ハンナの記憶 I may forgive you I may forgive you
- 講談社 (2012年7月27日発売)
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感想 : 19件
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Amazon.co.jp ・本 (242ページ) / ISBN・EAN: 9784062178068
作品紹介・あらすじ
I may forgive you.(許してあげてもいい)
波菜子のおばあちゃん・静子のもとに届けられた謎のクリスマスカード。差出人の名はハンナ・フォックスとあった。
痴ほうの初期症状が現れ、一週間後には施設への入所が決まっているおばあちゃんは、まったく身に覚えがないと言うが、波菜子はおばあちゃんとハンナが第二次世界大戦中に交わしていた秘密の交換日記を見つける。
ハンナはイギリス人とのクォーターで、おばあちゃんの親友だったのだ。
横浜の山手に住み、おばあちゃんと同じように女学校へ通い、日本を母国と思っていたハンナは、戦時中、敵国人の血が流れているという理由で、自由を奪われ、神奈川県厚木市での抑留生活を強いられていた。
手を伸ばせば届くようなところに、帰るべき家があるのに帰れない。うちに帰りたい。
交換日記には、つらい日々を送るハンナの思いがつづられていた。
それは、東日本大震災に伴い発生した福島第一原発の事故で、避難を強いられた人たちと、奇しくも同じものだった。
打ち切られた交換日記と、クリスマスカードの謎を、大震災後の混乱のなか、波菜子は何かに急き立てられるように追っていく。
その先に、ハナという愛称で決して呼んではくれないおばあちゃんとの、目には見えない壁を越えられるかぎがあるような気がして……。
敵国人抑留という史実を織りこみながら描かれたフィクション。
みんなの感想まとめ
テーマは、戦争と人災によって失われた居場所を持つ人々の物語であり、現代と過去が交錯する中で、祖母と孫の絆が描かれています。特に、祖母の交換日記を通じて、戦時中の抑留生活を送ったハンナの苦悩が浮き彫りに...
感想・レビュー・書評
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現代と過去、戦争や人災(この場合は原発)によって住まいや祖国といった居場所を失われた人々がリンクしていく構成は良いと思う。そこに67年前の祖母の交換日記のミステリーがからめている。大人目線で見るとかなりデリカシーのない主人公(波菜子)であるが、子どもだから許されるんだろうか?
「ぽぽぽぽ~ん」のくだりなどは、震災で大きな被害をうけた人たちにとっては笑えないエピソードではないかと胸が痛んだ。ちょっと残念な作品。 -
うーん…。
あの3月のことをフィクションの中に落とし込んで書いたものを、楽しむには、まだお互い早いんじゃないかと思った。
書きたいことがあるのは分かるけど、生々しいのにフィクションなのに生々しいのに、って重心がぶれて苛々する。自分にはまだ平静に読めない。ノンフィクションか、いっそ振り切ってくれた作品なら読めるんだけど。半端に、東北以外の人々の現実がちらついて集中できなかった。
この要素が気にならない人なら楽しめるのでは。祖母の女学生時代の交換日記と謎を解く云々はよかったので。 -
記憶から未来へ
戻りたくても戻れない。
深い考えなく行ってしまった言葉が、行動が、誰かの心をえぐっているかもしれない。
そう考えると自分の口から発せられる言葉が恐ろしくなってくる。
特に私は、口でよく失敗をしている。
三歩あるけば忘れてしまうなんて!
でも、だから人の痛みに敏感になろうと思える。
まだまだ、それは遠いけれど。
おばあちゃんにはハンナという親友がいた。
茶色い目の「外国人」。
二人は親友だった。
しかし戦争はそんな二人を引き裂いてしまう。
ハンナにとって日本は故郷。
生まれ育った街だ。
それを奪われてしまった悲しみが伝わってくる。
現在を生きるハンナの言葉は出てこない。
登場するのはI may forgive youという言葉だけ。
それが何を意味するのか。
そこには長きにわたる悲しみと、希望があった。
物語の背景に「3・11」がある。
人が起こしてしまった最大の悲劇。
政治が、原発が、二元論に陥りがちな背景を善悪のみで直接語らないところは評価できる。
ただ、個人的な希望としては、ハンナとシズが会えるところまでを描ききってほしかった。
そして、「とりあつかい説明書」はあえて強い言葉を使っており、著者自身の厳しい指摘だと感じた。
中学生らしい表現を描いているが、若い読者にはどれだけ伝わるだろう?
