ともにがんばりましょう

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 185
感想 : 41
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  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062177825

感想・レビュー・書評

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  • 塩田武士の新刊であちこちの書評でも結構良い評判をとっているが、会社物語。内容は新聞社の秋闘交渉を機に組合活動に引きずり込まれた一人の記者が、交渉の過程を目の当たりにして成長していく過程を描くものだ。

    著者はかつて神戸新聞者の記者であったことから、恐らく当時の経験が少なから本書に反映されているであろうとは容易に想像がつく。だが、果たしてこうした組合物語が今の時代にどれだけ通じるのであろうか?個人的には今から30年前に就職した会社がこういう組合活動をやっていたという記憶が残っているが、その後同社を辞めてからは一度もこうした組合活動を身近に感じたことは無いし、社会的にも既に組合活動は完全に過去のものになっているではないだろうか。

    作者が敢えてこの時代に組合活動の教科書的な内容の小説を書いているのか意図が良く判らないが、失われてしまったものへの郷愁を誘う目的だったのだろうか?それとも真面目に本書で語られる組合活動内容とその議論の的である一時金、深夜労働手当などに何らかの意味を持たせようとしているのだろうか?

    まさか逆に、夜間8時から10時までの間の新聞社の「深夜」労働割増金について不当に高待遇であると世の中に訴えるために本書を書いているとも思えない。新聞社の常識がどれだけ世の中からの乖離しているのかの距離感が掴めていないのではないかという違和感がつきまとって離れない。

  • 上方新聞記者の武井涼は、強引な上司の誘いで労働組合執行部に加わることに。恐る恐る足を踏み入れた未知の世界は、強烈な個性の執行部員と、深夜手当のカットを目論む会社との、怒涛の戦場だった!

    登場人物たちのキャラは立っているけれど、地方紙の労組は私には特殊な世界過ぎた。読者を笑わせようとして力み過ぎている文章も鼻についた。
    (D)

  • 労働組合を描いた物語。団交がひたすら続き、読んでいる方も疲れちゃう。
    しかも、残業代カットとか普通に行われているこのご時世に、ここって、すごく恵まれた職場に思えるんですが・・・

  •  もしも宝くじで6億円当たったら私たちは働くのだろうか?1億円なら当然働くと答えるだろうが、6億円となると一生暮らしていくには十分すぎる金額だ。労働の目的の代表的な理由として、私たちは就職活動のさいに「御社を通じて、こういう事をしたい」、「社会に貢献したい」と語る。しかし高校、大学を卒業して就職してお金を得るという敷かれたレールに沿って走っているだけの人は多いだろう。だから給料は多いほど嬉しい。

     相反して会社にとって、賃金とはコストでありカットする項目の一つである。近年大手のメーカーなどで何万人削減というニュースを頻繁に聞く気がする。会社員と経営者は根本的に同じ方向性を持ってビジネスを進めていく必要があるが、その方向性が一緒のようでずれて平行線になっていたり、全く別のベクトルに向かうこともある。本書では、経営陣VS労働者という泥臭い部分が書かれている…。

     音楽を愛し揉め事を嫌う気弱な新聞記者、武井涼。憧れの文化部への異動をエサに、組合執行部に入るよう口説かれる。恐る恐る足を踏み入れた未知の世界は、怒濤の洗浄だった――!五百名の組合員の声を背負うプレッシャー、百戦錬磨の経営陣の圧力と迫力に押しつぶされそうになりながらの必死の戦い。「20年後、うちの会社残ってると思うか?」『盤上のアルファ』でのデビュー以来、最注目の新人作家が新聞社を退社して書いた渾身の長編小説。

     私事ですが社会人一年目なので、労働組合と経営陣とのやりとりに関して全く見当もつかない。しかしながら、著者自身が新聞社で働いていたこともあり、ストーリーに生々しさが感じられ、話が受け入れやすい。ストーリーが扱うテーマ自体が地味なので、読んでいて楽しくはないかもしれない。

     働くっていうことは何なのか私はまだ23歳なのでわからないが、守るべき人ができたらお金も大事になってくるのかもしれない。あと10年くらいたったら読んでみて感じるところがあるかもしれない。

著者プロフィール

1979年、兵庫県生まれ。神戸新聞社在職中の2011年、『盤上のアルファ』でデビュー。2016年『罪の声』で第7回山田風太郎賞を受賞し、“「週刊文春」ミステリーベスト10 2016”国内部門第1位、2017年本屋大賞3位に輝く。2018年には俳優・大泉洋をあてがきした小説『騙し絵の牙』が話題となり、本屋大賞6位と2年連続本屋大賞ランクイン。2019年、『歪んだ波紋』で第40回吉川英治文学新人賞受賞。2020年、21年には『罪の声』『騙し絵の牙』がそれぞれ映画化された。

「2022年 『朱色の化身』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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