郷愁と童心の詩人 野口雨情伝

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  • 講談社
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感想 : 1
  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062179249

作品紹介・あらすじ

「青い眼の人形」、[赤い靴]、「しゃぼん玉」、「十五夜お月さん」、「七つの子」などの童謡から、「波浮の港」、「船頭小唄」などの歌謡曲、民謡など、多くの歌を作詞した野口雨情は今年生誕130年を迎えます。本書はこれを記念して出版する企画です。
今、この時期も歌い継がれ、特に失われつつある日本の懐かしい風景や、叙情あふれる言葉が、われわれを癒してくれます。
本書は、明治・大正・昭和を通した偉大な作詞家の評伝というよりは、詩作の原点になった人生の彷徨や出来事、そして数多くの歌の誕生秘話を、孫ならではの知りえた豊富なエピソードを織り込みながら綴ってもらいます。
これらの文章を増幅させるために、10年まえにキングレコードより発売した、雨情生誕120年記念CDから、本書の流れに沿った曲をピックアップして付け、記念出版ふさわしいCDブックとします。

感想・レビュー・書評

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  • お孫さんの書いた雨情伝、身内の書いたものはどうかなあと思ったのだが、これがよかった。雨情の亡くなる1年ほど前に生まれた著者は雨情の記憶はまったくなく、また著名な祖父なのでどこか客観的に雨情を見ているという。一緒に暮らした祖母ヒロ、また祖父雨情への温かい目と尊敬と、残された資料から、順を追って雨情の生涯を作品を交え分かりやすく示してくれた。三大童謡詩人と評され、詩風の違いから、あとに続く者の作品を・・雨情調、白秋張り、八十擬い、などと表わしたという。

    そしてなにより、海辺に立つ雨情生家の資料館長としてあの東日本大震災の中を資料を2階にあげて守り、くるぶしまで水につかりながら高台に逃げたというその中でこの本を書いている。今は復興しているようでぜひ訪ねて行ってみたい。読んでみるといろいろあった雨情の生活、そして周縁の人々の暮らした磯原を見てみたいと思わせる本だった。

    う~んしかし、雨情も罪つくりな男だなあ、というのが読後感。表紙の若いころの写真はなかなかの好男子だ。最初の妻ヒロ、福島湯元温泉の「まち」、二度目の妻の「つる」。楠正成ゆかりの由緒ある家、それを守るために、ヒロは離婚したにもかかわらず雨情家へ戻り、ひとりで長男、長女を磯原の野口家で育て、その孫が著者だ。一方雨情は離婚したあと水戸でまちと再婚し、その後詩作が認められる。しかもヒロとは子供の行く末など指示をし、ずっと手紙でやりとりしたというのだ。ヒロからみたら、とんでもない夫なのではないか。雨情が亡くなった時「私のすることは、これで終わった」、そして「また、いつもひとりぼっちだわ」と空に向かってつぶやいた、と孫の著者は書いている。

    最後は宇都宮市の鶴田で疎開中に終戦を知ることなく昭和20年1月に亡くなった雨情。その家は和菓子やさんの敷地にあり今も保存されている。今その和菓子やさんで雨情ゆかりの和菓子もあるようだ。この和菓子やと同じかどうか分からないが昭和40年代に宇都宮の街中の和菓子やで「雨情もなか」とかがあった記憶。A4くらいの大きさの5cmくらいの深さの紙箱に紺地に白い線が入ったものがあった気がするのだが、今はその店はなくなっているようだ。

    2012.11.8第1刷 203.3.4第3刷 図書館

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著者プロフィール

1943年茨城県磯原町に野口雨情の孫として生まれる。野口雨情生家・記念館を設立し、館長に就任。多くの人々に雨情の残した大きな業績と、その波乱に満ちた生涯を紹介している。茨城県北生涯学習センター長

「2012年 『郷愁と童心の詩人 野口雨情伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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