竹に紅虎

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 36
レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062178525

作品紹介・あらすじ

キリシタン弾圧の余熱冷めやらぬ江戸初期。磁器の町、肥前有田の地で、夫婦となる男女が出会った。長崎の商家の放蕩息子、二胡弾きの達人にして語学の天才・昇蔵。朝鮮人陶工を率いた百婆仙の曾孫、色絵師・香丹。数年後、愛娘・秋香を授かるが、有田焼の急激な発展にともない、昇蔵は海を渡り、香丹は有田に残ることに。有田焼に命を賭した二人の道は、抗いようもない運命の波に分かたれる-。

感想・レビュー・書評

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  • 佐賀で青春を過ごした人間として、柿右衛門というワードは非常に馴染み深く、ワクワクした気持ちで読み始めたが、よく分からないまま終わったという感じ。昇蔵と香丹が海を隔てながらも磁器という共通項で互いを分かり合うという構図は非常に面白いが、昇蔵は香丹の覚悟を理解せず色に溺れ、香丹は傑作を作るも自ら海を渡らせる努力はしない。結果的にカキエモンを見て昇蔵は香丹を知るわけだが、上記の経緯が邪魔をして感動も生じ得なかった。

  • 有田焼、柿右衛門、景徳鎮、夫婦愛、耶蘇教、イスラム。それらが様々に絡み合い壮大な物語になっている。読み応えはあるが、もう少し有田焼に特化した物が良かったかも。色んな意味で濃厚過ぎた。

  • 長谷川等伯の絵のような境地に至る「竹に紅虎」の磁器を完成させた秋香。その夫となった長崎の大店の道楽息子の昇蔵は波乱の生涯を送る。

  • 『弩』が面白くて、早く次の作品を!と思ったのだけど……

    『弩』にもあった床シーン(笑)が頻発する、というか、乱発するというか。

    そこまで入れなくてはいけない話なのかなー……と引いてしまったが故に途中挫折。

    昇蔵が中国に向かうまでの流れは良かったのだけど、そこからが流れているような……いないような。

    香丹・秋香母子の強さに目が行きがちで終わってしまった。

  • 本書のタイトル「竹と紅虎」とは景徳鎮に追いつけ追い越せ、日本独自の磁器を、と目指して出来た有田焼初期の傑作のことだ。つい先日は日中の磁器に関する「中国と茶碗と日本」を読んだばかりなので、その流れで枕元で熟成させていた本書を手にとって見た。

    有田焼の基礎を作った初代柿右衛門の弟子で、二代目柿右衛門を襲名すると周囲も認める朝鮮から磁器製造のために招かれた工人の娘である秋香、そして長崎の大店の道楽息子でありながら漢語に才を発揮し鍋島藩有田奉行・山本重澄に重宝される昇蔵。秋香の才能を助けるためにと奉行に請われ昇蔵は結婚したのちも縁の下の力持ちに徹する。ところが釉薬を手に入れようとして幕府の禁を犯し中国へ渡ったことが幕府に咎められ日本への帰国はままならす、最愛の秋香への愛と有田焼の完成を願いつつも中国から台湾、バタビヤそしてオスマントルコへと昇蔵は流れ着く。

    こんな感じの物語であるが有田焼完成に尽力した名奉行・山本重澄物語かと思うとそうではなく、独自の有田焼完成までのドラマかと云うほど磁器への思い入れは無く、夫婦の物語かというとそうでもなく、その割には時代小説には珍しいくらい性愛術に筆を奮っていると言う何とも読み方に苦労する物語だ。

    恐らく有田焼をキーワードにして当時の中国景徳鎮との競争、オランダ商人、欧州からの注文、欧州を模倣する当時の権力オスマントルコへの輸出など世界とは繋がっているんだ、という事を表現する一種の冒険物語として単純にその物語の局面局面を楽しむべきエンタテインメント小説なのかも知れない。

  • 下川博3年ぶりに新刊。
    前作「弩」があまりに面白く、今作もとても楽しみに読んだ。
    時代小説ではあるけど、かなり趣向が違う。
    類まれな色絵師とその夫、そこから始まり孫の代まで続く、磁器作りの物語。
    身ぎれいに描かれる小説が多い中で、交接・交合が随所に描かれるため、生々しい事この上ない。
    でもその生々しさが、なんだか人間臭くてついつい読まされた。 かなり時間がかかったけれど。

  • 時代小説にはあまりなじみがないのだけど、ぐいぐいと引き込まれどきどきしながら読了。
    ずっと前だけど、有田も景徳鎮も行ったことがあるのでこうやって磁器が、カキエモンが、日本で広がっていったのか、ととても興味深かった。
    この小説の醍醐味は、なんと言ってもその舞台の広大さ。
    従来の時代小説という枠に収まらない、壮大でそしてロマンティックな物語の誕生。
    昇蔵と香丹の愛の物語として本当にどきどきが止まらない、いや、どきどきというよりどぎまぎ、か。
    運命によって結ばれながら、運命によって翻弄された二人の愛が有田の磁器を護り続けたのだと、今後カキエモンを見るたび思い出すだろうな。
    そして芸術というのはまさに官能から生まれるものなのだ、とそう思う。

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