レ・ブルー黒書 フランス代表はなぜ崩壊したか

  • 講談社 (2012年6月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (338ページ) / ISBN・EAN: 9784062177238

作品紹介・あらすじ

その日、トリコロールが哭いた――。

ドメネク、エヴラ、アンリ、リベリ、そしてジダン――。
“犯人”は誰だったのか?

南アフリカワールドカップ。フランスは、「史上最も醜い敗退」を喫した。
監督侮辱、強制送還、練習ボイコット、キャプテン剥奪、男の嫉妬……。
世界中に恥をさらしたチームの中で、何が起こっていたのか?
「レキップ」紙で20年以上にわたって代表番を務める名物記者が、事件の真相を明かす。

「国辱」に加担した男たち――。

ドメネク――選手の暴走を許した指揮官
アネルカ――暗い闇を抱えた確信犯
リベリ――代表に君臨したがった小キング
アンリ――ひたすら権力を夢見た策士
エヴラ――器に値しなかったキャプテン
トゥララン――連座を余儀なくされた善意の加害者
マルーダ――ツイッターで無言の意思表示をした日和見主義者
グルキュフ――仲間はずれにされていた名手
ジダン――隠然たる影響力を行使する稀代の英雄

みんなの感想まとめ

組織崩壊と人間関係の複雑さを描いたこの作品は、2010年の南アフリカワールドカップでのフランス代表の惨状を克明に記録しています。選手たちの練習ストライキや監督との対立、内部の権力争いなど、チームが崩壊...

感想・レビュー・書評

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  • 「レ・ブルー黒書 フランス代表はなぜ崩壊したか」
    2010年6月20日、それは起こった。


    2010年6月20日、南アフリカ、サッカー、と言われて皆さんは何のことかお分かりだろうか。分かった人は、サッカーファンだろう。


    この日は、フランス代表が崩壊した日、前代未聞のW杯中の代表主将エブラ(現マンチェスターユナイテッド)が絡んだトレー二ングボイコットが起きた日である。EUROとW杯を制した誇りを背負い、チーム一丸で意味のない批判(フランス代表は、ハンドが絡んだ勝利で予選突破を決めた)を振り払うべきだった彼らは何故崩壊したのか。本書は、6月20日から書き起こされ、EURO12開幕前に完遂された(買おうかと悩んだが、図書館でゲット)ノンフィクションである。


    6月20日の運命の日の前に何が起きたか振り返って見よう。まず、19日に活躍を期待されたアネルカ(現WBA)が試合中ハーフタイムに監督ドメネクを侮辱、19日にはその衝撃の言葉はレキップ紙で報道され、同日中にアネルカは代表を追放された。さらに20日朝には、ドイツW杯で彗星のごとく現れたリベリ(現バイエルン)が生放送中のテレビに駆け込み、突如代表の内情を話し出したのだ。


    そしてボイコットを迎えた訳であるが、そもそもこの他にもリベリのグルキュフ(現リヨン)への嫉妬や妬みからのいじめ疑惑やリーダーシップを発揮するべきだったアンリ(現ニューヨーク・レッドブルズ)の存在感のなさ、さらに監督ドメネクの求心力の低下など(そもそも08EUROの失態で解任されるべきだった)数々の爆弾をレ・ブルー(フランス代表の愛称)は抱えていました。だから、遅かれ早かれ崩壊はあり得た訳ですが、まさかW杯真っ最中に崩壊とは・・・。


    この事件は多くの涙を残しただけだったと思います。エブラにもぐら(ちくり屋)を疑われたジャン=ルイ・ヴァランタン代表遠征団団長、エブラを説得しようとしたロベール・デュヴェルヌフィジカルコーチ、15年に渡りレ・ブルーを支えてきたマニュ・ディファリア機材担当総務長らの涙は忘れるべきでは無いと思います。


    誰が悪かったのかという犯人捜しはあまり意味をなさないと思います。しかし、多少の同情の余地はあるが選手のエゴを抑えれなかったドメネクとその彼を見下し、エゴを増大させた選手は、猛省すべきであると思わずにはいられない。


    だからといって彼らに全てを押し付けることは出来ない。フランスサッカーの代表に関わった全ての人が、この失態から学び、次に生かすしかないはずです。


    幸い現在のレ・ブルーを率いるのは、選手時代、98W杯と00EUROを代表のボスとして制覇したディディエ・デシャン。彼は、クラブでも活躍し、監督としても実績を積んできたレジェンドです。


