明治二十一年六月三日─鴎外「ベルリン写真」の謎を解く

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 21
感想 : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062177191

作品紹介・あらすじ

ベルリンに集った留学生たちを撮影した一枚の記念写真。彼らのその後は、そのまま近代日本医学の歩みとも重なる。森鴎外と同時期に学んだ群像の波乱に富んだ軌跡を追う。

感想・レビュー・書評

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  • 明治21年にベルリンで撮影された一枚の写真は、そこに若き日の森鴎外や北里柴三郎が写っていることから、歴史に残るものとなった。しかし、その19人は、当時日本から洋行していたというだけでも、エリートであるが、その後の人生は色々で、多くは日本で然るべき地位に着いたが、中にはドイツに客死し、名を残さなかった人もいる。著者は、その全員を探し当てるとともに、鴎外との関係を中心に、各人の一生を描いてみせた。中々の労作であり、ドキュメンタリーのようでもある。登場人物の多くは、医者であり、また、軍関係者であって、全体的には同質的であるから、一人一人の個性が記憶に残るというものでもないが、鴎外の日記を繰り返し引用することで、鴎外には詳しくなった。

  • 何気に手に取ったのですが、自分の中ではかなーり良かったです。
    ルポが好きな方にはいいかも。
    明治の留学生の集合写真なのですが、一番端っこに立っている、森林太郎氏を中心に、上司・友人・ライバルなどの人間関係を丁寧におっている本です。

    「エリス事件」の真相
    「舞姫」のモデル
    留学生同士の相談に乗ったり、助け船を出したり

    森氏のあれこれが分かります。
    ちなみに、森さんのペンネームは森鴎外
    研究も出来るし、周囲に気配りも出来るし、文学も愛好してるし
    で、くたびれ果てたこともあったのでしょうね。
    上司にくってかかったり、留学仲間のことを怒ったり
    もしくは、仲間のことを思って泣いたり、助けたり

    明治の医学生ですから、写真の方は、皆、日本近代医学の
    第一人者なので、名前を聞いたら、あ!と思う方も多い。

    面白かったですよ。

  • 一葉の写真がある。明治二十一年六月三日。ベルリンで撮影されたその写真には19名の日本人が写っている。官費・私費でドイツ留学を果たした医学留学生達である。
    当時の留学生達は皆選ばれしエリートであり事実、帰朝後は「日本○○学の父」と呼ばれた者が大多数を占める。
    写真の中では若輩に当たる森鴎外をキーパーソンに、写真の19人と4人の鴎外ゆかりの友人を生まれから留学に至る経緯、そして帰朝後の生涯までをつぶさに描くことによって当時の日本の医学界の様子が見事に描き出される。

  • 『舞姫』の登場人物のモデルについての考察が良かった。あとは正直…。

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著者プロフィール

山崎光夫

一九四七年福井市生まれ。早稲田大学卒業。放送作家、雑誌記者を経て小説家に。八五年『安楽処方箋』で小説現代新人賞を受賞。医学・薬学関係に造詣が深い。小説に『ジェンナーの遺言』『ヒポクラテスの暗号』『精神外科医』『風雲の人 小説・大隈重信青春譜』『小説曲直瀬道三 乱世を医やす人』など多数。ノンフィクションに『東京検死官』『逆転検死官』『戦国武将の養生訓』『薬で読み解く江戸の事件史』『胃弱・癇癪・夏目漱石 持病で読み解く文士の生涯』など。九八年『藪の中の家 芥川自死の謎を解く』で第十七回新田次郎文学賞を受賞。

「2021年 『鷗外青春診療録控 千住に吹く風』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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