天平グレート・ジャーニー─遣唐使・平群広成の数奇な冒険

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062178648

作品紹介・あらすじ

天平五年(七三三)の遣唐使は数ある遣唐使のなかでも数奇な運命をたどったことで知られる。行きは東シナ海で嵐に遭い、四隻すべてがなんとか蘇州に到着できたものの、全員が長安入りすることはかなわなかった。それでも玄宗皇帝には拝謁でき、多くの人士を唐から招聘することにも成功、留学していた学生や僧も帰国の途についた。しかし…。第一船だけが種子島に漂着、第二船は広州まで流し戻されて帰国は延期、第四船に至ってはその消息は今日まで杳として知れない。そして第三船。この船は南方は崑崙(いまのベトナム)にまで流され、百十五人いた乗員は現地人の襲撃や風土病でほとんどが死亡、生き残ったのは四人だけだったと史書にある。そのひとりが本書の主人公、判官の平群広成である。広成たちはたいへんな苦労の末に長安に戻り、さらに北方は渤海国を経て帰国。そのとき広成はなぜか天下の名香「全浅香」を携えていたという。若き遣唐使の目に世界はどう映じたのか?ふたたび日本の土を踏むまでに何があったのか?阿倍仲麻呂、吉備真備、山上憶良、聖武天皇らオールスターキャストで描く学芸エンターテインメント。

感想・レビュー・書評

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  • 小説だけど、その時代の学者が書いているせいか、ドキュメンタリーのようで、予想以上に面白かった。特に半ばから最後までが波乱万丈、まさに冒険、グレートジャーニー。歴史小説はあまたあれど、天平時代が舞台なのは珍しいのではないか(資料が少なそうだし)。吉備真備とか阿倍仲麻呂とか、教科書でお馴染みの人物が実はこんな風だったのかと、想像が膨らむ。外交の駆け引きってこんな昔から大変でめんどくさいものだったのだとしみじみ。

  • 小中学校で習った遣唐使!こんなにも壮大な物語がかくれていたなんて、誰も教えてくれなかったなー。1200年以上も前の人々のドラマが目の前に・・・
    阿倍仲麻呂の北方の熊と北方の虎があい争いましても、東方のどぶ鼠は、どちらに味方してもよくない。という言葉は、先見の明ですね〜
    好きだった吉備真備の別の顔もみることができたし(ちょっとざんねんだったけど、この本を読んでみるとそうでもしなければ、賢者にはなれないんだなーともおもいましたね。)地名としてだけ知っていた平群という言葉。平群朝臣広成という人物も私の好きな歴史人物の仲間入りができました。
    子供達に遣唐使の話を上手く伝えていきたいです。

  • たった500字程度の遺された文(「続日本紀」)
    から
    これだけの小説にしてくださっている
    その事に 拍手

    それも 著者が愉しんで(と思うのですが…)綴っておられる
    様子が それぞれの歴史上の超有名人の描きように表れている
    ように感じました

    実に興味深く描かれた登場人物の一挙一動を横糸に
    きちんと裏付けのある歴史的な史実を縦糸に
    読み応えのあるエンタテイメントの一冊として
    読ませてもらいました

  • -天の原ふりさけ見れば春日なる三笠の山に出でし月かも-
    遣唐使として有名な阿倍仲麻呂が、日本に帰ることを夢見て長安で歌った望郷の歌である。が、本書の主人公は彼ではなく、彼を命の恩人と仰ぐ平群広成(へぐりひろなり)。ほとんど無名の遣唐使を通して、その時代の息吹を感じることができる。遣唐使としての命がけの渡航を、使命感に燃えやり遂げた彼の、逞しく成長しながら誠実に生きていく清々しさに心震える。脇を固めるのは、前出の阿倍仲麻呂、吉備真備、山上憶良、聖武天皇等、歴史に詳しくない方も知っている程のオールスターキャスト。はるか古代に思いを馳せる冒険小説。

