- Amazon.co.jp ・本 (36ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062177955
作品紹介・あらすじ
主人公の少年は、池のほとりであったふしぎな白い馬に導かれるままに、アルプスをこえ、オーストリアの美しい街を旅します。そして、ザルツブルグにたどりついたとき、白い馬は、「わたしはこの街で生まれた」と告げます。主人公を芸術の道に導く白い馬とは……。名画を読む絵本。
感想・レビュー・書評
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白い馬
2017.07発行。字の大きさは…大。
東山魁夷さんの版画を見たのは、40年以上前から北鎌倉の円覚寺で毎週座禅を組んでいました。その翌日に、鎌倉山か…で見たのが始めてでした。凄く印象的な版画で、いまでもその時の記憶が残っています。
ページを開けていくと、静けさと、深み、そして心が落ちついて来ます。
表紙の「緑響く」は、他の絵と比べると白い馬が一頭いるだけで、違った奥行きと、静けさと、深みを感じます。
そして胸が騒ぎだします。
なにか、行かなければいけないような……。
2021.01.07読了詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ちなみに、この作品は、やまさんの感想を読んで、出会うことができました。やまさん、いつもありがとうございます。
東山魁夷という、素晴らしき風景画家の存在を初めて知り、とりあえず、「プラーハ」と「第39番」を聴きながら(ピアノ協奏曲は家に無かった)、何度も何度も眺めては、溜息が零れ、私の心が絵の中に入りこみそうな錯覚を覚えるくらい、魅入られてしまう。雄大で幻想的で涼しげであるのに加え、明るい気分にもさせてくれる。
また、表紙の「緑響く」は、白い馬が一頭いるだけで、また違う雰囲気を感じました。他の絵と異なり、森の木々と、湖面に映ったそれらだけを接写しているせいか、幻想性がより増しているようにも感じられます。吸い込まれそうな美しさ・・
静寂の中、唯一聞こえる馬の足音。そのリズムを包みこむような、オーケストラの響き。絵画と音楽の自然な邂逅という解釈にも納得できましたし、それぞれが重なり合うことで、作品の新たな一面を知ることもできるのだなと。 -
たまに東山さんが描かれた緑の色彩にふれたくなります。圧倒されっぱなしの作品が多いですが、こちらの本の表紙の馬に心惹かれ、絵本だったら思った時に開けるので、買いました。池のほとりの白い馬に導かれ旅をする。物語よりやはり絵がメインです。絵画と音楽が好きな方にはオススメかも。
巻末の解説が参考になります。 -
表紙にもなっている東山魁夷の「緑響く」という作品に惹かれ読了。文章を読み始めたくらいから、うつくしい音楽を聴いているときと似た感覚を覚えたが、解説にて魁夷がモーツァルトの音楽にインスピレーションを受けて描いた連作と知り腑に落ちた。特に湖面の描き方、緑色の使い方、詩的な言葉のリズムがとても美しいと感じる。
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青色がかった静かな景色と、優しい存在感を放つ、白い馬。
あ、きっと夢の中だと思ってしまう幻想的な文雰囲気が漂っている。
舞台はモーツァルトの故郷オーストリアだった。
画家の東山魁夷は戦前生まれの日本画家だが、ヨーロッパの風景画も数多く残していることを初めて知った。
私もアルプスの壮大な自然と、音楽文化に彩られた美しい街へ一度行ってみたくなる。 -
日本画家の大家・東山魁夷氏の連作、『白い馬』シリーズを幻想的な物語調に仕立てた絵本。
主人公の少年は、深沈たる森の池の畔で、不思議な白い馬と出逢う。
その馬に導かれるまま、ドイツ・オーストリアの街を旅するうちに、少年は、馬の正体と、己(おの)が進む道を見出してゆく。
東山作品の清浄な透明感、柔らかいタッチ、世界と自然に対する敬意、品格漂う空気が全面に満ち、まるで音楽を聴いているような心地になれる。
寧ろ大人向けと言える、とびきりの『名画を読む』絵本。 -
東山魁夷がモーツァルトを好んで聴いていたこと、知らなかった。魁夷の「白い馬」は有名で観たこともあるけれど、このお話とこの解説を読んでもう一度観たいと思う。
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東山 魁夷 (著), 松本 猛 (著), 東山 すみ (監修)
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東山魁夷の白い馬の絵を見たくなったので、検索していて見つけたもの。いわさきちひろの息子さん松本猛氏が「緑響く」を中心に、ドイツオーストリアで描かれた絵を並べ、魁夷の心情を思い、文章を書いたものだそうです。少年が白い馬に導かれ、背に乗って色々な風景と出会います。最後にある解説を読んで理解すると2度目はまた違ったイメージで楽しめました。私は白い馬を見たかったので白い馬からの風景というイメージではほとんど馬が出てこなかったのは残念でしたが、日本の風景でなくても魁夷の絵は静かで優しかったです。