれる。でも、家族って何だろう。
    一緒に暮らしていれば家族。そういう感覚は確かにある。血の繋がりのない他人と一緒に暮らしていた時、それは確かに家族のようだった。では、一緒に暮らしていない血の繋がりのある人は、家族ではなくなっていくのだろうか。
    人と人との繋がりは、簡単に切れるかどうか。多分、切れる。とても簡単に。人と人との繋がりは本来そんなに確かなものではないから、容易に切れないように、また容易に切れないと自分も他人も錯覚させるように、「家族」とか、「友達」とか、言葉を当てはめて繋がりを少しでも強固なものにしようとするのだろう。でも、そんな言葉を無くしてしまえば、そんな言葉に縛られる必要はないのだと気付いてしまえば、それはとても簡単に崩れ去ってしまう。
    繋ぎ止めたいと思うならば、そういう意思があるならば、まさにその意思でもって自ら繋ぎ止めるべきなのだ。美里がそうしたように。人との距離に迷ってそう出来ないなら、それまでのこと。どうしても家族が必要なわけではない。「パレード」に参加しない生き方だって、ちゃんとある。参加したいと思うか思わないか。ただ、それだけのことだ。
    『魚神』から千早茜のことを追ってきて、思う。不遜な物言いかもしれないけれど、千早茜の感性は私にとてもよく似ている。

  • 中年の男性、佐藤聡平さん。30歳くらいの女性、みりさん。20歳目前の大学生、まりも君。
    三人は木々に覆われた家で暮らしていたが、佐藤さんが突然いなくなった。佐藤さんの恋人、みりさんは混乱して取り乱すが、まりも君によると”彼が20歳になるまで一緒に暮らす約束”だったらしい。

    みりさん、まりも君、佐藤聡平さん。それぞれの章がそれぞれの視点になっていて、親との関係性や価値観、まりも君の母親である果穂子さんのことなどが明らかになっていく。

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    赤ん坊を可愛いと思えない、みりさんとまりも君。怖いと思うこともあるらしい。
    周囲とは違う家族、あるいは欺瞞のような家族のなかで育ったせいか、二人は家族という言葉に怯んでいるようにすら見えた。

    だから、他者と一定の距離を保ちながら接する佐藤聡平さんは彼らにとって都合がよかったのかもしれない。バランスがいい、というか。
    佐藤聡平さん自身も表面にださないだけで、果穂子さんのことで思い悩んでいたようだったけれど。

    血の繋がり=家族、と言い切れるものでもないだろうし、愛とか絆なんて言われても、そんなものはいつ消えるかもわからない。
    これまでの三人が家族だったのか、これからまた三人で生活して家族になるのか、と問われたら明確な答えは出ない。
    はっきりとした基準があるわけではない。三人が家族だといえば家族。過去の傷は消えないが、過去を想いながら生きていくことはできる。

  • 『からまる』よりも更に深く深ーく沈んでいく感じ。
    思わず繰り返し読んだ。

    人と必要以上に関わりを持ちたくない三人。
    父と、血の繋がりが不明な息子と、父の恋人。
    三人それぞれの視点から語られる三つの話は、各々の内にある「さびしさ」に気付かせて、変化していく。

    家族小説と呼ぶには、いびつ。
    作中にある「血のつながり」というテーマが「血のつながりのない?」三人に立ちはだかる。

    爽快感のないストーリーだが、しかし在って欲しい形へと「変化」して、良かった。

    千早茜の作品にはいつも水をはらんでいる気がする。それは時代や内容では変わらずに。

    静かに、静かに、人の思いをなぞりながら……そこに漂う停滞と孤独を否応なしに感じさせられる。
    でも。嫌じゃなかった。

    うーん。味わったな。

  • 期待するから絶望してしまう。でも、さみしさを共有できたら、それでいいんじゃないかな。
    独特のひやりとした世界観と少しのゾクゾクが心地良かった。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/58339

    自分には何かが欠けている気がする。
    そんな気持ちを抱えた3人が一緒に住んでいた家。
    ある日突然、1人が消えて…。
    歪さと淋しさを抱えた人たちの、「家族」をテーマにした話。

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著者プロフィール

1979年北海道生まれ。2008年『魚神』で小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。09年に同作で泉鏡花文学賞を、13年『あとかた』で島清恋愛文学賞、21年『透明な夜の香り』で渡辺淳一賞を受賞。他の著書に『からまる』『眠りの庭』『男ともだち』『クローゼット』『正しい女たち』『犬も食わない』(尾崎世界観と共著)『鳥籠の小娘』(絵・宇野亞喜良)、エッセイに『わるい食べもの』などがある。

「2021年 『ひきなみ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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