- Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062178808
感想・レビュー・書評
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奇妙な里子の条件に一致した美月と月明は湖畔に建つ湖月荘へ行くことに。里親の津田さんに迎えられるがふたりを歓迎しているようには見えない。
津田さんが留守の間に湖月荘を探り開かずの間を発見。開かずの間にあった資料には、昔湖の底に沈んだ弓月村の年中行事や風習、そして不思議な神事について書かれてあった。津田さんはふたりを湖月荘に呼んで何をしようとしているのか…?
章のタイトルとタイトルの下にある少しずつ満ちていく月の絵が私の心をくすぐる。
弓月村で昔起こった事、津田さんの過去がわかった時、津田さんのしようとする事が見えてくる。津田さんの選んだ道は正しいものではないかもしれないけど、きっと私も同じ事をすると思う。それは哀しく切ないけどハッピーエンドと思いたい。
児童書とあり物足りない感じもしたけど、この仄暗く悲しいにおいがする物語は暫く心に残るだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
養護施設で育ったみづきと、親代わりの住職を亡くしたあかり。接点の無い2人に里子の話が持ち上がり、夏の間、里親の別荘で過ごすことに。突然現れた里親候補、別荘のそばに広がるダム湖に沈んだ村、2人の少女の出生を結ぶものは?
図書館本。
読んだことのある富安作品に比べ、ぐっと大人っぽい雰囲気を漂わせている。ただ、ダークテイストでも、やっぱり富安節なわけで。
なかなか引き込まれるスタートを切り、謎また謎の展開で、ふとページを確認すると残りが3分の1も無い。えっ、これ収拾つくの?と思ったら、すごく平和な方向へ。今までのミステリアス、サスペンスフルな展開は何だったのか。私のようにホラーやサスペンスを期待すると、ガクッと来るので要注意(笑)。
2人の秘める力も、過去を探るためのツールという扱いなのも残念。まあ、本の厚さからすれば、大冒険にならないのは想像がつくけど。
里親の津田さんをもっと掘り下げてほしかったが、そうすると児童向けの範疇から逸れてしまうかなあ。 -
児童書ですがしっかりしたストーリーでしてが美月 月明の絆より母親との絆をもっと書いてほしかったです。
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おもしろかった。
謎めいた条件の中、養子候補として見つけ出されたみづきとあかりの二人は、やがて出生の秘密や里親の事情を知ることになる…。
表紙のイメージからして、ミステリアスで静かなお話になるかと思ったけど、半分外れた。みづきは正にそんな感じの美少女だったけど、あかりは実に普通の子って感じだったので、おっと意外、と思いつつおかげで安心して読み進められた部分も大きかったような気がする。 -
児童文芸賞受賞作家富安陽子さんの近頃の作品。
導入のあたりは、孤児の引き取り話とか、捨てられていた子供が、育ての親がなくなってしまってとか、昔読んだ、小公女とか小公子とかの雰囲気。
ちょっとわくわくしながら読みました。
中盤から、不思議話、そして、よみがえり話、神がかりの話と展開していきます。
終盤、無理があるかなあ。でも、まあ、こんなものかなあ。
終章は、まあ、こんなもんでしょう。
児童向けであることを考えれば、文字数もこんなあたりで抑えることもあり、描ききれないところも許すか?
でも、この本を読んで子供たちが満足するのでしょうか?
正直、もう一息、よく練りこんでほしいと思いました。 -
富安作品をあまり読んだことがないので、表紙と神様が絡むということでこれを選びました。
養護施設で育った美月(みづき)と育ててもらった住職のおじいちゃんが亡くなり行くあてのなくなった日明(あかり)。
この二人を里子にしようというのが、70歳の津田節子。
彼女が出した条件は、
1 14年前の4月の生まれた子どもであること
2 両親および血縁者がひとりもいない、あるいは所在が不明であること。
3 出生場所、出生時の状況が不明であること
4ただし出生につながる手がかりを有していて、その手がかりはなんらかのかたちで月に関連していること
二人は夏休みの一か月間、 -
あかちゃんの時に捨てられ、それぞれ養護施設とお寺で育てられた美月と月明は、14年前に捨てられ月に関する印(名前)を持つ女の子という条件で里親を希望する女性の山の家に行くことになる。初めて出会った二人は、互いの中に惹かれあうものを感じ取る。
ダムに沈む村にまつわる言い伝えを元に、過去と現在を行きつ戻りつ、二人が呼び寄せられた真相に迫る。
ミステリアスなファンタジー。