    彼の最大の魅力は、統率力。どんなに才能があってもチームを混乱させる選手は許さない冷徹な一面を持ち、レ・ブルーのユニフォームを着るならば、国の誇りを持ってチームの勝利の為に戦うことを彼は求める。


    なぜならそれこそフットボールで勝つ為に必要だと知っているから。フットボールを壊すエゴはいらない。彼には、それを選手に分からせる力があると思うのです。


    10W杯で崩壊したレ・ブルーを正常に導いた栄光時代の盟友ブラン(現パリ・サンジェルマン監督)の後を継いだデシャン達は、現在14W杯予選でスペインに次ぐ2位。恐らくプレーオフに回るだろうが、彼が率いるレ・ブルーならば、必ずブラジルにやってくるだろう。そして、王国で花咲くシャンパンサッカーを見たい。


    因みに、本書は事件の3ヶ月後に出版され、サルコジ大統領を始め多くの登場人物達が地団駄を踏んで悔しがったに違いない詳細なエピソードに溢れている傑作であったが、著者デュリュック氏は政治やスポーツにおける権力によって葬られるどころか、かえってその権威と影響力を高めた所にフランス人とフランスジャーナリズムの健全さが現れていると思います。


    日本じゃこうはいかないだろう。

  • ハルバースタムのような克明な取材と独自の視点に基づく良質なドキュメンタリー。
    数多の組織崩壊にも通底する内容であり、まさに「盛者必衰の理」を著しているかのよう。

  • 2010年サッカーワールドカップ南ア大会で、フランス代表のアネルカが、大会途中で追放処分になり、それが選手の練習ストライキ、予選敗退とチーム崩壊につながった内幕を描いた本。

    最初は、もったいぶった言い回しを読み辛いと感じていたけれども、中盤以降のドロドロとした人間関係と組織崩壊の描写は読み応えがあった。リーダーシップを学ぶ上でのよい教材になると思う。個性的な集団を率いて結果を出すために必要な要素を、逆説的に痛々しいまでの崩壊過程を見せつけることにより、浮き彫りにしていく。

  • サッカーフランス代表=レ・ブルーが空中分解した事件を色々な角度で分析した良書。
    犯人が誰と断定せず、事実、経緯などを紹介しつつ筆者の意見、推測も混じえて事件を紐解いていきます。
    折しもサッカー日本代表でも同じような事態が発生したのは記憶に新しいはず。
    フランスに習えば今回のような事態から代表チームが完全に復活するためにはかなりの時間がかかりそう。
    読めば読むほど日本サッカーにとって大きな損失になったのではないか…と気持ちが落ち込みました。

    関係ないですが、バルサに行って以降のアンリがどうにも好きになれなかったガナーズこと私はこの本で描かれるアンリの立ち振る舞いにはとても納得です。
    だからあまりフランスでも英雄扱いされてないんだろうなぁと思いました。

    今のスポーツ業界の裏が感じられる一冊でした。

  • 選手たちのエゴの凄まじさと、記者の綿密な分析に驚いた

  • 2010南アフリカWCでのフランス代表の崩壊の有様を。
    翻訳本だからか、うーんって表現も多いんだけど、チームとしてどーしようもなかったことがわかります。
    やっぱりドメネクを続投させたのが悪かったんだなと言う結論。

  • 2010年の南アフリカW杯で起こった、前代未聞のフランス代表の練習のストライキにまつわる真実。

    そこで起こったことは結論だが、そこまでの人間関係は本当にいろいろなことが積み重なって起こったことがわかる本だった。黒幕や陰謀があるわけではなく、代表監督の人選、権力者、選手のそれぞれの個性や我が儘、などが本当に複雑に絡み合っている。

    本書が出たときには次期代表監督として、ローラン=ブランへの期待へとなっているが、現実にはユーロ後に退任、今はデシャン監督となっている。一時期は世界一と言われた レ・ブルーの今後が気になる本だった。

    訳書なのでどうしても、訳書らしい読みにくさが一部あったことと、当時のレー・ブルーの代表選手の名前と基本的なプレイスタイルくらいがわからないと登場人物が理解がないので読みにくいと思う。

