- 講談社 (2012年5月25日発売)
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感想 : 89件
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Amazon.co.jp ・本 (290ページ) / ISBN・EAN: 9784062177641
作品紹介・あらすじ
「これは、私の書いた『東電OL殺人事件』を超える事件だ」――著者。殺人3件・未遂多数。北海道・別海町の名家に育った女が、男たちを次々と毒牙にかける――女と男の闇を射る佐野ノンフィクションの真骨頂! あなたも、木嶋佳苗の魔力から逃れられなくなる。昂奮のサスペンス・ノンフィクション。戦後犯罪史上ナンバーワン「首都圏連続不審死事件」の全てを描いた力作!
●昂奮のサスペンス・ノンフィクション
・木嶋の祖父の遺言になった「決定的証言」
・事件後に生き残った男の恐るべき現在
・木嶋の「本命恋人」が私に見せた素顔
・百日裁判「新聞が報じられなかったこと」
・徹底取材 木嶋家四代に遡るロードムービー
●私たちはこの事件からなぜ目が離せないのか。それはおそらく、この事件に関心をもつすべての人が、木嶋佳苗に、そして木嶋佳苗にだまされた人に、いくらかずつ似ている自分に無意識のうちに気がついているからである。――本文より
感想・レビュー・書評
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東電OL事件を書いた人のだから読んだけど、東電OLの本ってこんなに独善的で頭が悪そうな文章だったっけ?と最初から不安で、最後まで変わらなかった。
ノンフィクションなのに合間合間で挟んで来る著者の、明確な論拠もなく「〜に違いない」とか言ってみたり、いきなり「んなわけねーだろ!」と突っ込んでみたりっていうセリフに寒々しい気持ちに。
コラムニストという肩書きの北原みのりが書いた、木嶋佳苗は毒婦ではないというスタンスの本も読んだけど、コラムなら裁判の傍聴がうまくできてなくても、裁判以外の取材で得た情報がなくてもしょうがないし、著者の勝手な意見や評論もそりゃあるだろう。週刊誌みたいな下世話な書き方なのもしょうがない。
こっちの本はコラムでもエッセイでもないのに幼稚な構成と文章で読んでて嫌な気持ちになった。せっかく事件の当事者達のルーツを探る取材をしてるのに、ワイドショーで終わってる。
東電OLの本もこんなにひどかったのか確かめるべくまた読んでみようと思った。
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作者のアクで実像が見えにくくなっている気がした。
木嶋受刑者の画素数の低い顔写真を引き延ばして使用した表紙は夢に出てきそう。 -
著者の偏見が多くて、読んでいられません。
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趣味の悪い本を読んだ。「睡眠薬と練炭を使った首都圏連続不審死事件は、『東電OL殺人事件』以来、久々にアドレナリンが噴出する事件だった。」(p.284)と書く著者って…正直と言うか,何というか。今までにない殺人事件に,魂が揺さぶられたらしい。お,お爺ちゃん…。
東電OLの被害者を「大堕落した”聖女”」,木嶋佳苗を「悪魔に魂を売り渡したとしか思えない”毒婦”」と対比的に評してる。
二部構成で,第一部は木嶋佳苗の故郷での聞き込み,第二部は裁判。 「第二部の傍聴記は、徹底的に散文精神にこだわって、裁判で明らかになった事実だけを冷静に伝えるようにした。」(p.285)と言ってるけど,ど・こ・が??って感じ。全然冷静でない,偏見に満ち満ちた,いつもの佐野節。
冷静に書いたという「第二部 百日裁判」は初公判ののっけからこんな感じの記述が続く。 「どこにでもいそうなおばさんに不釣り合いな化粧を施した顔には、昭和の香りが濃厚に漂っていた。時代からひとり浮いたそのずれが、木嶋の異常さを一層際立たせていた。」(p.71)
「付き合った男の死体の写真を見せられても、眉一つ動かさない。木嶋佳苗はやはりとんでもない”モンスター”だとあらためて思った。」(p.76) 「木嶋の陳述はことごとく、できそこないの”ハーレクイン・ロマンス”を読まされているようで、鼻白むほかなかった。」(p.85) こんな調子。
