航空機事故に学ぶ 危険学の視点

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 51
感想 : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062177498

作品紹介・あらすじ

「事故当時、私は米国西海岸のワシントン州シアトルにあるボーイング社でJALからの研修生として機体構造強度計算部門で働いていた。(中略)1985年8月12日は月曜日だった。いつものように、朝6時ごろ起き、テレビのスイッチをひねった。すると突然画面いっぱいに「鶴」のマークが現れてきた-」航空技術者として、また安全の責任者として長年現場で格闘してきた著者が語る、技術と社会、技術と人間の接点で起こっている真実。

感想・レビュー・書評

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  • 最近は国内航空会社での大きな事故は起こっていない。 それは航空機の進歩及び技術の進歩によるところが大きい。 それでは事故件率がゼロになることはない。 それを限りなくゼロに近づける進歩が今後更に進むであろう。

  • 以前、ジャンボジェットが問題があってどうのこうのという時に話に出た本を今更読んでみた。
    航空機事故の観点から、社会に潜む危険を論じる『危険学』というものについて書かれたもの。
    航空機のみならず、3.11後の原発の話なども含んでいる。

    メインは航空機事故なので、御巣鷹山など、非常に痛ましい事故の紹介が多く、正直飛行機に乗りたくなくなる内容である。まあ、本文中では最近の飛行機事故の確率の低さも当然言及しているわけだが…

    全体的に分かりやすく、色々な危険を航空学の観点から見るという斬新な考え方でおもしろかったが、問題が1つ、表やグラフが非常に分かりにくいということ。
    この危険学自体、ディスカッショングループの発表のまとめのようなものらしいので、表などはその発表中に用いたものを使っているわけで、つまり言葉で詳しく説明したであろうものがいきなりポンと出てくるので見ただけではわからないものが多かった。

  • 【配置場所】工大選書フェア【請求記号】687.7||K【資料ID】91123570

  • 1985年に起きた日航ジャンボ墜落事故は、その前の修理ミスが原因だった。しかし、もはや全体のシステムを誰かが理解しているという状況でなくなってしまった現在、こうした問題はどこで発生してもおかしくない。
    コンピュータシステムにしろ、航空機にしろ、多くのパーツを分業で進めて統合するのが巨大システムの開発である。当然、司令塔はいるが、司令塔は詳細まではわからないので、パーツ間のつなぎ方だけを決めて、パーツの詳細までは理解しない(できない)のが普通である。また、このパーツの開発も多国籍になり、コミュニケーションも難しくなっている。こうした状況で、いかに事故を防ぐのかは非常に難しい問題だ。
    著者は事故当時、日航の技術者。事故の直接の原因はどうして?と感じさせられるものだが、これが巨大システムの中で起こるべきして起こっていることがわかりやすく説明されている。現代はこの複雑さの上に微妙なバランスで成り立っていることを知るにも良い本である。

  • リスクについて、法律、経営、メディア、社会など、技術以外の様々な側面からも考察されている。「効率を上げるというのは、安全マージンを少しずつ削っているということである。」「起きてはならない故障が、いずれも起きている」想定外を言い訳にしてはいけないことが分かる。

  • 組合に対してバイアスがかかっているところや、自慢話があったりするものの、おおむね納得できる内容。
    目新しさはないが、改めて組織のなかで安全を守ることの難しさを認識させてくれる。

    ・安全に対するリソース(人・モノ・金)を継続的に確保する
    ・組織の隙間に注意する
    ・人は目に見えるものに引きずられる。
    ・経営は厳しくなると余裕がなくなり、表面的、対症療法的、短期間的思考を選択しがちになる。
    ・平時こそ不測の事態、想定外の事態に対する備えが大切
    ・元があり予兆があり結果がある。予兆をこまめに見抜いて、結果が出る前に元を断つことが大切。
    ・危険が存在していてもこれを感知できるか、できないかは、企業の安全文化による。
    ・安全活動は、即効性がなく、目に見えない。正解、ゴールのない永遠の活動である。

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著者プロフィール

小林忍
1973年生まれ、茨城県出身。芝浦工業大学大学院工学研究科修士課程材料工学専攻修了。同大学材料工学科超伝導材料研究室実験助手を経て、現在、理工数学研究所主任研究員。

「2020年 『ひと目でわかる テクノロジーのしくみとはたらき図鑑』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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