  • 南アフリカで行われた選手達によって行われたストライキ。この書籍は其処に焦点を当てるだけでなく、どれだけフランス代表に関与してきたか、そして、過去にも選手の我儘な行動だったり、権力のある人間が口を出している事が理解できる。ただ、ボイコットの件には、選手とマスコミ間で軋轢を生みだした事でより深い問題にまで発展したのかもしれない。そして、以降ブランが就任しても、NDA主催の青少年の育成に関、移民問題でブランが出席した発言がリークされたり、新たな会長が、当初はブラジルW杯までの契約を考えていたにもかかわらず、EURO直前になって魅せるフットボールで勝利を求められ、結果準々決勝で敗退。ブランは辞任した。そして期間中にはナスリがジャーナリストと喧嘩し、エムヴィラが握手拒否、ベナルファがドレッシングルームで携帯を使い指揮官に咎められたら歯向った事が明るみになったりと、全く変わらないレ・ブルー。今はデシャンが指揮官となっているが、U21で深夜外出により、将来を嘱望されていたエムヴィラが2年間の出場停止を与えられたりと、レ・ブルーに関わろうとするすべての人間は変わっていないだろうし、06年の様に、チームがチームになるのは少なくともまだ時間がかかるのかもしれない。

  • あの2010年のフランス代表になにが起こったのか。
    この本を読めば、その実態が分かる(それなりに…)

    強すぎる個の存在、次第に仕事を放棄していく監督、
    責任感の無い協会…とずっと続いてた負の連鎖が、
    よりによって大会中に表面化し、鎖は途切れてしまった。

    真実は何処にあるのか分からず、疑心暗鬼が横行し、
    手の施しようのなくなった組織ほど、醜いものはない。

    組織を運営する、作り上げる事がいかに難しいか。
    リーダーシップ、運営管理が適切に発揮されない組織は
    どうしようもない。

    一番大事なのは、しっかりと責任を取る、
    責任を取ることを表明すること。

    普通の事をスマートにやれば良いのに、
    各々のプライドや計算がそれを邪魔する。

    日本代表が本当に強くなった時、
    こうならないように祈る。

  • 2010年のW杯南アフリカ大会期間中にフランス代表のニコラ・アネルカがチームから追放させられたのは誰もが知っているところですが、フランス代表に何があったのかを、如実に示しているのが本書です。

    フランスの大衆スポーツ紙:レキップの記者である著者ヴァンサン・デュリュックがW杯期間中だけでなく、その数年前からの出来事を追い、当事者だけでなくフランス代表に関わる大多数の関係者から情報を集め、時には擁護しつつも時には厳しく切り捨てているとても奥深い内容です。

    そしてドメネクの後を継いだ98年W杯優勝メンバーであるローラン・プランへのレ・ブルー再建の期待で最後は締め括られています。

    “犯人追及”という内容をあまり好まない方には、もしかしたらお勧めできない内容かもしれません。

  • 祝・EURO2012開幕記念、欧州代表関連本の第二弾はフランスだ。

    話は遡ること2010年南アフリカでのW杯。W杯の最中にも関わらず、選手が首脳陣と揉め、前代未聞の練習ボイコットにまで発展するという、世界に恥を晒したフランス代表チーム。この事件と言えば思い出すのが、BBCで放送されたDave Hensonの名曲"At Least We Are As Not Bad As France"だ。事前の期待とは裏腹に情けない戦いをしたイングランド代表を揶揄する曲だが、「でも俺達はフランスほどは酷くない」と比較の対象として歌われるている。

    当時の日本での報道(プラス英字圏ニュース)を中心に見ていると、事件は予選リーグ緒戦のハーフタイムにドメネク監督に罵詈雑言を投げつけたことでアネルカが代表から追放され、それに対して選手がその追放処分に異議を唱えたという構図になっているが、事件は必ずしもそうではないようだ。

    アネルカの監督批判は事実だが、それがあった夜にはフランスのレ・キップ紙がそのアネルカの発言内容を詳細に報道することが選手達の知るところとなり、ロカールームでの発言を監督が漏らしたのでは無いかと疑心暗鬼になった選手達が監督への攻撃姿勢を強めたということのようだ。つまりアネルカ発言とその後の処分は容認するにせよ、ロッカールームでの出来事はロッカールーム内で解決するのが絶対で外部報道機関にリークするやり方が気に入らなかったようだ。

    更に、練習ボイコットの日には練習会場からTV生中継が予定されており、図らずも一部始終がフランス全国に生中継されてしまった事が輪をかけてしまい、事態を穏便に収拾するどころか火に油を注いだ形になったようだ。

    本書はボイコットにまで導いた各選手の役割、特に主将のエブラやTV中継に無理矢理飛び入り参加して自己中心的な主張をしたリベリ、陰で糸を引いたと思われるベテラン選手のアンリやギャラス、冷静さを完全に失ったドメネク監督の失態、連盟幹部の無責任さなどをあらゆる角度から検証している。事件の真相もさることながら、現代のフランス・サッカー界、そして特に金と権力に影響される欧州サッカー界全体にも通じる問題が全て浮き彫りになっているとも言える。

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