いったいどこが「裁判で明らかになった事実だけを冷静に伝えるようにし」ているんだろうか? そして木嶋佳苗への嫌悪感を蜿蜒と書き連ねてきた挙句に,死刑判決に対してもネチネチ苦言を呈する。なんだこの全能感は…。判決の量刑理由の記述をつかまえて,「あまりにも感情的に過ぎる」はないだろう。
「被告人は、当公判廷において独自の価値観を前提に不合理な弁解に終始するばかりか、各被害者を貶める発言を繰り返すなど、真摯な反省や悔悛の情は一切うかがえないことも併せ考慮すると、被告人の刑事責任は誠に重大である」という文章のどこが「感情的に過ぎる」のか意味不明。
「こんな文章テンプレだ」というなら分かるんだけど。 あと裁判員が記者会見で,「達成感がありました」と言うのを聞いて,それに対する反感を表明しているが,その口が言うかという感じだなぁ。著者のは「達成感」ではなくて「重苦しい徒労感だけ」だったそうだが。
佐野眞一って盗用・盗作でだいぶ批判があるらしいね。 盗用された溝口敦氏の文章→ http://t.co/FlpYhIxE 謝罪のはがきもアップされてる。 -
「毒婦たち: 東電OLと木嶋佳苗のあいだ」( http://bit.ly/1o2T800 )を読むために読む。
清水氏の事件ノンフィクション(http://bit.ly/1q0QEOF)を読んだあとで、これを読むと「ええー、こんな調査でそれを言い切るのか?」と思える雑さに素人ながら苦笑。
ただまぁ、この本は裁判と同時進行で書かれた雑誌の連載をまとめたもののようなので、裁判までに取材に動ける日数というのが極めて少なかったんだろうな、と贔屓目に見たとしても、「だから、マスコミは嫌いなんだよ」と言われそうな典型的な取材なのが笑えるし、そんな情報でそんなステレオタイプな判断していいのか?と私でも思った。
佐野氏は女性を扱わせると最悪にヘタクソだな。(^^;)
ただ、裁判傍聴記録のところは、先に読んだ女性が書いた記録(http://bit.ly/1oyhy5b)と取り上げるところが若干違っていて、なるほどやはり気を引かれるところは人によって違うのだな、というところだけは面白かった。 -
木嶋佳苗のことを書いた本だったが、世の中には本当にさみしい人が多いのだと思ってしまった。そんな人たちをだます人がいてこれからの世はどうなっていくのだろうと暗い気持ちになってしまった。
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本人の口から事件について正直に語られることがない以上、掘り下げ不足な気がするのは仕方がないことなのかもしれない。
ただ、それだけに過剰に盛り上げようとするやり過ぎな印象は強く残った。 -
この人が捕まった時に誰もが「どうしてこんな人に?」と思ったでしょうがなるべくしてなったんだなと言うのが素直な感想です。宮崎勤のノンフィクションを読んだ時にも思ったけど犯行に及んでるときは別人格なんだろうな。まぁただすごい女性だってことはよくわかりました。
著者は以前東電OL殺人事件のルポも書いてたけどなんか鼻につくところがあるんだけどなんだろう? -
北原みのりの「毒婦」を読んだので、同じ事件を男性はどのように記述しているのか知りたくて借りた。
別海町の父の死について付近住民からの聞き取りでは、木嶋佳苗が父を殺したのではないかという噂を書いているが、その父の死に佳苗本人は葬儀に出なかったのか、それはなぜか、など疑問が残る。 -
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木嶋佳苗の事件関係の3冊目、毒婦、butter についでの連続読了となりました。流石に3冊も読むと重なるところがあるものの、この本で明かされる真実もあり興味深く読めた。
木嶋の、残忍性は一番よく描けている。
木嶋の心理には一番迫っていない。
現場にはよく取材している。
ネット初期の出会い系を利用した犯罪である事が強調されている。
三冊読んだのでこれで満腹。もうこの事件はいいです。