記憶は生き続ける。
嫌な記憶ほど、ある時突然フラッシュバックする。
それを残すべきなのだろうか?
本作品内での指摘もあったが、「記憶」を持つヒトとして、考えさせられる。 -
しばらく前に読了。長江さんは、たぶん三冊目。
震災と戦争を交錯させるというのは興味深かった、けれど、若者のエネルギーでおばあちゃんたちの過去のわだかまりを晴らす、という展開にはちょっと頷けなかった。当人同士が当人だからこそ踏み出せない、ということはたしかにあるだろうし、第三者があえて踏み込むことで事態が好転することもあるだろうとは思う。でも、当人を置き去りに事後承諾で進めて結果オーライでは、けっきょく波菜子の気のすむことが第一なだけな気がしてしまった。ちょっと気になったのは、波菜子がハンナへの手紙を英語で書くという部分。ハンナが日本で子ども時代を過ごしたなら、日本語で書いても読めるのじゃないかと思うのだけど、日本を離れて長いからもう読めないということ?返事が英語というのはわかるのだけども。
表紙の赤い服が目に鮮やか。 -
戦中と震災原発。祖母と孫。
内容を大雑把にいうと、祖母の戦中時代の秘めた交友や誤解を孫が解き明かし、今につなげていく。
いつまでも表面を上滑りするような感じがして私には合わなかった。 -
養護老人ホームに入居する予定の山手のおばあちゃんが、一週間ほど波菜子の
家に泊まることになった。
おばあちゃんは、認知症が始まっているってお母さんは言うけど、波菜子には
そうは思えなかった。
お兄ちゃんが、山手の家に忘れられていたと言って、一通の手紙を持ってきた。
差出人は、ハンナ・フォックス、クリスマスカードだ。
カードには、「I may forgive you.」(私はあなたを許してあげてももいい)とだけ書かれている。
おばあちゃんは知らないと言うが、その様子は、けっしてボケてはいないと思う。
3月11日の大地震で、部屋にあったおばあちゃんの荷物もくずれ、床に落ちた
灰色のノートに目が留まった。
それは、おばあちゃんとハンナの交換日記だった。
太平洋戦争が始まり、親友で混血児だったハンナの家族が日本人から隔離されて
からの、二人の秘密の日記だった。
「I may forgive you.」
この言葉の意味が知りたい。
二人の間に何が起こったのか、この日記に鍵があるはずだ。 -
2011年3月11日と、戦争の時の話があって、しかも舞台が横浜の方だったので、知ってる土地ばかりでした。主人公のハナコはハンナというおばあちゃんの元親友から届いた手紙に書かれた言葉が気になり、おばあちゃんの過去を掘り下げる物語。
前半は少し読みにくかったですが、後半から急に話が進んで面白かったです。 -
被災地以外の3.11のあとのことが書かれているので、
子どもたちに手渡すにはケアが必要かもしれない。
と思うが、意外と受け入れるのかなぁ。 -
直接の戦争体験談を聞く機会もほとんどないいま、本から知る情報は大きいなと思う。
家出をしてきたおばあちゃんに届いた外国からの手紙。
地震で崩れた荷物の中から見つけた、古い交換日記。
おばあちゃんが忘れようとしている戦争での記憶に、中二の波菜子が向き合う…。
戦時中、日本に暮らしていた外国人やその家族にどのようなことが起こったのか、物語を読み進めるとわかります。 -
著者と波菜子の思いは伝わってくるけれど、ストーリーのための強引な会話が気になって途中でしらけた。特に波菜子と工藤さんの会話とか。
それから面白い題材をあれこれと入れ込んでいるのに尻すぼみな感じで消化不良。 -
おばあちゃんの戦中の記憶と私の東日本大震災の記憶・・・
忘れないようにという思いが伝わる -
忘れてはならないことをどのような手立てで行っていくか、学生のアイデアがよかった。
著者プロフィール
長江優子の作品