  • 西暦733年の遣唐使、平群朝臣広成の波乱万丈のグレートジャーニー。でも一番びっくりしたのは香木の価値。

  • 「レッツ・トライ!遣唐船!.」

    天平5年総勢594名を乗せた4隻の遣唐船は唐の都長安に向けて出発した。その道程は決して穏やかなものでは無かった。中でも判官・平群広成率いる第三船は帰路漂流の末、はるばる崑崙(現在のベトナム)にまで流され、数奇な旅を続けることになる。

    物語は船大工の棟梁たちが遣唐船のための木材を諸国の名木地から極秘に伐り出すところから始まります。その作業は極秘のうちに行われたものの噂が噂を呼んで、率先してその作業を手伝うもの、見物に集まるもの、囃し立てるものなど、この国家の一大事業に大興奮する当時の人々の熱気が伝わってきます。出来上がった四隻の船にはこの時船材と建造費を出した国の名が、「安芸」「丹波」「近江」「播磨」とそれぞれにつけられたのでした。

    遣唐船と言えば今でいえば、国家の威信をかけて政府専用機を外国へ飛ばすようなものだったろうけれど、外海に出て真っ暗な海に恐れおののいたり、長安の都の大きさに驚いたり、唐の皇帝へいよいよ謁見という場面では居並ぶ各国の大使の中で最末席の日本の立場に愕然としたり…。一歩日本を出て当時の大唐帝国を中心とした国際情勢という大海に漕ぎ出したときにさらけ出る日本人のスケールのちっぽけさがなんだかとてもいとおしく感じられます。

    日本の史書である『続日本紀』にわずか300文字足らずで記された遣唐使派遣の顛末を、著者はその学識と豊かな想像力を以って、あたかも読者自身が広成とともに遣唐船に乗船して大冒険をするかのようなエンターテイメントなドラマに仕上げています。

  • たんたんとして、出来事の羅列のようで、それでいて必要なことは過不足なく伝わり、そこに生きた人々の思いも確かに感じられる、しかもさらりと書かれているがかなりの大冒険!非常に面白かった。

  • 小説としては、不出来。
    しかし、筆者の研究による時代考証や人物像は
    事実に近いのだろうとは想像できる。
    歴史をこのように お話として楽しむ事については
    とても好感が持てる。

  • 本職の小説家ではないせいか文のこなれ具合は今一つだが、題材や話の展開は面白い。
    約1500年前の人々が生き生きと描かれている。

  • 遣唐使の命がけ具合というのは想像を絶する。

    文字通りの命がけ、行きも帰りも命の保証はない。
    エンジンはおろか、羅針盤すらない時代の航海だ。
    よくまあ、こういう事業を国家予算でやったものだなあ、と今どきの視点からだとおもってしまう。
    喩えて言うなら、おまえちょっと火星まで行って来い、ただし、ロケットがうまく飛ぶかどうかも分からんし、帰りの燃料は向こうで調達してねー、という感覚だろうか?
    そういう事業に税金を投入することを、国民が納得するだろうか?
    唐から優れた諸々を学ぶ切実を、それだけ当時の人々が抱いていたということだ。命を賭けるだけの価値があると。

    遣唐使のことについては殆ど知らないので、この小説の中でどれだけが史実に即していてどれだけが作者の創造に寄るものなのかは全く分からない。平群広成という人が、艱難辛苦の末に日本に帰りついたということは『続日本記』に書かれているらしい。
    ところで、この小説に出てくる人物はどうもしみったれている。主人公たる平群広成からして、およそヒーロータイプではなく、状況に右往左往し流されるままだし、後は歴史上有名な阿倍仲麻呂や下道(吉備)真備は自分のことしか考えてないし、それ以外の人たちも小役人タイプばかりだし。
    およそ、大河ドラマ並みの冒険譚なのに、大河ドラマにはなりにくいなあ。

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