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タイトル「別海から来た女」とのことで、木嶋佳苗の故郷別海で取材されているのだが限界があったのだろう。木嶋佳苗が虚構の中で生き犯罪に手を染める生き方をするに至るまでのルーツに焦点を絞りきれていないと思った。小学生の時には知人宅で通帳を盗むなどそのパーソナリティは確立されている。それまでに関わった大人、特に虐待をしていたという母親周りの掘り下げを期待したが。。
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気持ちの良い本ではないですが、これが真実なら本当に怖い。
何より裁判官の「達成感がありました」は、裁判官が描いたストーリー通りになったとも受け取れます。こういった先入観を持った人に裁かれるのはもっと怖いですね。冷静に判断してほしい。 -
表紙とタイトルのインパクトが凄い。ノンフィクションなのだがちょっと著者の先入観が強過ぎる。確かに許されざる犯罪者なのだがこの人の容姿に対する偏見がかなり悪意あって何だかな…。色んな意味で色々とキツイ一冊だった。
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「消された一家」「女帝 小池百合子」の系譜にあたる本です。
冒頭にも何回か出てきますが、彼女は間違いなくなんらかのパーソナリティ障害を抱えた人物でしょう。その事実を踏まえた上で、自分の周囲を見回してみると、このような人物は決して珍しくないような気がします。なんだか別の世界の話のように感じてしまいますが、落とし穴は意外と身近なところに潜んでいるのかもしれませんね。
個人的には彼女とヤマギシ会の関係をもうちょっと掘り下げて欲しかったかな…。というのも、ヤマギシ会の理念は、彼女が犯した罪の価値観と非常に似通っている部分があるからです。彼女がもし本当にヤマギシ会に入っていた時期があるのだとしたら、多感な子供時代に、あのような病んだ組織から影響を受けたのだとしたら、、、そう考えると、彼女の支離滅裂な犯罪歴のひとつひとつが繋がって見えるような気がするのですが、実際のところはどうなんでしょうね。 -
図書館で。
BUTTERを読んで、練炭犯罪の犯人もブログやったり色々してるんだ…と知り借りてみました。
なんだか著者が犯人に対して攻撃的すぎて読み切れませんでした。なんて言うのか些細なエピソードでも先入観があると、そういう風に見えてしまうというのはあると思うんですよね。確かに何故?とは思いますし、被害にあった方の事を思うと義憤にかられる思いもわかるのですが、幼少期から悪意があっただの、サイコパスとまで書かれるほどでもないのかな、なんて自分は思いました。
男性の方が潜在的に彼女や彼女の犯した犯罪に対する恐怖は強いんじゃないかな。自分にとって無害というかどうでもよいヤツ(不美人・太っている・無職・若くない・女性)に脅かされるのが耐えられないのかな、と思ったり。別に彼女の犯した犯罪や彼女自身を擁護する気はさらさらありませんが、ここまで取りざたされたのは、そういう男性優位という神話が覆されたことに対する怒りと恐怖があるのかな、なんて思いました。 -
先日読んだBUTTERがすごく良かったので、ノンフィクションを読んでみた。木嶋佳苗の家族のルーツとか、裁判での答弁とか、そういった部分はたしかに面白いんだけど、結局この著者の中に流れているのは確固とした女性蔑視とルッキズムだし、こう言う人がいるから木嶋佳苗みたいな女性が出てくるのではないかな…とすら思う。「こんな感情的な判決文を書くのはあの28歳女性裁判官に違いない」っていうくだりのところ、嫌悪感バリバリで気持ち悪くなった。
この本よりも、BUTTERの方が真実に近いのでは?という気がする。
裁判での答弁を読めば読むほど木嶋佳苗という人がどんどん分からなくなる。本当は何がしたくて何を感じていたのか、きっと解明されることはないし、本人も分かっていなかったのかもな… -
連続不審死事件の犯人、木島香苗の人生と裁判を追ったノンフィクション。
別海って北海道の地名なのだけど、もうこのタイトルから面白い。
小学生で隣人の銀行通帳を盗むなど木島香苗の半生はエキサイティング過ぎる。美人でないけど上品さと不思議な魅力を持った木島香苗は上京し、男達を毒牙にかけていく。彼らもまた一風変わった人生を歩んでいた。
圧倒的な面白さの前半から、後半の裁判部分はやや単調か。木島香苗の謎は裁判では明らかにされなかったと言えるのかもしれない。。。
著者プロフィール
佐野眞一の作品
